【感想・ネタバレ】親の死なせかた 医者が父母の最期を看取って考えたことのレビュー

あらすじ

一見すると「ひどい」と思えるタイトルかもしれない。しかし、「このタイトルを『ひどい』と思うのは、まだ介護や親の死というものを、リアルにイメージできていない証拠である」と、著者は言う。本格的高齢化社会が到来し、親の病気や介護に携わる人はうなぎのぼりに増えている。その反面、自らの父母の双方を介護し看取った著者の実感としては、国は自宅介護中心の考え方であるため、介護体制やインフラ整備、人材教育などが、遅々として進んでいない。このままでは、働く人々が、老人の世話に飲み込まれてつぶれてしまうという事態が急増することも招きかねない。それを、現在からできる範囲でいかに防ぎ、老いた親と、生活のある子どもの折り合いをどうつけられるかが課題である。本書では、医師として、また子として、老親の介護・看取りを経験した著者が、親が安らかな死を迎えるための考え方を、最新の医療情報をまじえながら考える。

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Posted by ブクログ

医師である著者ご自身のご両親のケースをご紹介されながら、日本の高齢者医療の抱える問題点をあぶり出している。意識のない人に胃瘻や経管での栄養補給は欧米では虐待と考えるというのはかなりインパクトがあった(勿論欧米にも延命措置をする人はいるのだろうが少数派なのだろう)。今の日本人はむしろ逆で栄養補給もせずそのままにする方が虐待ではないかと考える人の方が多いように思う。放置(栄養補給をしない)を見殺しと考えるのか自然なことと考えるのか、単に医療という枠を超えて考える必要のある大きな問題なのだろう。

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2017年10月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

医者ならではの末期対応が読んでいて重かった。確かに、本人が生きたいと言っていたらそれはそれで本人の意思なのだからそうあるべきなのだろう。出来るだろうか。
1912再読。判断するだけの知識はあるのだろうか。覚悟で引き受けるしかないのだろう。

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2014年10月05日

Posted by ブクログ

医師である著者が、自分自身の親を看取った経験や、医療現場での経験を元に、終末医療のあり方、家族の心構えについてアドバイスしてくれている本です。
非常にショッキングなタイトルではありますが、そう感じるのも「そのことは考えたくない」と逃げる気持ちから来るものでしょうし、逃げているといざその時が来たときに備えが何もできておらず、結果として後悔の残る判断をしてしまいそうだということは、想像できます。
非常に短い本で、すぐに読めてしまいますが、深く心にささります。
自分の母は78歳になってもまだまだ元気なので、やはりまだ考えたくないというのが正直な本音ですが、この本を何度も読み返して心の備えをした方がいいのかもしれないと考えさせられました。

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2014年07月25日

Posted by ブクログ

医師が、やはり医師であった父と、それ以前には母をそれぞれ看取ったときの心情と、当時と今の状況を綴っている。死は医療の敗北ではない、受け入れて過剰な延命は慎むべきだが一回やってしまうとなかなか戻れない、虐待的とも言える延命をやめて、看取り方について国民的な合意形成が必要ではないか、と。理想の死に方は突然死んでしまうことと答える人が多いという。苦しみたくないから、家族に迷惑をかけたくないから、という人が多い。僕はこれには反対だった。死はグラデーションだ、と。ところが最近自分の身に、非常に苦しい、死んじゃうかな、ということがあって、こんなものがグラデーションでどんどん強まって行ったら堪らねえな、と思った。かように死に方の問題は、自分の身になってみないとさっぱりわからないが、結局のところ死ななかったので、やっぱりわからない。
死に方自己決定が最良の選択か、という問いかけがされている。カネや家族のケアなどを本当に気にせずに決定できなければ、そもそも自己決定なんて意味が無いと。そうだよね。そしてそれは大抵の場合、無理ってもんだよね。

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2014年03月09日

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