あらすじ
16歳のアンナは、今日もベッドから起きてこない母親のかわりに
13歳の妹と5歳の弟の面倒をみている。
父親は自身が経営する中華料理店にかかりきりで母親を顧みることはない。
本書は、ヤングケアラーであるアンナが、人種差別、いじめなど、様々な困難を乗り越え成長し続ける物語。
精神疾患と闘う家族重くなりがちなテーマだが、アンナの気持ちがていねいに
描かれ、ローリーとの初恋がさわやかに織り交ぜられて、青春小説としても楽しめる。
ウェイ・チムは中国からの移民の人々と話した際に、精神疾患を不名誉・恥と
捉える文化の相違を知って本作を思いついたという。
患者本人だけでなく、家族も偏見に苦しめられる状況を変えたいと願いを
こめた。オーストラリアを舞台に、精神疾患と闘う家族にスポットライトを
当てた本作は、オーストラリア、イギリスをはじめ、世界で高い評価を受け、
作者の代表作となっている。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
主人公は、オーストラリアで暮らすアジア系16歳の少女。精神疾患の母親を軸に物語が展開するんだけど、ヤングケアラーやアジア系移民の生活、家族のつながり、メンタルヘルス、恋愛などなど、色々なテーマを上手くまとめている良作と感じました。
LGBTも、さりげなく取り入れているところも好感。当たり前の存在として登場してくるのは、海外YAだとトレンドになりつつあるのかな。調査データによる人口率から考えても、クラスに2~3人いてもおかしくないものね。
入院や症状の描写はリアルで、しっかり情報収集して書き上げている印象を受けました。
あと、作者のWai Chimさんのインスタの猫がかわいいです。
Posted by ブクログ
今話題のヤングケアラーについての小説。
海外が舞台になっているので新鮮な感覚で読めるが、やはり精神疾患を持った家族をケアする立場の視点はただ読んでいるだけでもとても辛くなるものがある。
こういったヤングケアラーの問題について自分が今すぐできることは少ないが、日本にもある「精神病は一度罹ったら一生治らない」というような風潮が偏見であり当事者をとても苦しめるということを理解しておきたい。
そして、わたしも一人間としてメンタルヘルスケアに十分気を配って生きていこうと思った。と言っても今ちょうど軽度のうつを患っているので、そのことも重なりさらに強くそう思った。