【感想・ネタバレ】砂戦争 知られざる資源争奪戦のレビュー

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Posted by ブクログ

知らなかったことばかりで興味深く読めました。
ここでいう砂は主に建設用コンクリートの材料になる骨材。中国やドバイの建設ラッシュや世界あちこちの都市化によって、コンクリートが枯渇しているらしい。砂マフィアまでいるとのこと。
砂漠の砂はコンクリートに使えないとのこと。角が丸くてコンクリートに馴染まず、アルカリ骨材反応で脆くなってしまうとのこと。うまくいかないものですね。
砂はガラスや半導体シリコンウェハーなどの素材でもある。そもそも砂が資源という感覚がなかったけど、環境破壊になるほど枯渇して争奪しているとは知らなかった。

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2022年11月02日

Posted by ブクログ

非常に興味深く読むことができた。

「砂」なんてどこにでもあるじゃないか?
なぜこれが資源なのだ?

という興味で読んだのだが、まさに「砂」は「資源」だった。

我々の町や建物を作るにはコンクリートが必要だ。
そのコンクリートを作る為には良質な「砂」が必要なのだ。

「砂」といってもどこにでもある砂ではだめだ。
例えば「砂漠の砂」は粒子が細かすぎてコンクリートには使えないという。
使える砂は、「川の底の砂」や「海の砂浜の砂」なのだ。

こういった資源となる「砂」が闇取引される。
勝手に「砂」が持ち去られるのだ。

簡単に「砂」と言っても、「砂」は一朝一夕には作ることができない。
それこそ「石油」や「天然ガス」といった資源と同じくらい価値があるものなのだ。

こういったことは全く知らなかった。
世の中はまだまだ知らないことばかりだ。
日々、勉強だ。

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2020年12月27日

Posted by ブクログ

コンクリートを作る原料として必須の砂を巡る世界的な奪い合いやそれにまつわる犯罪などを解説している。砂と言えば砂漠化の進行を防ぐ話題しか思い付かなかったが、資源としての砂の奪い合いが起きているとは思わず、なかなか衝撃を受けた。ちなみに砂漠の砂では角が取れ過ぎていてコンクリートの材料にはなれず、形が色々な砂でないと使えないらしい。

特に衝撃だったのは、「砂マフィア」の存在や、砂の輸出入とその制限が各国で発生していること。本書のタイトルそのままに、砂の違法売買と政治家や警察まで取り込んだマフィアの暗躍、それを糾弾する人達の暗殺など、砂はもはや貴重な資源であり、利権や犯罪の温床にさえなっていることだ。

締め括りは砂に限らず、人類が様々な資源をここ数十年で一気に使い込んでいることへの警鐘を鳴らしている。本書を書いた時点で筆者は80歳。今後の世代のことを深く心配している。

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2023年06月18日

Posted by ブクログ

『砂と人類』が砂の採掘から精製、用途別の特徴なども網羅的に述べているのに対し、こちらの本は経済面にフォーカスし多くを割いている。

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2021年07月24日

Posted by ブクログ

「都会は石の墓場です。人の住むところではありません。」ロダン

開高健のフィッシュオンの冒頭で中学生の時に衝撃を受けたことを思い出した。その言葉通りの現実が世界中で爆発的に進行していること、経済成長と砂戦争危機が表裏一体であることを知らされた。よくよく考えると当たり前の事だが、気づかないフリをしてきたのかもしれない。

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2021年01月30日

Posted by ブクログ

 人口の増加と都市化により、コンクリートの需要がますます増加する。しかし、その裏で、各国が砂資源をめぐって争っている。砂と聞くと、中東やアフリカの砂漠を思い浮かべるが、実は、そこで得られる砂は、セメントと混ぜるのに、砂の粒が細かい、つまり、コンクリートに適していないのである。ゆえに、砂資源は、想像以上に限られている。コンクリートのみならず、コンピュータや半導体など、現代の生活を支える重要資源である。

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2023年11月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

砂はガラスや半導体、鋳物などに欠かせないが、最大の用途はコンクリートの骨材。世界各地で砂の違法採取などが増えており、事件化するようなことも多い。

ブルジュ・ハリファには76万トンのコンクリートが使用されており、その7割が砂。
中国では年間25億トンのコンクリートが消費されている。アメリカが20世紀100年間に使ったコンクリートの総量が45億トンなので、中国の二年分がそれを上回る。

砂漠にはたくさんの砂があるのでこれを使えば砂漠化も防止されて一石二鳥のように思えるが、砂漠の砂は風に吹かれて運ばれていく途中でぶつかりあい、細かくなりすぎている上に表面がツルツルになっているので砂通しが絡み合わず、コンクリートに混ぜても強度が得られない。塩分の含有性が多いため、アルカリ骨材反応というものを起こしてやはり強度が下がる。

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2022年02月12日

Posted by ブクログ

「世界中で”砂”の争奪戦が始まっている」と言われてピンとくる方は少ないのではないでしょうか。「砂なんて地面を掘ったらいくらでも手に入るやん」と思いがちですが、本書を読むとそのイメージは一変します。
砂の主な用途はコンクリートの骨材です。ビルなどの建物、高架道路、地下鉄、堤防、何を作るにもコンクリートが必要で、その分”砂”が必要になります。コンクリートに使える砂は粒の大きさや形、化学的性質など非常に制限の多いものであることが本書で述べられています。
中国はもちろんですが、都市化の進むインドネシア、インド、マレーシア、シンガポールなどの東南アジア諸国、ナイジェリア、エジプト、ドバイなどのアフリカ諸国では”砂”が自給できず大量に輸入しています。砂漠に有り余るほど存在する”砂”は前述の理由からコンクリートには使用できず、国内に砂漠を抱えている国でも”砂”は輸入に頼っているのが実情です。高騰する”砂”の取引に、砂マフィアと呼ばれる違法業者が暗躍し、無秩序に川や海から砂を採取した結果、環境破壊、漁業への打撃、氾濫等の自然災害の誘発など様々な問題が起こっており、本書はそれぞれの国ごとの実情を紹介しています。
本書後半は日本における”砂”、なかでも砂浜の衰退について詳しく述べられています。意外だったのは戦後一貫して日本では森林面積はほぼ一定で、森林における樹木の総量は増加しており、その結果として土壌が安定化され、河川を通じて供給される砂の量が減少しているという事実でした。
河川による砂の供給量減少、ダムなどの治水が進んだことによる中流域での砂の堆積、さらに砂需要増大が重なり、日本の砂浜は減少の一途です。衰退する砂浜を護るため、護岸には消波ブロック(テトラポット)などが配置され、日本の海岸線の美しい景観が失われつつあることに警鐘を鳴らしています。
身近な”砂”が重要な資源であり、無秩序な採取が様々な問題を引き起こしていることをわかりやすく解説している印象でした。

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2021年08月13日

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