あらすじ
資産家の娘・早百合に意中の相手がいるのか。調査を依頼された探偵の木暮と菜々は、最後の候補者と早百合がスクランブル交差点ですれ違うよう仕向ける。だが、その寸前に、なぜか木暮は早百合に電話を入れた……(「意中の交差点」)。借金苦から、休暇を利用して質屋に押し入った刑事の角垣。逃走中に電柱に衝突するも目撃者はなく、無事逃げおおせた。だが、なぜか上司の南谷は、角垣が犯人だと見抜くのだった……(「ある冬のジョーク」)。とっておきのアイデアを注ぎ込み、ストイックに紡がれた贅沢な作品集。
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Posted by ブクログ
長岡弘樹さんの新刊は、やはり短編集だが、今回は全18編も収録された豪華版。1編の長さが原稿用紙20枚と、短編としても短いことが大きな特徴である。
「声探偵」。パーティーに紛れ込んだ犯人を、見つけ出した方法とは。たまたまとしか言えない。「リバーシブルな秋休み」。別れた夫婦の行動に、親としては突っ込みたいぞ。料理勝負の裏の意図とは、「苦い厨房」。他の方法はなかったのか?
「風水の紅」。姑との微妙な関係。普通に伝えれば…。「ヴィリプラカの微笑」。夫婦の微妙な関係。……。「仮面の視線」。異国で色々と勘違いした男の末路は。「戦争ごっこ」。今どきの息子の機転が光る。「曇った観覧車」。わずか20枚の悲劇とだけ書いておこう。「不義の旋律」。男の行動はともかく、同情の余地はある。
「意中の交差点」。女心の機微に、自分は気づけまい。「色褪せたムンテラ」。わずか20枚の大事件とだけ書いておこう。「遠くて近い森」。正直、自分勝手としか思えない。彼は大人だな。「虚飾の闇」とは、芸能界の闇ですか…。「レコーディング・ダイエット」が効くのか知らないが、そんな勝手な「ダイエット」があるか?
「父の川」。「リバーシブルな秋休み」より突っ込みたい。愚かな父だ。「ある冬のジョーク」。こんな理由で、犯罪が露見するとは…。「嫉妬のストラテジー」。一応、ショック療法なのかなあ…。ラストを飾る、「狩人の日曜日」は、ビジュアル的にすごい。連続狙撃犯を思い留まらせた、仰天の手段とは。
突っ込みどころがいつもより多いが、それもまた楽しみのうち。わずか20枚という制約の中で、ここまで激動の展開をさせる作家、長岡弘樹。短い分だけ無駄が極限まで排除され、鮮烈な印象を残す。次はショートショートに挑戦してほしい。
Posted by ブクログ
やっぱり長岡さんは短編集の方が良いような気がします。
1つの作品が20ページ足らず。18作品が収録されています。
『声探偵』『リバーシブルな秋休み』『戦争ごっこ』が印象に残りました。
タイトルから勝手に時代小説だと思い込んでいましたので、現代のミステリー風な話で少し驚いてしまいました。心の準備が(苦笑)。
最後にあっと言わせる展開は小気味よく、20ページ足らずだと隙間時間に読めるので、思ったより満足感を得られました。
Posted by ブクログ
原稿用紙20枚の超短編で18編。あまりに短くて坂木司の短劇のようだった。ワントリックだからオチが分かるのが多かったな。あんま長岡さんらしく感じなかった。読みやすいけど、後には何も残らないな。
Posted by ブクログ
ショートショートに近いミステリー短編集
・声探偵
・リバーシブルな秋休み
・苦い厨房
・風水の紅
・ヴィリプラカの微笑
・仮面の視線
・戦争ごっこ
・曇った観覧車
・不義の旋律
・意中の交差点
・色褪せたムンテラ
・遠くて近い森
・虚飾の闇
・レコーディング・ダイエット
・父の川
・ある冬のジョーク
・嫉妬のストラテジー
・狩人の日曜日
の18作品収録。
特筆すべきインパクトのある作品はないですが、気楽に読めて、落ちも「なるほど」から「やっぱり」まであるので、お得な感じはしました。
個人的にはいくつかの作品に登場する南谷刑事が気になりました。
心理的に犯人を追い詰めるのも好みですし、登場するたびに出世しているのも面白かったです。
最初の相棒の同期の北山がもっと出世しているようなのも気になりました。
彼を主人公にした中編や長編が読みたくなりました。