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Posted by ブクログ
こころ上手に生きる
病むこと みとること 人の生から学ぶこと
講談社+α文庫 55-2
著:日野原 重明
けっこう、読んでいて痛かったです。
本書は、病むことで、大切な人を失うことで、気が付く、心の痛みをかたっています
その時がこないと人は、その痛みに気づくことができない
その時をどう迎えるのか、どう準備するのか、どう向き合えばいいのか、ヒントをかたっています
すごかったのは2つ
1つは、日野原先生が、子どものころと、医師になってからと2回大病をされていること、その体験が原点になっていること
もう1つは、ほぼ冒頭で、日野原先生が、ぜひ読んでほしいと勧められていた、夏目漱石の小説「思い出す事など」(青空文庫にあり)を読みましたが、えぐかった。病人の目で一人称で語られる景色。病人とはどのような景色を見ているのかを知りたいかたは是非ご一読されたら良いかと思います。
気になったのは、以下です。
・人間は健康なときには、健康の喜びはわからないものである
・人の痛みがわかるのが人間
・人間は病んではじめて健康のありがたさがわかる
・ヘルマン・ヘッセ 絶筆「折れた枝のきしる音」は、
なお一夏
なお一冬
と結ばれている
・本当に神がわれわれとともにいます、という信仰を平素もつものには、
祈りは困った場合の神頼みではなく、
いろいろの重大な判断をしなければならないとき
平素の祈りが強い精神の集中力をもって心の中に生じ、声としてさえ出るのである
・いつも感謝し、信仰と祈りに生きたこの婦人に私たちは学ぶことが多かった
・人生のもっとも大きな選択は、どう死を生きるかということである
・人間なれば耐えがたし、真実一人は耐えがたし 北原白秋
・人との出会いが、本との出会いに介されることもある
・人が長年身につけたものを失うと、それからの一日一日にどうか穴のあいたような落ち着きのなさを感じる
それが愛する人からもらった心のこもった贈りものであったり、かたみであったりするときの心情は、
惜しいというより、悲しみに満ちたものである
いわんや、愛する子を、親を、共を失った悲嘆の心を受けとめてくれるものは、なかなかない
ただただ悲しみの自己の中に滅入るばかりである
・医学には限界があり、人間には、許される有限の命と、必然の死を受容することが必要なのです
・病人を見舞うときにいちばん大切なことは、その病人が、見舞いを受けることで心が和らぐのか、または、
病人は無理して会わなければならないと思っているのか、その区別を見舞い人が知ることである
・ターミナル・ケアという言葉を、末期とか終末ではない、別の言葉に翻訳できないだろうかという問いあわせがありました。
しばらく考えた後、私の心に浮かんだのは、「有終の美」という言葉でした。
・旧新約聖書のほか、ギリシアの古典や、シェークスピア、モンテーニュ、その他10冊の本は人間を知るためのテキストである
よき臨床医になるためには、医学以外の勉強をしなさいと語られたのです
・痛みや苦しみさえなくせば、人間は最後まで、「考える生きもの」でありうるのです
人間をして最後まで人間たらしめる。これは、ホスピス医学の福音です
・しかし、科学だけでは人間たらしめることはできません。
科学はあくまで土でできた人間のかたちを守るだけです
目次
はじめに
第1章 人は病むことで成長する
第2章 こころ上手な癒し方
第3章 こころは生まれ変われる
第4章 私が人の死から学んだこと
第5章 病院へ行くとき、見舞うとき
第6章 医師である私の使命
ISBN:9784062566643
出版社:講談社
判型:A6変
ページ数:272ページ
定価:740円(本体)
発売日:2002年10月04日第1刷