【感想・ネタバレ】国際政治とは何か 地球社会における人間と秩序のレビュー

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Posted by ブクログ

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著者は、「国際政治」を3つの位相で捉える。すなわち、「現にある秩序としての主権国家体制と、可能な秩序としての国際共同体と、理念としての世界市民主義」である(p. 266)。

そして、これらの理念系を軸として、安全保障、政治経済、として価値意識の分析を行う。極めて幅広いイシューを扱いながらも、そうした問題への対処には、あくまでも主権国家体制の確立が肝要と解く。著者のスタンスとしては、リアリズム、それも穏当な古典的リアリズムと言ってもよいだろう。

内戦や地域紛争であったり、あるいはグローバル化の萌芽であったりと、出版当時(2003年)の時代状況が反映されている箇所も認められる。一方で、主権国家体制に重きを置こうとする姿勢は、十分現代にも通ずるものであろう。

また、序章及び各章において、古代、そして近代の政治思想を参照している箇所が多い。西洋政治をより深く学ばなければと感じた。特に、精神的・内面的な「ギリシャ的なもの」と、普遍主義的・技術的な「ローマ的」なもの、という対比は、目から鱗であった。

「古代の政治のあり方が今日の我々に示唆を与え続けるのも、現在を見るときに我々はさまざまな介在物に目を奪われがちなのに対して、古代の政治はより単純で、それゆえに政治の本質を直接に映し出しているからではないだろうか」(p. 214)と著者は指摘する。

主権国家体制を軸としながらも、あくまでも人間の営みとして捉えるという国際政治観については、是非結章を参照されたい。

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2022年02月27日

Posted by ブクログ

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【「埋め込まれた自由主義」by ジョン・ラギー】
ブレトンウッズ体制=この体制は国内における「組織された資本主義」を前提とし、各国政府が通貨の安定に責任を負った上で多角的な自由貿易を実現することを目指すものであった。それはまず、通貨価値を相互に安定させ、為替変動にともなうリスクを軽減し、次に国際貿易についても相互的な基本ルールを設定することで、国際分業を増進し、供給力に見合った需要を生み出すことを意図していた。固定相場制の維持のための国際通貨基金(IMF)、国際流動性の供給のための国際復興開発銀行(IBRD)、やや遅れて多角的自由貿易体制の実現のために関税と貿易に関する一般協定(GATT)が設立ないし合意された。p167

【開発について】
開発とは単に近代技術や資本、資源、教育ある労働力といった経済要素を移植すれば実現するというものではない。それは最終的には、ある社会が自らの伝統的構造と世界経済という与えられた条件をいかに主体的に釣合せ、融合させ、意志と能力をもつかにかかっている。言い換えれば、国民経済の一体性を保ちつつ世界市場へも統合し、さらには伝統的価値をある範囲で維持しながら近代的な変革にともなう過去の破壊を行うという矛盾した要請に応える必要がある。p175

【マルセル・モース- 開発について】
「与えるということはかれの優越性を示すことであり、また、かれがより偉大で、より高くあり、主人であるということを示すことである」p192

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2012年05月28日

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