【感想・ネタバレ】初恋症候群(シンドローム)(3)のレビュー

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Posted by ブクログ

完結にして、決着
全体を通して読むと、ブラックな発言やネタこそ目立つが、やはり、恋愛モノとしてはストーリーが王道だったと思える。それでいて、展開が安易じゃなく、読み手は結構、惹きこまれていた
メインの東吾、瑠璃、奈緒の3人だけでなく、登場人物も全員、個性が濃いのに、お互いの良さを打ち消し合わず、逆に好さを引き出し合っていた。このキャラの絶妙なバランス感覚と相乗効果の発生は経験を積んでこそ使いこなせるモノ。瀬戸口先生の実力は、かなり高いトコまで至っている
恋愛ってのは、つくづく、思い通りにいかない、だからこそ、人を好きになるって事には人生を豊かにしてくれる意味がある、と思えるようになる作品だった。きっと、瀬戸口先生自身が、イイ恋愛をしてきたからこそ、この作品を描け、なおかつ、最終回で見事な〆を実現できたんだろう。やっぱ、漫画家は経験を漫画に活かせてこそ、だな
幼馴染3人が、それぞれの恋心に、自分達なりの落としどころを見つけられ、今まで以上に友達として仲を深められたのは、読み手として安堵できた
もしもの話だが、東吾が奈緒や瑠璃とくっつくような、ベタな展開になってしまっていたら、MOMOで読まなくなっていたと思う
恋が実れば、それは幸せだ。けど、男をデカく成長してくれるのは、本気で向き合った末に美しく砕けた失恋なんだよな、皮肉だけど。失恋して、心にダメージを負った時ほど、家族や友人のありがたみにも気付ける。やっぱ、男は価値を自分で作れる負け星を重ねてこそ、本気で好きな人と結ばれる事が出来るのかも
瑠璃の奈緒に対する「好き」が本気のモノだったトコも、この『初恋症候群』の深さを作っていたと思う。好きってのにゃ、ホント、性別は関わってこないですよね。男だから、女だから好きになるんじゃなくて、好きになった相手が偶然、異性だった、もしくは同性だった、それだけであって、本来なら本人が苦しむ必要はないし、周りがとやかく言う事でもないハズだ。勇気を与えたまでは行かないかも知らんが、思いっきり笑えて、悩みがほんの少しだけ軽くなった同性愛者も結構いるんだったら、一ファンとして嬉しい限りだ
また、この『初恋症候群』の見所には、恋愛を強烈に否定していた島袋さんの女子的な変化の過程もあった。もし、リアリティのある言動が強烈な彼女がいなかったら、この作品はこうも面白くならなかったに違いない、と断言できる。恋は女を、精神的にも肉体的にも大きく変えるって事を、島袋さんは証明してくれた
自分達の気持ち、大事にしたい相手としっかり向き合い、答えを出し、それぞれで決めた道を歩いていく若者らに幸あれ
アニメにもなって欲しいが、どちらかと言えば、ドラマ化して欲しい四コマ漫画だった、『初恋症候群』は
一先ずは体と心を、瀬戸口先生には休ませてもらって、次回作への英気を養ってほしい
個人的にゃ、異世界トリップ系のコメディが読みたい、もちろん、瀬戸口先生らしい、ブラックなネタ多めの
どの回も瀬戸口イズムが滲み出ていたけど、やっぱり、ファンとしちゃ、最終回は推したい。何だかんだで、サブレギュラーだった易者さんの、年季を感じさせる達観した言葉が実にストーリーにキレイなオチを付けてくれていた。最終回後を描いた書き下ろしも面白く、何やら、東吾とさくら先生の間にフラグが立ったっぽく、妄想も広がっちゃう
この台詞を引用に選んだのは、瑠璃の人間的な成長を感じる事が出来るので。仕方ない、で済ませちゃいけない事はあるけど、どんなに努力しても、どうにもならない時にブチ当たって力尽くしかない時、こんな妥協点を見つけるのも、ある意味、大人には必要だ。未来が視えず、足元が危うい道を黙々と歩き続ければ、いつかは望む未来に辿り着ける可能性もある。けど、あえて、分岐点に来た時、それまで目指していた目的地に繋がらない道へ進路を変える事も、正しい判断じゃないだろうか

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2016年04月25日

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