あらすじ
クレプトマニア(窃盗症)は不思議な病気である。問題を抱える当事者本人を治療に向かわせるには,周囲の理解と支援が必要不可欠といえる。本書は,クレプトマニア(窃盗症)の臨床像と具体的な治療方法について解説したわが国初の本格的な臨床指導書であり,当事者のためのセルフヘルプガイドである。
「盗もうとする衝動」はどのようなものなのか? 当事者と家族,治療者が,クレプトマニアの本質を理解し,行動修正のための技術を身につけられるように工夫されている。巻末にはワークブックとして,クライエント自らがすぐに実施できる自己診断のためのチェックリストやワークシートを多数収録した。
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Posted by ブクログ
クレプトマニアについて、わかりやすく解説された本。有効な薬物治療がないことや、盗もうと思う衝動がやってくると勝手に盗んでしまうこと、回復のためには一人で買い物に行かないこと、一人で買い物に行けることを目標にするのではなく、決して盗まないことを目標にやっていくことなど、さまざまな知見が得られる。
Posted by ブクログ
CRAFTの紹介で有名な著者であるが、クレプトマニア(窃盗症)にも造詣が深い。臨床経験と裁判での証人経験より医療現場や法曹界にも理解しやすいように、著者の情熱で書かれた実践的な書籍である。著者が臨床で用いている学習会の資料も添付されており、明日からの臨床に役立ちそうである。依存症臨床ではスリップから学ぶことが多いが、クレプトはスリップを「絶対に」しないことが前提となる。スリップすると治療が中断してしまうからである。そうは言っても依存症なのでスリップをゼロにするのは難しい。著者も収監された人と手紙で治療の継続を図られている。また治療の構造化と段階を踏んで説明されており、明日からの臨床に役立つ。類書が少ない中、実践的な好著と思い、即読みできた。
Posted by ブクログ
クレプトマニアについての書籍だが、ほかの嗜癖や依存症に通ずるところもある。
タイトルにもあるとおり、万引きについて。万引き=窃盗、ではない。万引きは窃盗の一形態であるということ。物や金品を盗む、という点ではおなじなのだが、その動機や衝動もおなじとしてしまうとクレプトマニアの治療も理解も進まない。
摂食障害が万引きと有意な関係があることは広く知られているが、恥ずかしながら金銭的理由が大きいのだろうと思っていた。なにせ、食べては吐くとなると、食費のきりがないわけで、そのように思い込んでいた。それもあるにはあるとのことだが、根幹は違うとの由。
自分も含めて、まわりにクレプトマニアがいるということは、そうそうないだろうが、先に書いたとおり、嗜癖や依存症への対処法としても参考になる部分は多い。
ちなみに本書は左開きで横書きである。内容的にも参考書やガイドラインなどに近い。