【感想・ネタバレ】母の友2023年4月 特集「わたしを大事にするヒント」のレビュー

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Posted by ブクログ

創刊70年記念のリニューアル第1号。
70年前の母たちも「あまりに忙しい」毎日を送っていたらしい。考えてみれば、電子レンジはないし、洗濯だって洗濯板。家事に育児に追われるわけだ…。

現代は現代で「忙しい」ことに変わりはなくて、4月に育休から復職した私にとって「わたしを大事にするヒント」はめちゃくちゃ参考になった!

「わたしを大事にする」のをいつの間にか「自分を取り戻す」という意味に感じながら読んでいた。
母になる前の自分を取り戻す。仕事との両立はたしかに大変だけど、出産前から働いている会社に復帰して「おかえり!」と迎えてくれる同僚がいて、大事にしてもらえることに感謝だなぁーと思えた。

いい香りのハンドクリームを部屋のあちこちにおいておく、というヒントがあったけど、ハンドクリームは小さな子どもに取られてしまうと厄介なんだよなぁー。

いい香りのするお茶を冷めにくいカップにいれて、ちょこちょこ飲むのもいいかもな、なんて思ったりしている。

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2023年05月11日

Posted by ブクログ

2023年3月号から読み始めた私にとって、今号で早くも表紙がリニューアルされている事に、やや戸惑いを感じたものの、字数を出来るだけ少なくした、シンプルなデザインと、サーモンピンクの淡く優しい色合いに加えて、『母の友』の文字の、ゆるく温かいデザインも印象的な中、紙質も高級感ある滑らないものに変わっており、表紙ひとつで、これだけの拘りを見せている点に、創刊70周年記念の意気込みを感じられました。

そして、表紙の裏の見返しには、編集部の更なる意気込みとして、『読者のみなさん、性を問わず、たくさんの方々と一緒に「母」の重みを解き放っていけたら』と書かれており、そこには、2022年の日本のジェンダーギャップ指数が世界146か国中、116位という事実からも分かるように、未だに重みを感じている人が多いということです。


特集は『わたしを大事にするヒント』。

まず印象的だったのは、精神科医の宮地尚子さんと、作家の小林エリカさんの対談で、宮地さんは、著書『ははがうまれる』に於いて、『自己犠牲にメリットはない』と書いており、その理由は、母親が家庭に存在しない時間が発生してしまうことが、それまでにどれだけ子どもの為になることをしてきても、結局、大きなデメリットになってしまう以上に、母親も一人の人間だということを、殊に子育てになると何故か認識されなくなるような、そんな社会のあり方を問題視しており、その根深さは、小林さんの、『それまで生きてきた自分と、「母」として社会の中でこうあらねば、と思う自分にズレがある。それがきつい』という言葉からも分かるように、なぜ子育て=母親という概念が一般的に浸透しているのか、そこをまずは見直していかないといけないと感じました。

『母は完璧じゃない。母にも悩みがある。そのことを告発口調じゃなくて、フラットに世間に発信していくこと』

『学校や社会で「努力すればその分、成績があがる」という価値観、子育てにおいてはそれが必ずしもあてはまらない』

『子育てはいい加減がちょうどいい。親が完璧だと先回りして環境を整えてしまうから子どもの自発性がむしろ育たない』

『子育てにおいては「はやく、たくさん」思想よりも、むしろ反対の「のんびり、すこし」を重視した方がいい。リラックスした状態のほうが、親だけじゃなくて、子どももほっとできる』

次に印象的だったのは、同性パートナーと子どもを育てる、小野春さんで、周りの人たちと関わっていく上で改めて実感された事と、そこからわたしを大事にする考え方は、今の多様化社会に於ける向き合い方を、分かりやすく教えてくれたように感じられました。

『セクシャリティやジェンダーって、男性、女性の二つだけ、あるいはLBGTの四つのカテゴリにすっぽり分けられるものではなくて、無限のグラデーションがあるということも体験的にわかってきました』

『最近は「私の側の問題」ではなくて、「相手の側の考え方」で起きたこと、だから仕方ないよね、と思うようにしています』

更に、精神科医などの星野概念さんの「自分らしさって何?」での、『自分に厳しくする、自分を責めるって実は簡単なこと』には、裏を返せば、自分に優しくするのは難しいけれど、その分、とても大事だということを教えてくれました。

特集の最後は、料理研究家である野口真紀さんの、「自分のための、おとなのコース料理」で、お手軽に作れて美味しそうな「タリアータ」や「パセリとタコのサラダ」等のレシピに加えて、『子育てだけにまじめになりすぎないで』、『子どもは巣立っていくもので、その後の自分の人生もまだまだ続くのだから』といった、言葉に込められた優しさも印象的でした。


ここからは、私の気になったコーナーを。

「四月の光」の川内倫子さんの写真、光が目に見えることで霞がかったような桜の光景は、妖しくも美しくて、とても幻想的。

長田杏奈さんの「私のきれいは私が決める」。
娘さんからの、『保育園の帰り道、ママの腕についたスーパーの袋の跡が元に戻るか心配だった』に、胸が締め付けられ、『もう母は十分に頑張っている』に、その通りだと感じ、「顔は若作りだけど、手の年齢は誤魔化せないね」と品評した知人の言葉に、『年齢が出て何が悪いんだ』と思った長田さんを称えたい。その手が毎日どのように使われて、そうなったのか、少しは想像してみろよと言いたい。

コウケンテツさんの「やさしくいきましょう」の、『春野菜のそぼろちらし寿司』。
簡単そうで色鮮やかで、しかも美味しそう。

高井祐子さんの「心のセルフケア」。
『感情は、目の前のできごとや人によって作り出されるのではありません。認知行動療法でいうと、あなたの考え方、とらえ方、つまり「認知」があなたの感情を作り出しています』に、へえ、そうなんだ。
そして来月号からは、自分で自分を「大丈夫」にする方法を一緒に実践していくそうで、今から楽しみ!

「こどものひろば」は、選者が工藤直子さんから、東直子さんへとバトンタッチして、上手いこと直子繋がりになりました。
そして、ちょうちょを『羽で拍手してるんだよ』と表現したお子さんの世界では、さぞ、楽しい音が、そこかしこから聞こえているのでしょうね。

読んで上げるお話のページ、「ピーナッツ、キュウリに会う」は、一度、懐に飛び込んで気心がしれてしまえば、あとはどうとでもなるといった、まさに新学期の友達作りに勇気を与えてくれるお話です。

「えほんのきほん」。
『絵本の一番の良さは「楽しさ」にある。読まなければいけないとプレッシャーを感じるよりも、子どもと一緒に楽しめばいい』、私もそう思います。

「絵本作家対談 スズキコージ×鬼頭祈(前編)」。
スズキコージさん初めて見ましたが、とてもダンディな方で、しかもお話が自然体である点は、わたしを大事にするヒントにもなっているのが凄く、『ぐるんぱのようちえん』を描かれた、堀内誠一さんとの繋がりも納得できる中、「あなたは本当にこれを子どものためにと思って書いているんですか?」と聞かれた時の、『僕はわかる人に届けばいい』には、とても胸を打たれましたが、私には、そもそもこの質問の意味が理解できず、おそらく、この質問をした人は、これが子どものためにと思って書いた絵ですと、正解なる物を見せられるのでしょうね。それに正解や間違いなんて無いと私は思いますが。子どもの心の世界の広さを舐めちゃいけませんよ。
そして実際に、コージさんの母の友93年、94年の表紙絵を見ましたが、目には親しみがあり、たとえその姿が人の形では無くても人の魂が入っているような、そんないじらしい存在感を、私の心は捉えました。

安田菜津紀さんの「わたしのストーリー」。
中二の時に亡くなった父の、少し困った顔をして、静かにただ笑っていたけれど、目の奥には悲しそうな表情に、とてもやるせないものを感じましたが、在日コリアン二世という、そのルーツを語らなかった父の繊細な部分に今後迫るであろう、安田さんの歩み寄りに注目したい。

森田真生さんの「かずをはぐくむ」。
『悲しみや怒りを乗り越えるきっかけは、自分を思ってくれる他者の存在とは限らないのだ。ましてや、心の強さや道徳や思想だけで人は前向きになれるわけでもない』という、この理由を、人と人との関係性とは全く無縁な自然の世界に触れることで、心が少しだけ軽くなったり、癒やされる傷や悲しみもあるからだと、教えてくれます。

「BOOKS」で紹介されている、フォローしている方も読まれていた、赤染晶子さんの『じゃむぱんの日』は、なんと、あの岸本佐知子さんとの(爆笑)交換日記を併録とのこと。これは読まないと!

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2023年05月21日

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