あらすじ
「本書は、孤独な創作の航海を続けるプロ作家にとっても、暗闇を照らす灯台となる稀有な指南書(ガイドブック)です」(小説家・久美沙織)
ハリウッドの脚本家やTVプロデューサーらが「こんな良質な本が世に出るのはおかしい」と驚愕するほどの名著の角川新書版。世界に通用するエンタメ作家になるには? スランプ脱出にも有効。
本書は「ハリウッドの虎の巻」とも呼ばれ、日本の一部の創作講座などでも教科書として採用されてきた(下巻では原書の第13章~最終章を掲載)。
高名な〈ヒーローズ・ジャーニー〉理論に加え、ボードビル(寄席演芸)や芝居から得た遺産、ハリウッドに伝わる伝統的な知恵、ウォルト・ディズニーのノウハウ、心理学に音楽やダンス、絵画、東洋武術、建築、軍事等々、様々な分野の原理を援用した総合的かつ多彩なテクニックを紹介する。壮大で深い感銘を与えるストーリー、人を強く惹きつけるキャラクターには「法則性」があった! この仕掛けを知れば、映画・小説の鑑賞や批評にも応用でき、更に深いレベルで作品を堪能できるようにもなる。
「たったいま本書を読み終わったばかりだが、早くもこの本にはだいぶ助けられた。ちょうどリライトの手法が欲しかったんだが、この本はその突破口を見つける手助けになったんだ。こいつは社交辞令じゃないぜ」――スコット・シルヴァー(『8マイル』の脚本家、『ザ・ファイター』でアカデミー脚本賞ノミネート)
下巻では、プロップのおとぎ話理論などを平易に解説。同理論によると、おとぎ話でくり返される舞台設定や登場人物の役割は、その多くが対になっているという。プロップが見つけだしたこれらの特徴は「留守→禁止→違反……」など31あり、〈ヒーローズ・ジャーニー〉の要素とも似たところがあるのだ。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
下巻はウラジーミル・プロップのおとぎ話の構成や理論などについて語っている。
ウラジーミル・プロップの著作は日本では代表作である『昔話の形態学』を含め、ほぼ絶版になっていて手に入りにくい(『昔話の形態学』は何度か再販されているが、その度にすぐ絶版になる)
なので、手に入りやすい読みやすいかたちで学べるのはかなり助かる。
この本だけで映画の構成や、創作に対する知識を賄えるわけではないが、手に取りやすいこの本から手を出していくのが良いかも。
Posted by ブクログ
ロシアのプロップがおとぎ話の構造を分析したツールの紹介や、物語の細部を豊かにする環境的事実のツールを紹介。最後のチェックリストのところに予算の話が出て来て、確かにと思う。どんなに素晴らしい物語でも作る費用と想定される収益が見合わないと作れないしな。物語作家もそう言うそう言う観点を最終的に持たないと辛いよな。しかしロシア人もそうだが、こう言う構造的な理解や分析を示して一般化するのは欧米人は上手だよなと思う。ロシアを欧米に入れていいのかと言うのもあるが。ロシアは文学の巨大国家だし、蓄積もあるのかな。物語りを良くするために適切な問いを投げかけて行くのが大事だと言うようなくだりもなるほどと思った。こうした点を理解して映画を見てみることにしよう。
Posted by ブクログ
上巻に続き、読みました。下巻はこの本で言うところの、「環境的事実」について。舞台設定についての分類がなされてます。
あえてこの本の難点を言いますと(いや、気にならない程度なのですが。。)翻訳の言葉が、ハリウッドやエンタメぽくなく、頭にスっと入ってこない、腹落ちしない気がします。。
上巻に、映画の配役には「相互アクション」が大事、みたいな章があるのですが、おそらく(原文を見たわけではありません。。。)「インタラクション(interaction)」でいいのでは??? この「環境的事実」と言う言葉も、なんなんすかね。。原文がわからないのですが、もうちょいわかりやすい言葉にした方がいいんではないか。。「環境的事実」の章が結構続くのですが、このタイトルのおかげで、なんか乗り切れなかったです。。