あらすじ
西暦20XX年、有史以来初めての、しかし地球誕生以降、幾たびも繰り返されてきた“破局噴火”が日本に襲いかかる。噴火は霧島火山帯で始まり、南九州は壊滅、さらに噴煙は国境を越え北半球を覆う。日本は死の都となってしまうのか? 火山学者をも震撼、熱狂させたメフィスト賞、宮沢賢治賞奨励賞受賞作。(講談社文庫)
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Posted by ブクログ
もっと早く読んでいればよかった、、とおもうほどおもろかった。主筋は霧島火山帯の加久藤カルデラが破局的噴火をして、九州はもちろん西日本まで壊滅、フィジカルな災害だけでなく円が大暴落して経済的にも国家の危機を迎えるというストーリー。面白いのは火山や噴火の日本や世界における歴史、古事記やギリシャ神話、聖書などに出てくる災厄に火山の記述が多いことをエビデントを絡めて、いろんな国の人がそれぞれの言い伝え的なストーリーをもっているのがうまいタイミングででてきて唸ります。おもろいです。人間ドラマを期待して読むとがっかりされる方もおるかもしれませんが、私の好きな薀蓄型でヒーロー多数、足引っ張り役少なく、ヴィラン少なめという設定。最初から最後まで飽きさせず面白かったです。石黒本もっと読みたいと感じました。
Posted by ブクログ
映像で見たい。
文章でも凄まじさが伝わってくる、が何分知識がないので想像に留まってしまう。
そして改めて日本の置かれている特殊な地学的な要素に気づかされた。
この本では、いい方向に向かう所で終わっている。
この発想の転換はとても良いものだと思えた。
火山灰で覆われた土壌を、いい土壌と捉えたりと確かにそのとおりである。
特殊な状況であることは変えようがないのだから、災害への捉え方を変える、というのはとても大事なことだと思う
Posted by ブクログ
霧島火山の破局噴火をシミュレーションした小説。加久藤カルデラ全体の噴火は数万年に一度の規模であり九州南部ほぼ全域を火砕流で埋め尽くすほどの規模。噴火24時間で350万人、48時間で1000万人の死者を出すと推計される。火山噴火は地震と違い被害が長期間に及ぶ。噴火物に始まり、ブラスト、火砕サージ、火砕流、ラハール(泥流)、火山灰による家屋倒壊、インフラ機能停止、農作物・産業への影響、日照低下による気候変動と影響は広範に及び日本のみならず地球規模での災厄をもたらす。
この小説の秀逸なところは自然災害による直接的な被害だけでなく、この災害に乗じてアメリカや中国がどのような謀略を取るかまでシミュレーションしているところ。またフィクションではありながら、これまでの自民党の国土開発政策を強烈に批判しているところも注目に値する。火山国家・地震国家である我が国の現在の繁栄は偶然の休閑期であるに過ぎず、節操のない国土開発によりリスクが高まったいま大災害が起こると国家崩壊の危機に陥ると警鐘を鳴らす。「神の手作戦」は意外なことに諸外国に対する言葉による説得であり脅迫であった。火山灰による気候変動・農業被害という事実を突きつけることで、日本のみをターゲットとした信用不安を世界的なものにすり替え、一定の正常化をすることとなった。菅原総理のように世界に対してこれほどまでの演説・芝居を打てる政治家が日本にいたことがあったか。また静間のような視野が広く冷静かつ行動力のある官僚はいるのだろうか。
"SECOND BEST, TOMORROW"(今できることをやれ!)
Posted by ブクログ
パニック小説が読みたいと思って評判が高かった本書を読みましたが、いやー、面白かった!
主人公の黒木が火砕流から逃げまとう姿に、終始ハラハラドキドキしっぱなしでした。
南九州で発生した有史以来最大の噴火をシミュレーションしているのですが、描写にリアリティがあって、火山の恐ろしさを改めて痛感しました。
でも、恐ろしさだけの作品ではありません。絶望的状況を描きながら未来を示した締めくくりは出来過ぎと言わざるを得ませんが、正常性バイアスが働いた結果だと言い聞かせることもできるかな。
Posted by ブクログ
前半は火山学者の脱出劇が中心、後半は首相菅原の外交戦略を中心に話が進む。特に前半の火山や火砕流についての解説が詳細で学びがある。時々、神話が火山災害を表しているという説が挟まれる。割と説得力ある気がする。
ところで、衛星に乗せた弾頭ミサイルって結局なんの役に立ったの?