【感想・ネタバレ】母の友2023年3月 特集「守れているかな 子どもの権利」のレビュー

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Posted by ブクログ

子育てにおいて、根底にあって、むしろこれだけで良いんじゃないかと思えるほど大切なことが『子どもの権利』だと感じた。

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2023年05月18日

Posted by ブクログ

これだけ、一冊の雑誌をこと細かく読んだのは、生まれて初めてかもしれない(そもそも毎月コンスタントに発売する雑誌を私は買わないので)。

それくらい内容は、多種多様に富んでいながらも共通点があって、考えさせられる事が多く、とても充実した読書になりました。111108さん、ありがとうございます(^^)

そんなわけで、「母の友」、初めて読みました。
こんな素晴らしい雑誌があったのですね。
まずは何と言っても、表紙に書かれている

『子どもは大事、わたしも大事』

これ、いい言葉だなあと思って、もしかしたら、今の世の中でこうした思いを抱いてはいけないのではなんて、感じている方もいらっしゃるのかもと思うと、こうした表記ひとつだけでも、とても大きな勇気を貰えますよね。

早速、見返しを見ると、あっ、工藤直子さんだ。
なんでも、十五年間に渡って、「こどものひろば」の選者を担当されていたとの事で、途中にある、「これからも たのしみ たのしみ!」において、亀村五郎さんから選者をバトンタッチする話を聞いたときの、ピョンと飛び上がったエピソード、彼女らしい天真爛漫さだなと感じました。

次に印象的だったのは、植物観察家の鈴木純さんのコーナーで、あれっ? これどこかで見たことあるなと思ったら・・以前読んだ『まちの植物のせかい』と同じ方だと気付いて、しかも、写真と台詞で紹介する構成も一緒だし、これは何か得した気分♪それから、「オオイヌノフグリ」。これは庭で見たことあると思い、早速見つけたのはいいが、私の視力では雌しべまで細かく見ることが出来ず、ルーペ買わないといけないな。


そして特集は、『守れているかな 子どもの権利』で、これが私にはとても考えさせられる事が多く、私自身も救われた気持ちになれた事は、これからを生きていく上で、とても大きな励みになったと実感しております。

弁護士の間宮静香さんによると、まずは概念を理解することが大事ということで、それは

『子どもは、親とは独立した別の人格である』

ということであり、そこには、親は子どもの将来ばかり心配しがちだが、今を生きる権利が子どもにはあることや(子どもの力を信じることが大事)、自分では気付かずに親の欲望を叶えようと頑張っていて、そのことに親も気付いていない、いびつな状態等が(『コントロール欲求』といって、子どもに良かれと思って先回りするのはほとんど自分の為だそうです)、該当します。

しかし、そもそも私は、「子どもの権利条約」なるものも知らなくて(日本は1994年に批准)、その中でも特に重要なのが、『子どもの意見表明権の保障』と、『子どもの最善の利益』であり、前者は、親や教師に意見を言っても良いということで、後者は、大人は子どもにとって最も良いことを考えるということで、それらには、親は自分に権力があるということを自覚することが大切であるとの事だが、これは、もっと広く知られるべき大切なことだと感じまして、私の学生時代には思いつきもしないというか、そもそも、あり得ないことだと勝手に解釈していたのがね・・ま、今となってはいいんだけどさ(そもそもまだ批准してなかった)。それでも、これからの人達には是非知っておいて欲しいし、子どもらしく健やかに生きていけるように願いたい。

また、子どもの権利を知っていると、育児が楽になるということも書かれており、これは何をすべきか指針が明確だからだと思われます。

それから、もう一つ重要な事は、

『家庭や学校以外に、もう一つ子どもに居場所を作ること』

だそうで、これは、親からも学校からも離れて、その子がありのままでいられるような場所が必要で、学校の問題は、ときに親に大きな動揺を与えてしまうこともあるからだそうです。なるほど、そう言われてみると、確かに私も高校早退した時、そういう場所が欲しいと思ったこともあったな(実際に公園とか行ってました)。

更に、私の過去の体験にも該当したことの一つに、『子どもにレッテル貼りをすること』があり、子どもは自分で変わっていく力があるのに、そうすると
、そこから身動きが取れなくなってしまうそうで、その結果、『親の不安が子どもの未来の可能性を奪ってしまう』ことにもなりかねず、これは、親が子どもの変化や成長を待てないことが原因だそうです。

それともう一つ、気になった事は、親が不満を言わなければ子どもは気にしていないことが多いのに、親の言葉を聞いて、子どもは不安になるということには、私も心当たりがあり、何か大人の中での決めつけた事と、私の気持ちが一致していない感じというか、そもそも私の事、信用してないんでしょ? と感じることは多かったですね。まあ、とはいっても、全ての事が該当するとは思いませんし、そこには、親の言葉の選択や伝え方と子ども自身の性格もあるとは思います。

そして、そんな中から様々な形で発生する悩みや、問題自体は、必ずしも結論を出すことにこだわる必要はなく、一緒に考えた手応え自体が子どもの財産になるそうで、これは私も嬉しいだろうなと思いました。


ここからは、その後のコーナーで印象的だったことを書いていきます。

ツルリンゴスターさんの「うまくやりたいとは思いつつ」の、『子どもの話は夫婦で共有していいか、本人に確認してからする』には、子どもの事、とても親身に思ってくれていて、良いと思った!

「山脇百合子さんと母の友」は、60年にわたり「母の友」と関わってきた、彼女の『自然な謙虚さ』や、姉の中川李枝子さんの、『百合子の絵は人柄そのままかもしれない』が印象的。

沖永良部島の昔話、「山の神とこども」は、試されているような感じがどうもと思いつつ、どんな状況においても、自分を持ち続けることの大切さ(プラス人の好さ)を教えてくれて、これは読み聞かせした時の子どもの反応が楽しそうな作品なので、お子さんがいらっしゃる方は是非。

まるやまあやこさんの「絵本作家の自由帳」、素敵!
星の光とタンポポの種が同じくらいの神々しさに思われるし、あるいは、星の光を取り入れているから、キリンが心地良く寝られるような綿毛の布団になってるのかなとも感じさせる、これが自由帳なのだから、やはりプロは凄い。

「絵本のひみつ」は、表紙の「きんぎょが にげた」の五味太郎さん。初めて、こどものとも単行本シリーズに於いて、背表紙を白一色ではなく、緑色にしたそうで、その固定観念から軽く逸脱できる発想力と子どもを思う気持ちは、絵本作家さんなのだなと。

岡田千晶さんの絵も嬉しかった、「園の子どもたち」の勝浦いづみさん。一歳児クラスの子どもたちは、言葉無き世界から、言葉を通して意思疎通する世界へと歩みを進めていくって、もう一歳児からなんだって、私には改めて新鮮な情報だった。

「かずをはぐくむ」の森田真生さん。夫の出張のように、妻にも定期的に『旅』に出かけてもらうことで、互いに支え合う喜びを分かち合えることが、ともに生きていく上での支えだったことに加えて、自分が誰かの役に立てていると感じることの喜びを知ったことには、旦那さんも辛かったんだなと。でも、こうしたコミュニケーションから始まる新しい発想は大事にしたい。

「Books」で紹介されていた「ふたりたち」の、『自分はひとりだなあ、という人が、さみしくならないような本を作りたかった』を読み、思わず涙腺が緩くなりそうに。読もう。


「この一年、この言葉」より

東直子さんのエッセイ、「一緒に生きる 親子の風景」より。
『子育ては実は本能ではなく、理性と知性でコントロールするものです』に心動かされた。
本能でできるもんだと思い込むとうまくいかない、確かに説得力のあるお言葉だと感じ、これに救われた子育て中の方も多いのでは。

東畑開人さんの「幼い子と共に生きるヒント」より。
『誰かが「それは苦しかったね」と言ってくれるから、ああ、自分は苦しい目にあっていたんだと感じられる。「自己肯定感」というのも本来はそういうものです』には、目から鱗の思いだし、おそらく、とても救われた気持ちになる。

ryuchellさんの「気になるみんなの24時間」より。
『お互いの肩書きとか性別とかを見て判断するのではなく、目の前のその人を見ることが大切だなって思います。でも、例えそれがうまくいかなくても、その人のせいじゃない。それって、社会の植え付けだと思うんです』。こういうこと言ってくれる人が、もっと増えてくれればいいのになって思う。

本田秀夫さんの「幼い子と共に生きるヒント」より。
『私は発達障害とは、病気というよりも、単に少数派である、ということだと思っています。障害が生まれるのは、多数派に合わせようと無理をしたときなんですよ。もしその子がその子の個性のままで生きていけるのであれば、それは発達“障害”とは言えないのではないかと私は思っています』
こうした気持ちを私も持ち続けていたいと思う。


最後に「編集だより」にて。
「母の友」と「こどものとも」の創刊編集長であられた、松居直さんは、戦争中に三人の兄を亡くし、学校では『男の子はお国のために死ぬものだ』とずっと教えられていたが、戦争は終わって、生きることになったけれど、その方法を習ったことがないから困ってしまい、『生きるってどういうこと?』が松居さんの生涯のテーマとなり、その思いは、創刊したそれぞれの本にも投影していたことを知り、それらを通して、『生きるということをみなさんとともに考えたい』という気持ちがあったから、こうして2022年で創刊70周年を迎えた「母の友」も、これだけ長く愛読され続けてきたんだなと実感し、更に、

『生きることは平和と関係がある。戦争とは関係がありません』

のお言葉は、決して忘れることなく、一生考え続けるべきテーマだと感じ、これからも「母の友」を読み続けようと、心に誓いました。

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2023年04月21日

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