【感想・ネタバレ】天啓の殺意のレビュー

\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

このページにはネタバレを含むレビューが表示されています

Posted by ブクログ

ネタバレ

ミステリーの問題編と解答編とを別々の作家が描く。 推理作家・柳生照彦から提案された企画は順調に進んでいくかと思われたが提出された問題編は半年前の事件をそのまま告発したものだった。 そして失踪する柳生照彦と殺されてゆく事件関係者。 問題編から犯人は「あの人物」しか成しえないと結論づけられるが・・・。

作中作の終わりを誤認させる壮大なプロットトリックである。 一章の「事件」が作中作で二章の「追及」から明日子による捜査が始まってるように見えるが実際は「追及」も柳生氏による原稿で作中作である。 これにより明日子を探偵役として偽装する強烈なトリックである。

0
2023年06月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 故・中町信氏は、多数の著作を残したものの、現在ほとんどが絶版である。一部作品が、改題の上創元推理文庫に収録されている。

 1982年に『散歩する死者』という題で刊行された本作も、そんな数少ない作品の1つ。書店で平積みされていたのを見つけて、手に取った。自分が中町氏の作品を読むのは初めてではないし、それほど高く買っていない。過大な期待は最初から抱いていなかった。

 本作を含め、数作品を読んだのみであるが、お世辞にも文章がうまい作家ではない。それでもカルト的に支持されるのは、「騙し」の部分だろう。人物が多すぎる上に、次々と死んでしまい、おいおいどう収拾させるんだこれと思いながら読んでいたが…。

 デビュー作に当たる『模倣の殺意』もそうだったが、ミステリ慣れした読者ほど、真相に驚かないだろう。ではどこに価値があるのか。『模倣の殺意』の刊行は1973年。本作は1982年。当時としてはあまりに斬新すぎた手法。中町氏は、時代のはるか先を走っていたのだ。

 ところが、現在では類似の手法は珍しくない。特に『模倣の殺意』の手法は。本作の手法も、例がないことはない。ミステリ慣れしているはずの自分の迂闊さに、ただ苦笑するしかない。お世辞にも文章がうまくないなどと書いておいて、この体たらくである。

 本格ミステリの作品ではあるが、歴史的資料として読めば、意味合いが変わってくるかもしれない。このジャンルは、先人の模倣をいかに作家なりにアレンジするかで発展してきた。模倣は悪ではない。それだけオリジナルのアイデアが優れている証しなのだから。

 本作の語り部が、編集者という設定であるのは興味深い。彼女は、苦労して書き上げたであろう原稿を、容赦なく斬り捨てる。あとがきを読むと、中町氏もまた、編集者と丁々発止のやりとりがあったようだ。いや、どちらかといえば、一方的にやられているか。

 東京創元社による復刊と、書店発のブームをきっかけに、没後に再評価の声が高まった作家、中町信。今後も知る人ぞ知る作家であり続けるだろう。中町氏が本作ミステリの歴史を作った1人であることは、胸に刻んでおきたい。

0
2019年01月31日

Posted by ブクログ

ネタバレ

表紙や中表紙に読者への警告があり、なかなか挑戦的だなと思いつつ、それならトリックを暴いてやろうと意気揚々と読み始める。
流れるような展開で犯人候補者も次々と変わり、ページを捲る手が止まらない。ちょっと古風な言い回しも味があっていい。
結局、3/4くらい進んだところでやっと全体のトリックに気付き、犯人にいたってはかなりの終盤で気付くという始末…。
やや一風変わったトリックを読んでみたい方にはオススメです。

0
2019年01月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

やられた!こういう仕掛け小説、久しぶり!
推理作家が編集者にもちかけたリレー小説の企画。しかし編集者に渡された原稿は、半年前に起きた事件をそのまま書いたものだった…!ってのが大筋なんだけど。小説の構成の大半を占めていたのは、実はその作家の原稿で、真実はその後明らかにされるという巧みさ!
そして多分、それを2割増しで良くしてるのが、内表紙の最初に書いてある鮎川哲也氏の「希わくは、作者が仕掛けたワナにはまらぬことを」という一言!「見抜くぞ~!」って気にさせられるけど、ズルズルやられた。
ホント推理小説の王道的心地よさを味わわせてくれる作品。

0
2016年07月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

叙述ミステリーと言うことだが、思っている叙述ミステリー出ないような気がする。
トリックを知って もう一度読み返してみたい気がする本。

ストーリーは作家から原稿を預かった編集者がその内容が実際にあった事件と酷似していることに気づき、その事件を調べていくというもの。
その原稿に書かれている内容、人物は全て実在するもので、作品での犯人、現実のでの犯人は両方とも同一人物であろうことが分かる。

この編集者の女性が探偵役となり事件解決に奔走する。
そして推理小説のラストである犯人が指摘されるという王道のストーリーであるが、そこに叙述ミステリーとして一ひねりが加わる。

最初に書いたように自分としてはこれ叙述ミステリー?みたいな気がするのだが、普通の推理小説ではないのは分かったが、叙述ミステリーと言われてもなるほどとはならなかった。

0
2023年10月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

叙述トリックは叙述トリックだと明言することがネタバレだったりするが、さすがにこれはもういいかな、と。帯とかでも散々煽ってるし。さすがに古い作品なので、今の読者の多くは仕掛けに気づくんじゃないかと思いますけどね。それより気になるのは謎のリーダビリティ。普通、この手の(見の蓋もなく言えば)トリックだけの作品って、けっこう退屈だったりするのだけれど、それがてんでない。なんだろう。

0
2021年01月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

正統派の推理小説。
どんでん返しの小説が流行っているから、そういうジャンルに入れられているのかもしれないが、そういうのを求めてこの本を読んではいけないと思う。
そもそも推理小説は犯人が意外であることが当然で、もし当たり前の人が犯人だったら、読者は逆にビックリしてしまうから、そんな小説が出たらどんでん返しになるのかな。

リレー小説を書くことによって復讐するっていう発想が面白い。
肉付きがよい、とか
こまたのきれあがった、とか
レトロな言い回しも楽しい。
思い切り気持ちよく騙されてしまった。

犯人は途中から、もしかして。。。と思い、結局当たってはいたが、動機と犯行方法が分からなかった。答えが合ってても、途中の式がなければ証明の問題はマルがもらえないからダメだ。
でも、冒頭でお弓さんが週刊誌の部署から異動になったっていうことに違和感があって、何度も何度も戻って確認したのに、そして「あれ?」って思ってたのに、途中で柳生が書いた小説を読まされていることに気がつけなかった。

んー、やられた!



0
2020年04月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

2017年60冊目。
最後まで分からなかった叙述トリックモノ。中町信作品は2作目、前回も叙述トリックモノだった気がする。
ちょっともう一度整理して最初から読み直したい。
まだ完全に理解出来てない気がする。

0
2017年12月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

落ち目の推理作家が犯人当てリレー小説の原稿を推理雑誌の編集者に持ち込んだ直後に失踪。編集者は、その原稿が過去に起こった事件そのままであることに気づき、その真相解明のために調査に乗り出す。
作中にその原稿を取り込んだプロットが面白い。事件関係者相互の関係性の構築が巧妙。旅情性もあって、とても読みやすい作品だ。
『捜査』の章の最後まで読むと犯人がわかってしまうが、「この人物に本当に犯行可能なのか?」と不思議に思い、ページを繰りなおしてみた。確かに非常に意外性のある真相ではあるが、インチキすれすれというよりも、インチキそのものとしか思えない記述には、評価を下げざるをえない。

(ネタバレ)
犯人は、亀岡、片桐、尾道の3人にニセの顔を見られている。それなのに、この3人に真相解明のために聞き取り調査を行っているのはやりすぎだろう。特に、亀岡は客の顔を1度見たら忘れない優れた記憶力の持ち主なので、すぐに気づかれてしまう危険性が高いはずだが。
また、犯人が柳生の原稿を読んだ際に、「この小説のストーリーによく似た作品を、なにかで読んだことがあるような気がしたのだ」と感じ、過去の新聞記事を調べる記述があるが、いくらなんでもこれはひどすぎる(自分が実際にやった犯罪なのだから、すぐに気づくはずのこと)。

0
2016年06月20日

「小説」ランキング