【感想・ネタバレ】ジークフリートの剣のレビュー

\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

このページにはネタバレを含むレビューが表示されています

Posted by ブクログ

ネタバレ

「十角館の殺人」や「殺戮に至る病」など、一行で物語世界の全てがひっくり返る、という仕掛けの施されたミステリは今日では決して珍しくありません。

今作はそんな「今までの展開が覆る」というものではありませんが、最後の一文を目が追い終わった瞬間、涙が溢れました。何という愛。何というフィナーレ。

舞台上で窮地に追い込まれた主人公が咄嗟に選んだ対策も鳥肌が立ったし、その結果現れた思わぬ現象にも驚愕したしで、最後の一文に至るまでの舞台の様子も読んでいてゾクゾクしたのですが、圧巻なのはやはりこの一文です。これはすごい。このラスト数ページだけでも、五つ星評価に値します。文句なし、久しぶりのミステリでの星五つです!!(嬉

物語は、天才的オペラ歌手である藤枝和行と、彼の婚約者が訪れた占い師からの不吉なお告げで幕を開けます。
幸せの絶頂で命を落とすーーその言葉通り、彼女は列車事故で命を落としてしまいます。
良き理解者でありアドバイザーでもあった彼女の死に、和行は己の不実を心から悔い、彼女の骨に毎夜語りかけます…。

何て純愛なの〜!(泣)と思ってたら、意外とアッサリ素敵なレディが現れちゃいました(^o^)あらー

何それ変わり身早すぎじゃん…と女性としては鼻白んでしまいました。ですが、この相手の女性がとても魅力的だったことと、それほど本編の重要な部分(ミステリ的にも、舞台上でも)に絡んで来なかったせいか、あまり彼女の存在は気にならなかったですね〜。
それより、主人公の死んだ婚約者に対する感情の変遷が、あまりに身勝手なのがちょっとイラっとしました(笑)。

シリーズの主役である神泉寺青年の唐突な謎提起と解決は、ちょっぴり取って付けた感がありましたね(笑)。今作の最大の見せ場は、やはり「占い師の予言がいかに実現して行くか」なので、殺人というテーマがオマケのように扱われるのは仕方ないか…(^_^)

そして相変わらず、この作家さんはその道のド素人に興味持たせるのが上手いわ〜(笑)。今回も案の定、ニーベルングの指輪ググったりウィキったりしながら読み終えたのでした*\(^o^)/*



今回は裏表紙からそのまま引用*\(^o^)/*
天賦の才能に恵まれ、華麗な私生活を送る世界的テノール歌手・藤枝和行。念願のジークフリート役を射止めた矢先、婚約者が列車事故で命を落とす。恐れを知らぬ英雄ジークフリートに主人公・和行の苦悩と成長が重ね合わされ、死んだ婚約者との愛がオペラ本番の舞台で結実する。驚嘆の「芸術ミステリ」、最高の感動作。

0
2013年11月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

芸術ミステリーシリーズ第4弾。

<あらすじ>
オペラのテノール歌手・藤枝和行は、同業者で恋人の遠山有希子に連れられ
良く当たると評判の霊感師に会いに行く。
そこで霊感師に”有希子は幸せの絶頂で命を落とす”と予言される。

その後、藤枝は、ワーグナーの『ニーベルングの指環』4部作の第2夜、
『ジークフリート』のジークフリート役に大抜擢され、
有希子も同じ舞台の脇役として出演することになった。
2人で共演することが夢だった有希子は、藤枝のプロポーズを受け婚約する。

そんな矢先、有希子が乗っていた列車が事故に遭い、有希子は死んでしまう。
有希子の葬式に赴いた藤枝は、遺骨から大腿骨を遺品として受け取る。

哀しみにふける藤枝は、ある日、街で神泉寺瞬一郎と出会い、有希子の話をする。
すると後日、列車事故を調べた神泉寺から藤枝の元に連絡が来る。

有希子は列車事故で死んだのではなく、舞台の演出家に殺されたのだ、と。
有希子は列車に乗る前に演出家に殺され、トランクに押し込められ、
列車で運ばれてる最中だったのだ、と。

衝撃の真実を聞かされた藤枝は、動じることなく遂に舞台に立った。
演目も順調に進んでいたその時、肝心の小道具の剣が見当たらない。
困った藤枝。
しかしそこで藤枝は、舞台中も含め、肌身離さず持っていた
有希子の大腿骨を取り出し
ジークフリートの剣にし、見事に大役を演じきったのであった。


<他作品とのリンク>
『トスカの接吻』で、ジークフリートを演じた後の藤枝が登場してる。
『美人薄命』では、予言を行った霊感師の人生が明らかになっている。

0
2014年01月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

たまたま病院の待ち時間のために手に取った一冊。
初めてこの著者の作品を読みました。

主人公の和行は、才能あふれるテノール歌手。
日本人初のジークフリート役に抜擢され、公演を目前にしたある日、婚約者が突然の事故死を遂げる。
失意ながらも公演に向けて準備は進む。
そして公演の日。彼はある真実を知ることになる。

「失意ながらも」とは書いたものの、
和行は、天賦の才能に恵まれたゆえの、ある種傲慢な人。
女性の視点から読むと正直時にいらっとします。
その彼が恐れを知ることになるというのが、
もう一つのクライマックスになります。

オペラの講釈の部分とか、結構知らない単語ばっかりで、
若干退屈な部分もあるけど、
そのクライマックスはなかなか圧巻でした。
最初の導入からの伏線の緻密さもよかった。

途中に出てきた青年の、シリーズ物なんですね。

0
2013年10月19日

「小説」ランキング