あらすじ
交尾後、邪魔になったメスを投げ飛ばすカブトムシと、覆いかぶさりメスを守り続けるクワガタムシ。綿密な観察の結果、明らかになった全く違う交尾の生態や、“体が大きい方が有利”という生物学の定説を覆す「ミヤマvsノコギリ」の勝敗結果など、雑木林に篭り続けて10年のカブト・クワガタ研究の第一人者が送る、動物行動学入門。
...続きを読む感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
京大大学院で動物学を学んだ元昆虫少年による一冊。京都の雑木林でのフィールドワークが元になっている。以下はへえーと思ったこと。
▽カブトムシやクワガタを愛でるのは日本独自の文化である。欧米の甲虫研究ばフンコロガシなど▽ノコギリクワガタとミヤマクワガタが戦うと上からの刺激に反応できるノコギリが勝つ▽関東に多いノコギリが関西に多いミヤマを侵食している▽カブトムシなどの小型の個体は、大型個体に比べて餌場に登場する時間をずらしている▽カブトムシのオスは餌場に来たメスに最初は優しいが、交尾ができると餌場から投げ飛ばす。このためメスはなかなか交尾に応じない▽これに対しノコギリは終始紳士的で、交尾が終わってもメスを守るような動作をする▽タイワントネリコという木にカブトムシが集まってくる。口先で樹皮を傷つけて樹液が出るため▽沖縄では雑木林で樹液は出ていない。クワガタの餌場も異なる。