【感想・ネタバレ】学ぶよろこび : 創造と発見のレビュー

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Posted by ブクログ

もくじ

第一章 少年の夢(梅原猛68歳の時の講演。高校生向け)
現代と少年の夢/夢を見るのは人間だけ/人はだれでも心に傷がある/法然の心と傷と父/法然の心の傷と仏教革命/湯川秀樹のコンプレックス/大きな仕事は心の傷を埋める/豊田喜一郎の心の傷とトヨタ/養父母の愛情/「だれか食べるでええわい」/空想にふける少年/落第と失恋/西田哲学の京大/学問と仮説/ひらめく人/孤立する勇気/傑作は未来にしかない/二十一世紀の哲学/夢見る時代/学歴なんて通用しない/自然との共生/新しい文明をつくる夢

第二章 生い立ちの記(梅原猛56歳の時の言)
学問は楽しいもの/過去という巨大な闇(消失する過去 両親のこと 梅原家のこと 両親から受け継いだもの 養父のこと 養母のこと)/孤独な少年(世間への恐れ 勉強嫌いな少年 空想世界へ耽溺)/青春の悩み(東海中学へ入学 勉強への意欲 魔の誘惑)/学者への道(運命の導き 戦火の中の青春 西田哲学への傾倒) 

第三章 創造への道(梅原猛85歳の時の言)
精神の三つの段階(ニーチェの言葉 創造の秘儀 必要なラクダの時代 創造に必要なライオンの勇気 ライオンから小児へ 三様の比喩とニーチェ 三つの段階と私)/死の影の下に(ハイデッガー哲学への沈着 西田哲学への疑問)/死の哲学から生の哲学へ(自己の哲学を求めて 笑いを哲学する 感情理論の構築をめざす)/真理のための戦い(権威にかみつくライオン 自分の思想を自分の言葉で)

第四章 「発見」についての覚え書き

第五章 老木に花
『少年の夢』から始まる─八十五歳の“夢”/新しい哲学の創造─日本にそれはある/西洋哲学と日本研究─奴隷の学問からの脱出/縄文文化とアイヌ文化─日本の基層文化/中世へ、世阿弥へ─能という文学、宗教/親鸞、その人生と思想─存覚「正明伝」/西田幾多郎・田辺元─「無」の思想/デカルトの方法論と思想─数学的無機的世界/「草木国土悉皆成仏」─人類の哲学

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2012年05月28日

Posted by ブクログ

 「君子の学は己の為にす、人のためにせず」という言葉がある。真理を前にしたら、孤立しても構わないという勇気が君子たる人間の態度である。一方、小人は他人からの評価のため、出世のために学問をするのである。どちらが人間として尊敬できる行き方であるかはいうまでもない。新しい仮説の発見にまさる喜びはない。だからこそ、孤独や長く苦しい検証作業にも耐えられるのだ。

 ニーチェのツァラトゥストラはかく語りきに「三段の変化」という一節がある。それはどういうものであるのか?

  忍耐強く、精神的な重み、精神の砂漠を放浪する駱駝の時期を経て、やがて駱駝は獅子となる。そこで、何千、何万年の歴史をもつ真理という名の光り輝く黄金の龍と戦うことになる。龍と戦った獅子は最後に小児となる。駱駝、獅子であったことは忘却され、小児は全く、純粋に無垢な心で創造することができるようになる。

 梅原猛は人生はかくあらねばならないと断言している。自分もこの話に感銘を受けていたので、彼と同じところでもって共感できてとても心強く思った。


「発見」についての覚え書きの章で創造についてのヒントを残しているので以下に示す。

1)人間は知らないうちに、一つの色眼鏡を通してものを見ていること、そして発見とはその色眼鏡から自由になることである。

2)発見の前提は疑いである

3)疑いには、裸の心と勇気が必要である。

4)発見には創造力が必要である。

5)生産的想像力を持つためには自由な心とともに、広い知識が必要である。想像力を養成するには一つの訓練が必要である。

6)発見はある日突然起こる。それは、向こうからやって来るもの。我々は一種の直観で、それを受け止めるだけである。

7)インスピレーションは疑いによって冷却することにより一層間違いないものとなること。

8)発見はいったんなされれば、大して難しいものではないと思う。それは、発見されるまでは全く思い掛けないことである。

9)認識はみずからの体系を成してそこに世界を形成している。

10)発見や創造を可能にするのはたえざる認識の努力であり、それを可能にするのはやはり真理あるいは美に対する強い愛である。

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2012年07月14日

Posted by ブクログ

幼少時代に好きで夢中になってのめり込むモードはその後の人生に重要なのだなぁ。

今でも現役で研究をされているのは本当にすごい。
自分が80代とかになったときに、引退とか隠居してるのが当たり前と今から思わずにいようと思った。

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2012年05月23日

Posted by ブクログ

著者の講演や書き起こしに最近の話を加えたもの。著者の人生の回願は『学問のすすめ』から持ってきています。第5章の老木に花が書き下ろしになっています。生い立ちの記は消失する過去を突き付けられて思わず読んでしまいました。

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2011年05月09日

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