【感想・ネタバレ】見えない世界の物語 超越性とファンタジーのレビュー

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2022年11月19日

今まで読んできた児童文学作品の中で、特に心を動かされた物語は、「別世界の先にある、もうひとつの世界」が作中で語られるという共通点があることに気がついた。

別世界での冒険で成長し、「その先の世界」を垣間見る。「その先の世界」にたどり着く過程で、主人公が自己犠牲的な行動をとるというパターンも共通してい...続きを読むる。

自己犠牲で、どうして心が動かされるのだろう。
人間の無意識の中に、そういう憧れが生まれつきあるのか。それとも、知らないうちに深くキリスト教の影響を受けていたのか。

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Posted by ブクログ 2023年11月10日

オーソドックスな児童文学史の観点から、抑えるべき作品が抑えられている。
しかし、ファンタジー、超越性といった観点からの作品分析は貧弱に思えた。

島薗進さんの新書『宗教を物語でほどく』は類書として、より興味深いと思う。

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Posted by ブクログ 2016年09月28日

ファンタジー、得に児童文学を宗教学の視点から読み解こう
という著作。その視点は興味深いし、読んで損の無い本では
あるのだが、何となくファンタジーすべてをその観点で語ら
れてはかなわないと思うのは、ヒロイック・ファンタジー
好きな私のひがみだろうか(苦笑)。名付けるということは
かくも危ういものだと何...続きを読むとなく思った読後感だった。

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Posted by ブクログ 2016年03月28日

現実とは異なる別世界を描く空想的な物語(=ファンタジー)を、宗教学と児童文学という視座から読み解こうとする一冊。
空想物語を中心に児童文学の歴史を追い、死と超自然的な異世界との関連を見ていこうとしていている。
神話や伝説、アラビアン・ナイト、近世フランスの妖精物語、ペローやグリムの物語集、アンデルセ...続きを読むンの創作童話、C.S.ルイスのナルニアシリーズ、ハリー・ポッターシリーズ等、児童文学ファンタジーの系譜をたどり、空想物語がどのような位置づけをされていたかを俯瞰する。最後に宮崎駿のアニメ作品が挙げられている点が、現代に生きる日本人としては面白い。

異世界と死との間に密接な関係を見ている点が非常に興味深い。
アンデルセンの人魚姫、ナルニアシリーズ、ハリー・ポッターシリーズ等は、宗教的な訓話からは離れた世俗の物語であるが(ただし人魚姫もナルニアもキリスト教的色彩は強い)、いずれも死と別世界を大きく扱う作品である。

テーマ自体には大変興味があるのだが、読み飛ばし気味に読み進めたせいか、やや未消化。

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Posted by ブクログ 2014年07月07日

児童文学と宗教の関係性について、古今東西、童話や神話、昔話から昨今のファンタジーまで様々に取り上げ分析を試みた本書。

児童文学という子供を読者と想定した分野は近代頃が始まりなのだそうだ。当時、乳幼児の死亡率が高かったことから、子供と死というのが強い結びつきを持って受け止められており、死生観が色濃く...続きを読む反映されている。それはつまり宗教的側面が強く出るということでもあり、当時の子供向け物語というのは、教育的宗教的なものだったようだ。
それが時代を経て、現代的な家庭観、子供観が生まれるにつれ、こちらの世界とあちらの世界といった多元的なファンタジーが受け入れられるようになっていったということらしい。

ピューリタンやプロテスタントの宗教的文化についてはなかなかピンと来ないので、ペローやグリムの「赤ずきん」や「シンデレラ」「眠れる森の美女」、アンデルセンの「人魚姫」「雪の女王」「マッチ売りの少女」などなど、有名でストーリーはよく知っている童話について、宗教学的視点や児童文学的視点で解析されているが、まあ、そうなのかなあ、という程度。私の教養のなさのせいではありますが。

それよりむしろ、宮崎アニメにおけるファンタジーの世界の考察は非常に興味深く、子供向けであったはずのファンタジーが大人にも受け入れられるようになった年が1997年で、それは「ハリー・ポッター」シリーズが始まり世界的ベストセラーとなった年であり、宮崎アニメの「もののけ姫」が大ヒットした年(宮崎氏自身も「ターニングポイント」と言っているらしい)でもある。つまりここが現代人の心の変容が起きた年だとしていることには、不思議な説得力があった。

奇しくも、本書が書かれた今年2月にはまだ公開されていなかった映画「アナと雪の女王」「マレフィセント」の元の童話が、ここで取り上げられていることに著者の先見性を見た!なんて言ったら言い過ぎか。

巻末には、本書で触れた物語のタイトル(ざっと数えて100作品近くあります)が索引となって掲載されているので、このあたり興味のある人は、童話を手にしつつじっくり読むとまた面白い発見があるかも。

私ももっと時間をかけて読み込んだら、もっと面白かったかもなあ。
実はファンタジー、あまり好きではないのだが、機会があったらまた本書を読んでみてもいいかも、とちょっと思っている。

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