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Posted by ブクログ
競馬シリーズ4作目。
障害競馬のチャンピオンにまでなったハレーは、
レース中に手を怪我をしたために騎手生命を絶たれ、
現在は探偵社競馬課に籍を置いている。
ただし遅刻しても誰も何も言ってこないような働き方で、デスクも無いのに、
たまたま見張りに出かけて銃で撃たれてしまう。
静養に来なさいと言ってくれたのは妻の父、
ただし妻とは別居中、
しかも義父はひどい罠を仕掛けていた…。
競馬場乗っ取りの謎解きもだが、
生きる目的も家庭も失い、
動かなくなった手をポケットに隠して生きていたハレーが、
人生を取り戻す過程が面白かった。
やはり事故で、顔に傷ができ片眼が義眼の女性秘書と出会い、
お互いの痛みを分かち合い、
前向きに歩きはじめるまでが素晴らしい。
片手でできる格闘術を習わないとという話になった時に、
先輩探偵が、自分の通っている道場の日本人ならなんとかしてくれるはず、と答えた時には、
その「日本」の登場の仕方が無性にうれしかった。
といっても、
最後の方の重要なキーワードの「カノ・ジゴロ」が嘉納治五郎とは気づかなかったが。
素晴らしい作品だった。
Posted by ブクログ
嚇かしでなく本気だと気が付いた時は既に手遅れだった。
相手は慣れない手つきで上着のポケットから拳銃を引き出すと、おっかなびっくり両手を使って引き金を引いた。彼・・・元チャンピオンジョッキーで今はラドナー探偵社の 競馬課の調査員シッド・ハレーは、夜の夜中、探偵社に忍び込んで餌をかじりに来たのがチンピラのアンドリュースだとわかったからこそ、洗面所の暗がりからのこのこ出て行ったのだ。
が、明かりを消そうとスイッチの方に向きかけた瞬間、アンドリュースは撃ってきた。
弾がシッドの体を斜めに貫通した。血がゆっくりとオフィスの床の上に流れた。助けを求める事も出来ず、十二時間余、シッドはじっと耐え奇跡的に一命をとりとめた。
そして、38口径の鉛の一片がシッドの腸を穴だらけにした事が、傷の痛みの他に激しい怒りをシッドに植えつけた。
チンピラを探偵社に潜り込ませた連中は、いったいどんな陰謀を企んでいるのか?。ようやく傷も癒えたシッドは競馬界に蠢く悪辣な企みに敢然と挑戦していった。
競馬シリーズとあったので、続き物かと思っていたら、競馬が舞台の別の話でした。「興奮」のほうが私には面白かったですが、こちらもよかったと思います。