あらすじ
赤いドアの小さな部屋に誘われるように入り込んだ3人の男女。自信あふれる免疫学専門の大学講師・夏木祐子、善良そうな開業医の妻・船出鏡子、そして若く傲慢な売れっ子作家・佐島響。見ず知らずの彼らは、なぜ一緒にこの部屋に閉じ込められたのか? それぞれが語りだした身の上話にちりばめられた謎。そして全ての物語が終わったとき浮かび上がる驚くべき真実――。鮎川哲也賞作家が鮮やかな手法で贈る、傑作ミステリー!
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Posted by ブクログ
とある部屋に迷い込んで出られなくなった3人が、こんな事態に陥った理由を探るためそれぞれが抱えた問題を思い起こしていくホラーテイストのミステリ作品。
大学講師、若手小説家、開業医の妻。
3人がどうして閉じ込められたのか、どうやって抜け出すのかというテーマではないのが新しい。
まったく接点のないと思われた3人が終盤、ある一点で繋がっていくのが鮮やかである。
殺人トリックの点はうまくいきすぎな感もあったものの、全体としての破綻なく綺麗に物事が流れていてうまいなと思う。
トリックとレトリックに誤魔化しがないしきちんと伏線を引いているのでちゃんと読めば引っかかったところが解消され、謎解きの押し付け感がなくてよい。
何より物語に出てくる人物の誰もがリアルで人間ドラマとして面白い。
派手さはないけどうまいな~という秀作です。