【感想・ネタバレ】世界へはみ出す 日本でダメなら、海外へ行く。のレビュー

\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

このページにはネタバレを含むレビューが表示されています

Posted by ブクログ

ネタバレ

金城氏は、25歳の時にアフリカで起業してから、あっという間に
40社以上の企業を経営、総売上高300億円以上を稼ぎ出すまでにな
った、凄腕の経営者です。

そう聞くと、さぞや優秀な方なのだろうと想像するのですが、これ
がそうでもない。一流大学出でもなく、留学経験もなく、おまけに、
フランス語どころか英語もしゃべれない。さらに、アフリカで起業
する前に抱いていた夢は、一生安泰な公務員になることだったと言
うのですから、世の中が思い描く「グローバル人材」とは完全に真
逆のイメージですよね。

でも、彼はアフリカで、人が真似できないようなことを実現してい
る。何故か。本書を読むと、その秘密を垣間見ることができます。

詳しくは本書に譲りますが、個人的に最も感心したのは、お金を信
じない、本業で儲けようとしない、敵をつくらない、という、金城
氏のポリシーというか、ものの見方でした。いずれも、異国で生活
する経験の中から身に付けてきた彼なりの戦略であり、信条なので
すが、これらは、サバイバルを最優先にした時、実に理にかなった
ものとなっているのです。企業の生き残りを考える上で、金城氏が
培ってきたものの見方は、実に示唆に富みます。

一読して思ったのは、もっと楽に生きていいんだ、ということでし
た。海外だとか起業だとか言っても、肩肘張る必要はない。もっと
気軽に、それこそ人生ゲームを楽しむように、思い切ったことをし
ながら、思いっきりビジネスを楽しめばいいじゃないか。そういう
メッセージを、十以上も年下の、この若い起業家から受け取りまし
た。

それこそ「はみ出す」ように、新しい一歩を踏み出していこうとい
う気持ちにさせてくれる一冊です。是非、読んでみてください。

=====================================================

▽ 心に残った文章達(本書からの引用文)

=====================================================

そもそも正しいことなんてあやふやで、それこそTPOに応じて変化
するものだと思います。世の中、絶対なんてどこにもないんですか
ら。新しいトコに行ったらまずは、そこの価値観を知るべきです。

日本人は、与えられたルールの中で競争することに特化しているよ
うに思えるんです。

僕の経験上、すべての値段は原価まで下がります。例えば、中古車
なら鉄の値段。運送ならガソリンの値段。レストランなら食材の値
段。そこまで値段が下がったらやっていけないと思いますよね。
そこで考えられる手段は二つ。付加価値をつけて値段を下げない、
もしくは値上げして勝負する。もう一つが利益がゼロでもやってい
ける方法を探す。この二つです。
後者の方法を行なうために、あえて、キャッシュポイントを本業か
ら外すよう意識しています。つまり、本業の利益がゼロでもやって
いける方法を探すのです。

本業を手段化することはビジネスを安定させるためには必要不可欠
だと僕は考えています。

語学ができないと、かえっていいこともあります。それは、言葉に
惑わされないこと。

商談中、スタッフが一生懸命話している横で、僕は静か?に相手を
観察したり考えをまとめたりしています。

賄賂を渡したくないなら渡さないような方法を考えることが大事で
す。渡したくないからといって正面からぶつかっていっても何も解
決しません。会社が登記されなくて終わりです。日本じゃありえな
いと思っても、その国には、その国のルールがあるわけなので。

1万円札は、不思議と本当にありがたい紙に見えます。お札(おさ
つ)というより、お札(おふだ)に近い感じ。でも、1万CFAと聞
くとどうでしょう。1万TSHはどうですか。僕にはおもちゃのお金
にしか見えないんです。それこそ、モノポリーや人生ゲームで使わ
れるお金のようです。

だからむしろ、この紙を使って何をするかに頭が働きます。こんな
紙を収集しようなんて思わない。お金なんてただの引換券で、使い
方にこそ価値があるので、貯め込んでも意味はありません。

ビジネスは、お金を貯めるより上手く使うことが大切。僕は、実際
のビジネスにおいてもゲーム感覚です。お金に価値は感じないです
けど、お金を使ってできることは世の中にたくさんあると思ってい
るからです。みんな、ゲームならできるのに、実際の人生になると
なかなかお金を使う勇気が出ない。これはもったいない。

お金に絶対的な価値があると思って、とにかく大切に守ろうとして
いたら萎縮して面白いビジネスはできませんから。

骨身に沁みたのが「敵をなるべくつくらない」精神です。日本では、
成功するためには敵をつくろうが嫌われようが、命を狙われること
は滅多にないと思います。でも、アフリカは違います。命、狙われ
ます。

売上を伸ばすということは、誰かの命を削っているという認識も必
要だと思います。

僕のビジネスパートナー選びには一つのルールがあります。それは、
最初の出会いがビジネス目的じゃない人と一緒になること。

この世の中のほとんどは無理を通せるってことです。もちろん、頼
み方とかいろいろ方法はケースバイケースだと思いますが、世の中
無理ってことはないんです。

僕が海外にいて、外から日本人を見ていて思うのが行動力のなさで
す。行動力のなさというより、行動を起こすまでに越えるべきハー
ドルが多い感じでしょうか。やる気があっても、様々な要因があっ
て行動を起こせない方も大勢いらっしゃると思います。そんな方に
こそ海外を経験してほしいなと思っています。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

●[2]編集後記

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

この一年以上通い続けている福島県の南相馬市で、住民の方々と共
に、蚕を飼い始めました。原発20km圏内のため、口に入る作物は
つくれない。けれども、養蚕ならば問題なかろうと、素人ばかりで
始めた養蚕のプロジェクト。見よう見まねで飼い始めた蚕が、いよ
いよ繭をつくる一歩手前まで来ました。

小学校の時、蚕を飼う実験をした記憶はありますが、改めて蚕と接
してみると、「あー、こんなだったかなあ」と思いつつも、何とも
愛らしい生き物だなあということに感心します。元々養蚕が盛んだ
った南相馬の方々は、蚕のことを親しみと敬意をこめて「お蚕様」
と呼ぶのですが、確かに、「天の虫」と書くのもむべなるかなと思
うほど、可愛らしくも、神々しいところがあるのです。

見ようによっては単なる芋虫です。でも、触ってみると、シルクの
肌触りがします。実に不思議な感覚です。

お蚕様は、繭をつくる前になると、段々、透明になってくるそうで
す。透明になってきたら、白い糸を吐く。なんと神秘的なのでしょ
う。シルクロードの時代から、付き合ってきたお蚕様と触れ合って
いると、大袈裟なようですが、人類の秘密に触れているような気に
なってきます。

富岡製糸工場が世界遺産になったこともあり、今年はお蚕様がブー
ムになるかもしれないですね。

0
2014年06月29日

「ビジネス・経済」ランキング