あらすじ
軍事はもとより政治にまして経済を優先させてきた戦後日本は、世界有数の貿易黒字国・債権国となったいま、「持てる国」として世界経済の不均衡を助長していると批判される。そして、戦後世界秩序の大転換の中で、経済力と軍事力の間のギャップが不信感を呼んでいる。市民国家そのものが変貌し、協調と責任分担を根本理念とする、地球時代というべき国際秩序の下で、日本に何が可能か。戦後五十年を検証して日本の未来を考える。
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Posted by ブクログ
明治維新から太平洋戦争直後までの外交の流れを著した『日本の外交』の続編。本書では、太平洋戦争の結末から1980年代の日本外交を概観する。
著者は、太平洋戦争期までの日本を軍事強国・経済弱国とし、戦後の日本はその対称であるとする。そして戦後の日本には、軍事と経済のギャップを埋め正当化する思想が求められたにも関わらず、外交理念の確立が遅かったという。「日本」の政策に思想的な追求が遅れているという状況は、本書から四半世紀経過した現在においても同様なのではないかと感じる。
まさしく副題の通り、地球化時代が不可逆的に加速している現在において、自分の自身の生活に関わる「日本」の選択と選択肢たちを検討するために、知識を深めようと刺激された2019年一冊目だった。
以下、心に残った文メモ。
「現在の世界を理解するために、固定化した過去のイメージにとらわれず、柔軟性のある見方を持った上で、最近の諸現象の意味を探り、それが近い将来にいかなる動きとつながっているのか、考えてみるべきであろう。要するに、バランスのとれた歴史感覚が必要とされるのである。(中略) 未来を創るのも、過去の遺産と同時に現在の努力である。」