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Posted by ブクログ
文献史学や考古学の研究から、過去の大地震の周期的な発生状況や発生時の被害の大きさなどがかなり詳細に解明されていることがよくわかった。同時に、もう遠くない時期に大津波を伴った南海・東南海・東海の大地震が発生するであろうことが素人目にも認識され、恐怖を覚えた。
日本は地震列島の上に歴史を刻んできた国である。私達の先祖は地震の被害に恐怖し、また現実に大きな被害を受け、家を壊されあるいは家族を亡くしながらも、たくましく生きてきた。そのことは本来は人間の幸福を目指す科学が発達した現代においても何も変わるものではなく、かえって文明が発達し道路や建造物などの構造が高層化・複雑化したからこそより被害も大きなってしまうという矛盾が新たに生まれている。
筆者はこの本を著した目的に減災を挙げている。まさに私たちはこの地震列島日本の災害の歴史を直視し、そこから多くの教訓を学んで、来るべき大地震に備えなければならない。
Posted by ブクログ
小学生ふうに言うと,理科と社会が合体したような学問の本でした。おもしろかったです。
扱っているのは地震考古学という分野。昔の遺跡の発掘から,昔の地震の爪痕を見つけて,それと文献とをつきあわせながら,過去の地震の規模や時期や大きさを推定していくというような仕事です。
液状化現象の記録が縄文・弥生の遺跡の中にもシッカリ残っていることにビックリしました。
私たちは,本物の地震を体験する前に,こうして自分の土地の被害のことを学習することができます。
なんからの形で,子どもたちにも授業してみたいと思いました。
Posted by ブクログ
地震のメカニズムはかなり解明されてきたが、今のところその発生を予知するまでには至っていない。昔から行われてきたのが、過去の地震を調べて将来起こりうる地震を予測するという統計的手法である。著者はそのような調査を繰り返すうち、考古学的手法を取り入れた「地震考古学」なる分野を開拓したという。歴史的出来事と地震の関係をみるとそれぞれ面白いことがある。
例えば、秀吉に成敗された佐々成政の後釜に、大河ドラマでは妻の千代が南部駒を買う金をヘソクリから出してもらった山内一豊が長浜城主となる。しかしわずか三カ月後、天正地震のため愛娘を亡くしている。
また、地震の原因はナマズではないかという話は、秀吉から始まったらしいとか。さらに遡ると、京都の祇園祭は9世紀の貞観地震の御霊会が起源だそうだ。知らないことがたくさんあった。
本書を読んでいる最中に長野で震度6弱の地震が発生した。被災した建物など見受けられるが、被害を受けた地域は限定的なようだ。
最後に地震年表があるが、なぜか1994年12月28日の「三陸はるか沖地震」が掲載されていない。他の地震と比べても無視するほど小規模だったわけでもなさそうなのにどうしてだろう。
Posted by ブクログ
地震のメカニズムや地震にともなう災害の種類、過去の巨大地震。地震に関する大まかな知識を得るための入門書です。歴史は同じように繰り返すわけではありませんが、過去を知ることで困難な状況に対する力を得ることができるのも真実だと思います。本書では、過去の地震がもたらした被害とともに、それに立ち向かった(あるいは翻弄された)人々の姿が描かれています。そういった人たちの姿から未来の地震に対処するためのヒントを学べました。