【感想・ネタバレ】あなたがいたところ ワタシゴト 14歳のひろしま・2のレビュー

あらすじ

ひろしま修学旅行で「被爆建物」を訪れた14歳のものがたり。『ワタシゴト』待望の続編として、先生の視点、軍事都市=加害者としての広島の視点も織り交ぜながら、「被爆体験を継承すること」の課題に、より深く切りこんだ作品です。

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Posted by ブクログ

また新しい気づきを私に示してくれた一冊。
広島市内には仕事で何度か訪れてはいるけれど、この本と出会って街並みを見る目が確実に変わったと思う。

前作は被爆した街に遺った「モノ」、すなわち遺品を通してその時に確かに生きていた方達と、今時の中学生(と書くといかにも説教臭いかもだけど)が心の交流を経て何かを感じ取ることで気持ちに変化が訪れる、という内容であった。

続編であるこの『2』は「トコロ」、場所に遺る人々の意志や願いを生徒だけでなく教師も受け取る描写があり、子ども・大人関係なく気づきを得るという話4篇が収められている。

個人的には前作よりもシビアというか、優しい語り口ながら鋭く『ひろしま』のその時を伝えているように感じられた。

とりわけハッとさせられたのは2篇目《もと防空作戦室》。「当時、広島には、何万人もの朝鮮半島、中国大陸、台湾のひとびとが住んでいて、そのほかにも、東南アジアからの留学生やロシア人、ドイツ人、アメリカ人の捕虜もいたという。外国のひとが、そんなに大勢?」(p35)という一節には本当にガツンと食らった気分。そうだよな、被爆したのは日本人だけな訳ないんだよな。この歳になるまで考えたことがなかった。また、この話では引率の〈村木先生〉が学生当時、真面目に被爆体験者の方の話を聞かなかった(聞けなかった)ことを後悔する様子が描かれており、その点も真摯だなというか、確かに大人だってその昔、修学旅行の時は浮ついていてちゃんと聞いてないよ。そういうものだ。

4篇目《似島》もすごく印象的。広島市から真南方向に浮かぶこの島には明治の頃から陸軍の施設が造られていて、ある意味で戦争と関わってきた歴史が深い場所。もちろんこの島上が交戦地になった事実はないけれど、多数の傷病者を収容したことで被爆の記憶が色濃く遺った地。バウムクーヘンのユーハイムさんが居たという事しか知らなかったよ。いつかこの島から広島の空を見上げてみたい。


戦後80年を前に、今一度ひろく読まれるべきだと切に思う。核兵器廃絶の運動にも改めて関心を持ちました。


1刷
2024.8.11

0
2024年08月11日

Posted by ブクログ

広島の原爆ドームに行ったことがないのですが、この本を通して行きたいと思いました。
児童書なだけあって、読みやすいし説明もあり分かりやすいです。

この本を読んで、広島にはまだ聞いたこともない戦争の跡があることを知りました。

0
2021年10月05日

Posted by ブクログ

広島在住の著者による、YA小説。
修学旅行で広島を訪れる中学生を主人公に
四つの被爆建物を四人の物語を織り込みながら
あの日と現代が語られる。

中学生の視点だけでなく、先生の視点が入り、
広島をめぐっても、アジアへの加害の問題なども盛りこまれ、
現代の子どもなら言うだろうなぁと言う、素朴な声で続く
だから、ただ哀しいだけでもなく、お説教臭があるわけでもない。

入口としては、良いんじゃないかな。

今回この本を手にしたのは「似島(にのしま)」を
テーマにした一編もあるからなのだが・・・
現代に起きた差別とつながっているところが秀逸。

0
2024年08月18日

Posted by ブクログ

広島の平和記念公園を見学した生徒が自分と関わりの深い物と記念館にあった物とをオーバーラップさせ、当時を想う前著の次巻。この本では、生徒や先生がその場所に立つ事で想いを馳せている。

1章はあまり長くなく、読みやすいので両方読みたい。小学校中学年でもよめそうだが、歴史を知ってから読んだ方が良いかと思います。

0
2021年10月16日

Posted by ブクログ

児童文学から戦争を知るのもいいなあと思いました。私は、原爆ドームしか見たことがなく、この本を読んで、他にも被曝建物があることを知りました。

高校の修学旅行で、初めて原爆ドームを見た衝撃は今でも忘れることはありません。
筆者の後書きにもありますが、「場の持つ力」というのは本当にすごいです。

作者の造語「ワタシゴト」記憶を手渡すこと=渡し事他人ことではない、わたしのこと=私事が心に刻まれました。

0
2021年09月03日

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