あらすじ
歌麿・清長とともに江戸の三大美人絵師として名高い鈴木春信。彼の希少な肉筆画が発見され、七億円で安本商事に落札された。だがその作品からは決定的な贋作の証拠が見つかり、再び葬り去られる。浮世絵専門の捜し屋、仙堂耿介はその「春信」と共に蒸発した男・遠藤を捜す依頼を受けた。彼を追ってNYに飛んだ耿介を待ち受けていたのは、あの美術探偵塔馬双太郎だった……! 「春信」に隠された驚愕の真相とは! 大胆な歴史推理が堪能できる本格浮世絵ミステリー。
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Posted by ブクログ
鈴木春信の作品を巡る殺人事件の謎を美術品の探し屋である耿介が解いていく作品。まず作者の代表作の浮世絵三部作の続編として、同連作の津田(名前のみ)や塔馬が登場するのは非常にエモい。そして春信と司馬江漢という一般知名度の低い2人の過去や特徴を知れるのは非常に良かった。個人的には三部作の『北斎〜』や『広重〜』より好きだ。
事件自体は脱税や複雑な売手買手の利害といった俗世的でかつ込み入っておりその点が読む上での難点だった。が、舞台をNYまで広げ、絵探しから殺人事件まで広がる謎を解決していく展開は面白かった。江漢キリシタン説なる、高橋氏お得意の突飛でかつ興味深い学説も終盤に登場しファンも満足の仕掛け満載。この作品の知名度が低いのは春信の知名度が低い故だろうか…
Posted by ブクログ
本物と言われていたのに、贋作だった作品と共に
姿を消した人物を探す依頼を受けた。
思わぬ人からの依頼、というのもありますが
二転三転していく内容に、一体どういう状況なのか、と。
複雑になっていく、というよりも
つかんだと思ったら、別がでてくる、という…。
主人公の仕事は人探し、含む作品探し?
なので、題名に『殺人事件』とついているわりには
尻切れトンボな感じで終わってる気がします。
犯人がきっちりと独白してくれるようなのが好きな人には
まったく向かないかと。