【感想・ネタバレ】常識として知っておきたい 世界の三大宗教のレビュー

あらすじ

いかに誕生し、どう広まったのか? どんな教えなのか? ……三大宗教それぞれの重要ポイントが、みるみるわかる本。

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Posted by ブクログ

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良書です。過不足なくコンパクトにまとまった三大宗教解説書の決定版。これ一冊あれば、世界の仕組みの基礎がわかる。
以下は、私の備忘録として記録。
⚫仏教
・キリスト教には聖書、イスラム教にはコーランのみだが、仏典は3000以上
・3つの基本原理(諸行無常、諸法無我、涅槃寂静)
・4つの真理(苦諦、集諦、滅諦、道諦)
・死後の世界(死後七日目に来世の行先が決まる→初七日法要、三途の川を渡ったあと第七法廷で最終判断となるがその期間は49日で、天道、人道、修羅道、畜生道、餓鬼道、地獄道の六道どれを行くかは生前の行いによる)
・線香は死者の食べ物、六文銭は三途の川の渡し賃
・輪廻転生(まず無色界、色界、欲界と分かれ、欲界には先程の六道へと分かれる)
・解脱者は輪廻転生せず、涅槃の世界へと
・閻魔大王が136種類の地獄行きを審判(八熱地獄、八寒地獄)
・天台宗(最澄は法華経のもと総合仏教を目指す)
・真言宗(空海は霊場巡礼など山岳信仰、最澄とは絶交)
・浄土宗(法然、波阿弥陀仏)
・浄土真宗(親鸞、絶対他力)
・日蓮宗(日蓮、南無妙法蓮華経、他宗教を認めず)
・臨済宗(栄西、禅問答、一休さんや沢庵和尚や宮本武蔵)
・曹洞宗(道元、只管打坐、座禅)

♠キリスト教
・人間の持つ3つの罪(原罪、行いの罪、思いの罪)
・マリアの解釈(カトリックでは聖母、プロテスタントではイエスの母)
・4大天使(ミカエル、ガブリエル、ウリエル、ルシファー)
・悪魔の正体は元天使ルシファー(サタン)
・聖書での「ハルマゲドン」はヘブライ語で「メギド丘陵」のことで、「終末」という意味はない
・天地創造(1日目:昼と夜、2日目:空、3日目:陸と海と植物、4日目:太陽と月と季節、5日目:海の生物、6日目:人間、7日目:安息日)
・モーセの十戒(男女の奴隷禁止も書かれているが、有色人種が奴隷にされたのはなぜ?)

♣イスラム教
・六信五行(アッラーの神、天使、啓典、預言者、来世、天命)(信仰の告白、礼拝、喜捨、断食、巡礼)
・イスラム原理主義が有名になったのは1979年のイラン革命から
・死後すぐに天国と地獄に行くのではなく、ひとまず待機状態に入り、終末が訪れた時に死んでいた人も最後の審判を受けるために復活する。来世の復活を信じて、火葬ではなく土葬する。
・1日5回の礼拝(日没、夜、夜明け前、正午、昼下り)
・ラマダーンは1ヶ月間日の出から日没まで飲食禁止。人婦、病人、子供は免除。ちなみに、ラマダーン月はイスラム暦では1年が354日なので毎年ずれる。
・イスラム圏の銀行には利子がつかない(コーランで禁止)

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2025年01月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

仏教、キリスト教、イスラム教を取り上げている。本書を読んで、強く感じたことは次の2点である。
そのひとつは、宗教というのは、より良く生き、より良く死ぬための先人達の知恵の集積であると思っているが、その宗教を、日本人はいかに簡略化し形や中身をを変えてきたか、ということである。8万4千もあるというブッダの教え、あるいは3千あるといわれる仏教の経典の内容は、一般の日本人は知らない。しかも、例えば浄土真宗では「戒律を守らなくても極楽へ行ける」「阿弥陀仏の力を信じるだけで救われる」と説く。同じ浄土系の時宗では「南無阿弥陀仏」と唱えるだけで極楽往生できるという。さらに真言宗は(秘密の教義や儀礼が師から弟子へ口伝によって伝授さる神秘的な宗教であるにも拘らず)「遺骨の一部を高野山に納めれば間違いなく浄土へ行ける」と説いたという。このような日本の仏教は、キリスト教や、イスラム教と比較してみると「果たして宗教なのか」とさえ思ってしまう。このあたりの日本人の宗教観については、芥川龍之介の『神々の微笑』を読んでも面白い。
もうひとつは、イスラム教に対 する偏見のない理解が必要だ、ということである。イスラム教は、明治時代になってから、キリスト教国を通して日本に伝わっている。つまり、敵対的な視点から理解している可能性が高い。本書によると「イスラム教徒は、キリスト教徒を神から経典を授かった人達として仲間として扱っており、敵とはしてこなかった」という。さらに、他の宗教と違って「科学的な態度を貫いている」、「民族、国籍、性別、社会的地位に関係なく、全ての人に自人慈愛を与えてくれる」宗教だという。イスラム原理主義運動については、「暴力とは無縁のイスラム社会内部での自浄を求める運動である。イスラム教徒以外の人々に攻撃を与えるような考え方は、そこにはない」という。しかし、「イスラム教には、弱者救済、平等の思想」が強いがために、多くの貧困者を生み出した某自由主義の国に対する敵対心が生じたのだろう。イスラム教は、もちろんテロを正当化しない。
いずれにしても、グローバル社会の中では、国際社会の根底を形作っている宗教をできるだけ誤解なく理解することが大切だ。そして、日本文化を形作った、神道、仏教について、いちど振り返ることは、日本人としてのアイデンティティ―を確立する上で必要なことだ。これらの意味でも、本書が有益であることは間違いない。

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2017年05月02日

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