【感想・ネタバレ】吸血鬼のレビュー

あらすじ

1845年、オーストリア帝国の支配下にあるポーランド。寒村ジェキに赴任した役人ゲスラーは、若き妻を伴い陰鬱な地にやってきた。かつて文学青年だった彼は、愛国詩人でもある領主との交流を心待ちにしていたのだ。だがその矢先、村で次々に不審な死が発生し、人々は土俗的な迷信に怯え始める――独立蜂起の火種が燻る空気の中、人間の本質と恐怖の根源を炙り出す、恐ろしくも美しい物語。皆川博子氏と作者による解説を収録。

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Posted by ブクログ

歴史が生んだ
人種の多層構造。
吸血鬼という土着風習。
そこに人間の本質を描く。
凄い小説だ。

1845年。
オーストリア帝国の支配下にある
ポーランド。僻村ジェキ。

ドイツ系オーストリア人の役人
ヘルマン・ゲスラーは、
若き妻エルザを伴って代官に着任した。

ポーランド人の詩人
アダム・アダムスキ男爵が
村の領主だった。

ゲスラーの下男マチェクら村の人々は、
貧しさのなかで生きる
土着ウクライナ人であるルテシア人。

三種の人種が折り重なり奏でる
歴史の奇妙な軋み。

そして、村には
死んだ恋人が戻ってきて、
真夜中に扉を叩き、
開けてほしいと望むという
怪異が言い伝えられていた。

それを防ぐべく、
村人たちは墓を暴いて
死者の首を斬る、
土俗的な風習をもつ。

村に不審な死者が続いたとき、
代官ゲスラーは
決断を迫られるのだった。

歴史が生んだ
人種間の複雑な歪み。
怪異なる風習。
迷信におびえる村人。
独立蜂起の火種。
揺れ動いていく寒村。

吸血鬼伝説という
外皮を纏いながら、
膨大な資料の読み込みに
裏打ちされた確かな事実に、
明晰な知性と
飛翔する想像力が
新たなる真実を描く。

歴史とフィクションが
一体となった
類まれな小説だ。

歴史小説のありようと
存在意義を、
この作品が明確に
証明している。

恐ろしさは
人間のなかにある。

0
2026年09月30日

Posted by ブクログ

評価3.5。不穏で陰鬱、不気味な雰囲気が全編に漂う。ポーランドの寒村が舞台だが、まるで当時を見ていて自分もその場にいるかのようで、筆力が凄い。日本人作家が書いた作品とは思えないほど、人々の様子や息遣いがリアルすぎる。
タイトルから吸血鬼の物語かと想像していたが、ポーランドの歴史や因習、貧困、他国の支配に対する怒りが書かれている。
著者の方の他の作品も読んでみようと思う。

0
2026年04月28日

Posted by ブクログ

吸血鬼繋がりで「あの子とQ」の後に
読み始める
なんとも重苦しい話しで
ずっと全身が押さえつけられているような気分で
読んでいた
村人の死が続いたのは、はたして偶然なのか
本当に例の儀式をしなければならなかったのか
吸血鬼の仕業だったのか
主人公の葛藤と、悲しみとが
痛いくらいに伝わってくる

あの子とQとは似ても似つかない
吸血鬼でした!

0
2025年07月21日

Posted by ブクログ

ポーランドを舞台にした作品は、革命や蜂起を題材とするものは少なくない。『吸血鬼』も、革命前夜の物語と言える。

が、単に、帝国とそれに対して反旗を翻す愛国者の話だけではない。ガリツィアという地域に存在する複雑な民族構成と支配関係が描かれている。ルテニア系の農民、ポーランド人の領主、オーストリア帝国。そしてその間に入った役人。

吸血鬼は迷信でありながら、その迷信の底に猛威を振るうのはいつも人々の恐怖と不満である。

決して読みやすいとは言えないが、余韻が残る物語だ。

0
2024年12月29日

Posted by ブクログ

毎回思うのだけど、
これは日本人作家の小説なんだろうか…
この人の描く海外の世界はちゃんと現地のもののようだ。
読みづらささえ、構築してしまう。
.
吸血鬼とは誰だったのだろう。
そこにはまだ科学だけでは納得いかない心情と、理論だけではいかない領地運営、過去の夢が混じり合っている。

0
2023年03月26日

Posted by ブクログ

1845年
オーストリア帝国の支配下にあるポーランドの田舎の村ジェキ!ゲスラーは若き妻を伴い新たな役人として着任した。

クワルスキーは元詩人の大地主!?
かつて名を馳せた詩人は自分の現在を燻らせている・・・

ジェキを訪れる際にアクシデントがおき、ゲスラーはヤレクと言う謎の男と出会う・・・
謎の男は自らを死人の首斬り人と名乗る!!!?




ゲスラーが着任した後、村で不審な死が発生する?

そして、革命の足音が村に迫ろうとしていた・・・



非常に不気味な物語です・・・

村人の田舎訛りは少し読みづらかった。しかし、田舎の雰囲気をいい具合に醸し出していた!

0
2022年10月09日

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