あらすじ
“なぜ日本人は仕事中毒か”“そもそも生きがいって何だろう”……。本書は人間通、宗教通の著者が教える「脱競争」「出世観」のススメである。 まず著者は、日本人が神道の「労働神事説」にとらわれていることを指摘する。本来、キリスト教、イスラム教では、労働とは神からの懲罰なのだ。働くことが美徳であるという価値観はない。 また、仏教とは「世間や欲望の奴隷になるな」という教えである。世間体ばかりを気にする生き方を強く否定するのだ。 そのような観点から、いかに日本人は仏教やキリスト教的価値観から離れているかがわかる。著者はこう語る。「がんばらなくていいんだよ、ではなく、がんばることはいけないのです。多くの宗教がそう教えています」と。読者は安心して「がんばらない思想」を自己の哲学にすることができるのである。 競争神話に毒された日本人たちへ、幸福とは「勝ち負け」ではない事を教えてくれる。本当に豊かな人生への理論武装の書。
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Posted by ブクログ
プロローグで激流のニジマス、淀みのニジマスという例を出して、競争社会に出るとエネルギー効率が悪いという話をしている。
そこで著者はゆったり生きる生き方を全編を通して提案する。
前篇では仏教に基づく著者の労働観や身分観の話を海外の例とも対比しながら説明している。
日本は労働神事説だという点は興味深いのでもう少し掘り下げてほしかった。
後編では著者の提言ということで世間の価値観を軽視し、いまを生きるといったことを言っている。
金持ちは幸福で、貧乏人は不幸だというような「世間の物差し」を捨て、人間はなんだっていいという「ほとけの物差し」を持とうという提言は世間の価値観に振り回される身にとっては面白いと思った。