あらすじ
鉱物採集に夢中の女子高生・ルリ。
結晶のきらめきに導かれ行く先は――川やダムや廃鉱山まで!
興味を持って観察すれば、石の輝きの向こうに大きなドラマが見えてくる!
調べて考えて、探して歩いて、やっと見つける。
知の喜びを描く本格サイエンスアドベンチャー、第3巻。
研究者志望のクラスメイト・瀬戸さんも加わって、ルリの周りはいっそう賑やかに!
☆第3巻で探しに行くのは……?☆
・サファイア
・菱マンガン鉱
・蛍石
・ジンカイト
・銀化ガラス
・オパール―――など彩りさまざま!
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
「遠くを目指すだけが探検ではない。
広さを感じるだけが世界ではない。」(p2)
冒頭の一節よりの抜粋であるが、この巻、この作品のテーマを表した好フレーズ。
顕微鏡の小さな円の中に映る小さな結晶ひとかけらの発見が世界の「厚み」(p2)、前巻で凪さんが語っていたフレーズを借りれば世界の「実像」(2巻 p91)を探索する事に他ならず、そこに大いなるロマンや神秘が伴っていて、それを見出す事の尊さや素晴らしさを巻を重ねる毎により感じられるようになった3巻。
瑠璃のクラスメイトで鉱物研究者を志している〈瀬戸〉さんが登場、あっという間にレギュラー入り。当初はクールでとっつきにくい感じだったが、それは石の話を出来る人が周りにいなかったから。
また、3巻は伊万里さんの活躍が多め。
瀬戸さんが登場した《第13話 渚のリサイクル工場》は海岸に漂着したゴミの中からシーグラスや銀化ガラスを拾う話なのだがガラスに関する知識は伊万里さんが備えていて、近年はプラスチック容器の普及によるガラス製品の減少やゴミ処理方法の変化などから海洋に流出するガラスの量が減っており、シーグラスはいつかは波や砂に削られてなくなってしまう…と考えると、今の‘海辺にガラス片が落ちている世界’の見え方も変わってくるのではないだろうか。
凪さん不在の中、伊万里さんが瑠璃・瀬戸コンビを引率して廃鉱山へマンガン鉱石採集に向かう《第16話 ワンセンテンスの廃線路》の回も実にドラマチック。フィールドの経験は浅くとも書籍や文献から裏打ちされた知識の力でふたりをしっかりと導く姿は立派な先輩研究者。廃線路の敷石に使われていたマンガン鉱石の謎とは一体…?というミステリ。登場するのは菱マンガン鉱とバラ輝石。ちなみにこの話のコラムで線路の敷石の産地について書かれているがマニアックで楽しい。
当初はキラキラして綺麗な石だから、という理由で瑠璃が追っていたサファイアについてもそのサファイアが‘どこで産まれて、なぜここへ表出したのか’を調査する《第17話 険路を照らすステンドグラス》と《第18話 サファイアのゆりかご》も、凪さんの力を借りずに3人がいまの知識と経験を動員して世界の実像に迫る熱編。連載当初はあんなに頼りなく見えた瑠璃がいつの間にかこんなに立派になっちまいやがって…と、妙な親心が芽生えるくらいにはこの作品にハマっているんだなぁ、と。
さあ、よいこのみんなも銀化ガラスを作ってみよう!
なおこの巻、ほかより分厚く見えるなと思ったら実際に1割ほどページが多い。番外編の分だろうか?
たしかな存在感。
3刷
2025.9.8
Posted by ブクログ
鉱物学者のフィールドワークを追体験できる漫画の第3巻。
今回は自然と文明の相互作用がフィーチャーされた話が興味深かった。
海で拾った銀化ガラス、水質調査をしながら川を遡って見つけた廃工場のジンカイト、豪雨とダムの働きによって新たにできたオパールの産地など、自然と文明のそれぞれの働きと環境によって生成される鉱物を追っていく話は、ひとつひとつが理にかなっていて、渋谷先生の豊かな知識と、理科って面白いんだぞという楽しげなメッセージを感じた。
ポイントになる物質や現象にわかりやすい解説も入っているので学習漫画としても非情に勉強になる。独学で理科を勉強している自分にはよいモチベーションになった。
Posted by ブクログ
ミネラル漫画の第3巻。1巻の時点では正直ちょい微妙な印象だったけど巻が増す毎に良い感じに。登場人物も増えて部活漫画・サークル漫画としても安定してきたし、蘊蓄の見せ方、主人公の成長具合も良い。
アニメ化されそう。
Posted by ブクログ
主人公の視点が読者のそれと合っていて、鉱物研究というマイナージャンルにも関わらず一気に楽しく読んでしまう。
同世代のキャラが一人増えたことでさらに話の幅が広がることを期待。