【感想・ネタバレ】少年A 矯正2500日 全記録のレビュー

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Posted by ブクログ

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神戸児童連続殺傷事件後を引き起こした少年Aの更生記録。少年Aの父母が書いた著書を読んだ後も疑問に感じていた「なぜ少年Aは殺人を行ったのか?」が、一部納得できた本であった。少年Aの生い立ちに加え、「性的サディズム」が犯行の最終的後押しになったようだ。そのメカニズムの解明は、少年Aを医療少年院で更生教育を行う経過で分かった結論である。しかも、更生教育により彼は自分が起こした事件の罪深さを実感するに至り、かつ退院後現在に至るまで再犯を犯していない。凶悪犯罪を引き起こした少年に対し厳罰を望む世論が強まっている。一方で、著書は更生教育を行うことで事件の真相が解明されたことを示している。罪を心から理解し、自覚し、背負い、今後社会で何十年も生きていくことは、死刑以上に苦しいことではないかとも感じる。少年Aの更正を支援するに当たっては、特別プロジェクトが組まれ、手厚い教育がなされた。スタッフ達の心の葛藤も想像を超えるものだったのではないか。私個人は、死刑の推進に賛成しない。もしも、少年Aに行われたような更生教育が行われるのであれば、犯罪を犯した少年が罪を自覚して生きることの方が重い罰に成り得ると思っている。ただ、著者がこの著書で記したような情報公開を、国が社会に向けて果たすことも必要だ。真相の情報公開があってこそ、社会の安心が補完されると考える。いつか裁判員になる時がくるかもしれない。人が人の死を決めて良いものか、死が最も重い罰に成り得るのか、死刑は凶悪犯罪の抑止に本当に成り得るのか、もっともっと国民も考えていかなければならない。少年Aが罪を背負い、人生を全うすることを願っている。

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2012年05月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

友人と凶悪犯罪を犯した犯罪の背景について議論したことがきっかけで手に取った本。神戸の酒鬼薔薇事件を犯した少年Aの、事件を犯してから少年院に入り、保護観察を終えるまでの矯正の記録が描かれている。

本書を読むまで、私は少年Aの犯した神戸での事件について、事件の表面的な部分しか知らなかった。凶悪犯罪の背景に、親と子の関係性(本書では、少年Aが母親からの愛情を十分に受け取ることができなかったこと)があったことを考えると、少年凶悪犯罪が単に人ごととは思えず、子の育ち方次第で誰にでも起こりうることなのだと思う。そういう意味で、犯罪の背景を掘り下げて理解することは、自分にとっても社会にとっても、同様の事件を起こさせないために重要なことと考える。

このような犯罪を犯した子どもに矯正の機会を与えるかどうかについては、被害者の心情を考えると、否定的な意見もあると思う。確かに自分が被害者の関係者であれば、肯定的に考えることはできないだろう。ただ、第3者として館がる際、加害者の矯正をするということは、加害者のためでもなく、社会のためでもあると考える。なぜなら、矯正のプロセスから、犯罪の背景を掘り下げて理解することもでき、それが今後の犯罪の根源を発つことにつながると考えるからだ。本書は、どんなに凶悪な犯罪を犯した子どもでも、矯正が可能である(完ぺきに矯正されるかまでは、誰にもわからないが)ということを伝えているし、また、それを可能にするには、社会の許容が重要であることも伝えている。

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2012年08月05日

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