【感想・ネタバレ】奇想の系譜 ――又兵衛-国芳のレビュー

あらすじ

意表を突く構図、強烈な色、グロテスクなフォルム―近世絵画史において長く傍系とされてきた岩佐又兵衛、狩野山雪、伊藤若冲、曽我蕭白、長沢蘆雪、歌川国芳ら表現主義的傾向の画家たち。本書は、奇矯(エキセントリック)で幻想的(ファンタスティック)なイメージの表出を特徴とする彼らを「奇想」という言葉で定義して、“異端”ではなく“主流”の中での前衛と再評価する。刊行時、絵画史を書き換える画期的著作としてセンセーションを巻き起こし、若冲らの大規模な再評価の火付け役ともなった名著、待望の文庫化。大胆で斬新、度肝を抜かれる奇想画家の世界へようこそ! 図版多数。

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Posted by ブクログ

これは面白い本だったなぁ・・・残念な点が、図版がモノクロだった点ぐらい。
伊藤若冲、曾我蕭白なんかは今では大人気。目の付け所が違ってたんだなぁ・・・
他にも、岩佐又兵衛、狩野山雪、長沢芦雪、歌川国芳なんかが載っています。
こういう風に、美術を自分で発掘して、それが有名に成るのってはすごく快感なんだろうな。

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2022年10月29日

Posted by ブクログ

いやーこの本、書かれたのは50年前ですか。今では江戸絵画の主流とも言える岩佐さんや若冲さん蕭白さんが非主流だったという時代に書かれた本です。しかし50年前まで江戸絵画を狩野派から見ていたのって、官(狩野派)と民(京都画壇)の対立のようですな。
それはともかく、この本が出てからの狩野派以外に対する再評価は目覚ましく、再評価後の時代に美術好きになれて得したと思いますわ。
そんな再評価後の今であっても、この本は古びた感じがしないのですから、すごいもんです。

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2021年05月05日

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私は、美術作品を観る眼はないですが、それでも若冲には驚きました。そんな若冲などの再評価の火付け役となったのが本書とのこと。図版が多く、素人にも分かりやすいです。

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2021年01月27日

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初版が34年前に出版されている。この本の2004年に著者は72歳。解説は服部幸雄(当時千葉大学名誉教授)この本は読み継がれ再販され、傍流と思われていた画家たちを江戸時代の絵画史を彩る人気スターにした。



意表をつく構図、鮮烈な色、グロテスクなフォルム、ーー近代絵画史において長く傍系とされてきた岩佐又兵衛、狩野山雪、伊藤若冲、蘇我蕭白、長沢蘆雪、歌川国芳ら表現主義的傾向の画家たち、本書は奇矯(エキセントリック)で幻想的(ファンタクティック)なイメージの表出を特徴とする彼らを「奇想」という言葉で定義して、「異端」ではなく「主流」の中での前衛と再評価する。刊行時、絵画史を書き換える画期的著作としてセンセーションを巻き起こし、若冲らの大規模な再評価の火付け役ともなった名著、待望の文庫化。大胆で斬新、度肝を抜かれる奇想画家の世界へようこそ!図版多数、解説服部幸雄

この裏表紙の言葉が、この本を見事に解説し語っている。

取り上げられている6人の画家たちは、子供時代から絵しか目に入らず、描くことにしか興味を示さず、家業を投げ出してでも大袈裟に言えば絵に命を捧げた。まずは慣習通り当時の一流と言われた流派に属し師匠の元で修行をしている。その力量を認められて重用される場合もあれば、才能が小さな組織に収まりきれ、ずまたは自己の要求するままに外に飛び出し、結果世間に受け入れられて成功するものもあれば、貧窮生活に喘ぎ、あるいは地方に流れて行き、そこで中央には認められないままに大衆の中で才能を開花させるものもいる。ただその先進ゆえか、奇矯さからか広く理解されず、今まで残っている作品が少ない。
今になって新たな視点から評価が高まってきた。そんな時に鑑賞に耐える作品がもっとあっただろうと思えるところに、保存状態が悪く、または散逸し、あるいは火災で焼けてしまったらしいということは、こんな素晴らしい研究書を読むと、著者でなくても残念に思われる。
その上、研究者にも画家の出自や足跡がわかりにくいそうで、おいおい発見されることもあるかもしれないという顧望も書き添えられている。

著者がおよそ50ページを割いて語っている岩佐又兵衛と、蘇我蕭白の章は一段と力が入り、図版に照らして解説を読むと、岩佐又兵衛の「山中常盤」や「牛若の盗賊退治」の血みどろなシーンも裏に潜む画家の意思の強さ、技術の高さが理解できる。
又兵衛の解説で、1に奇矯な表現的性格。「一種の名状し難い気うとさ」「鈍重な物凄さ」2に古典的、伝統的なテーマを扱いながら、その内容を卑俗な、当世風なものにすり替えようとする、いわば「転合絵」とでもいうべき要素。3は人物の描写に共通する風変わりな特徴、、、クセの強い形と解説する。
このほとんどは6人の画家に共通するところがあると何か腑に落ちる気がした。
また

宗達が底抜けに明るいロマンティシズムを唄い上げる一方で、岩佐又兵衛や山雪(狩野)の偏執と奇想が横行した寛永という時代はなかなか一筋縄ではいかない時代だったようである。

幻想の博物誌ーー伊藤若冲
若冲は錦小路の青物問屋の長男だったが弟に家業を譲り、隠遁生活を始めた。世俗には関心がなく、学問も文字にも疎く、作画三昧で暮らした。有名な鶏の絵のように動植物を主に描いた。写生主義を唱えた円山応挙に先行したとも言える。細密な美しい写実は今でも目にして驚嘆する。
虫や貝殻の様々な絵柄について

シュルレアリスムの作品を連想させるようなこの驚くべきイメージは全く若冲のオリジナリティに属するものなのだ。このような内的ヴィジョンは鶏の描写にも共通している。
73歳の折の大火で多くの、作品が消失した、気落ちした若冲はそれでもその後も独創的で個性を発揮した名作を生み出している。

晩年の、格天井の花の絵やナイーブな人形図などを見ると若冲から衒気と気屈さを取り除けば意外とアンリ・ルソーに似た純真な画家の眼がそこに発見されるのではないかという気がしてきた。

狂気の里の仙人たちーー蘇我蕭白
新しい画壇の風潮の中で才能や技量においては、
いずれにも引けを取らない蕭白が曽我派という前時代の遺物を何故にあえて担ぎ出したかについて、彼はもちろん何も言い残してはいない。ただ明らかなのは蛇足十世の厳しい肩書きが徹頭徹尾蕭白の人を食った自己表現の手段として利用されたことである。
生来の気屈な性格が世人の顰蹙を買い、時には狂人呼ばわりをされる一面は無論あっただろうが、一方でその痛快な生活態度と作画ぶりに、密かに快哉を叫ぶことも決して少なくなかったと思われる。

と著者は好意的で

彼の狂躁的な作風を代表する彩色「群仙図屏風」の人物を一例にとっても、衣服の文様など細部の仕上げに見られる恐ろしく入念で緻密な筆使いが「異常さ」の効果を演出する画家の冷めた意識を物語っているのだ。

確かに表紙にもなっている龍の顔や波や指の節のトゲだった様など、アクの強い特徴的な奇妙な表現を得意とした彼の作図が、今になると多くの絵画の進展に伴ってその力強さや奇矯さがあまり目立たなくなり、構図や薄気味悪い妖気にもさほど驚かなくなり、返って関心が高まっていることも納得できる。

超獣悪戯ーー長沢盧雪
まだ居た、奇人変人の応挙門下長沢盧雪。彼は応挙の代役として出向いた南紀で多くの作品を残した。
応挙に準じる墨絵のぼかしで立体感を作り出す手法は師を凌駕するほどで、数枚の図柄を見ても面白い。
晩年のクローズアップ手法や人物の描き方に気味の悪いものを感じるが、図版に上がっている「四睡図」などはユーモラスながら奇矯な感じもしつつ面白い。

幕末怪猫変化ーー歌川国芳
三十歳で当時流行っていた「水滸伝の豪傑」を描いた武者絵が大衆に認められる。
(図版の掲載がないので見てみたいとおもう。九紋龍史進、花和尚魯智深など五人が一枚刷りになっているという)。
これが大当たりで百八人全部書いているそうで、展覧会はないものだろうか。
その後絵の方向が変わり、北斎に倣ったというが、その不気味な想像力の産物はおどろおどろしい。

ヨーロッパの実証科学の成果が、幕末の浮世絵師荒唐無稽な怪奇表現に一役買ったとは皮肉な巡り合わせだが、彼らの新奇なものに寄せる並外れた好奇心と、たくましい想像力には感嘆させられる。

裸体で合成された顔や「写生百面叢」の面白さは筆者によると、目の覚めるような新鮮なアイデアに溢れているそうだ。
水野忠邦の言動・風俗取締りの元で、人物に不自然な紋所を入れたり、異形の幽霊に紋所をつけたり、時代に合わない武器を持たせたりして始末書を書かされたそうだ。
国芳の性格については”弟子も多く、浮世絵界の大物であるにかかわらず、野卑な風体をしており、闊達な気性で版元からの注文が気に入れば賃金の多少にかかわらず引き受けるが、気が向かなければいくら好条件でも断ってしまう。欲には疎い方”と言っているそうだ。
愛猫家で猫をたくさん描いている。

あとがきや解説でも随分教えてもらったがあまり長くなるので、忘れないように紹介だけにした。
少し前に読んだが、おおかた忘れているので、東京の展覧会を羨みながら再読した。

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2019年12月20日

Posted by ブクログ

都立美術館で行われた奇想の系譜企画展をきっかけに読みました!
江戸美術が広まったきっかけとなった著書。大変楽しく読ませてもらいました。

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2019年03月17日

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辻氏が日本美術史で指摘していたキーワードの適切さが、本書によって得心できた。

奇想とは芸術の本流、本書に取り上げられた6人はその前衛。

今となっては図版が白黒なのは残念だが、それでもその迫力は十分に堪能できる。展示を見に行くのが楽しみです。

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2019年02月22日

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岩佐又兵衛、狩野山雪、伊藤若冲、曾我蕭白、長沢芦蘆雪、歌川国芳という6人の画家について、書かれています。そして、これらの画家に共通する性格を的確に浮き彫りにするような、「奇想」(奇なる発想)という言葉で括られています。
しかし、「奇想」こそ近代絵画史における主流であり、彼ら6人の画家も「異端」ではなく、そうした主流の中での前衛として理解されるべき、と書かれていたのが印象に残っています。

彼らの作品はどれも個性的で、魅力的で、文章と図版両方が載っていることで、作品のおもしろさがよく伝わってきました。読んでいると、どんどん作品と作者に興味を持ち、本物を見て感じたくなりました。

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2017年10月15日

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岩佐又兵衛、狩野山雪、伊藤若冲、曾我蕭白、長沢蘆雪、歌川国芳の6人を取り上げ、「奇想」というキーワードでその本質に切り込む名著。30年も以前の本ですが、まだ、新しい感じがします。

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2016年06月19日

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ネタバレ

      -2006.04.03記

書の初版が刊行された1970(S45)年当時、衝撃的な異色作として迎えられたことだろう。
文庫版解説の服部幸雄の言を借りれば、「浮世絵以外の近世絵画の中にこれほど迫力があり、個性的かつ現代的な画家たちが存在していたとは、思ってもいなかった。そういうすぐれた画家たちがいたことを、私は多くの作品とともに、本書によって初めて教えられた。眼からうろこが落ちるとは、こういう時に使うべき表現であろう。」ということになり、「近世絵画史の殻を破った衝撃の書」と賞される。

初版は、1968(S43)年の美術手帖7月号から12月号にかけて連載された「奇想の系譜-江戸のアヴァンギャルド」を母体に、新しく長沢蘆雪の一章を加筆したのが70年「奇想の系譜」として美術出版社から出されたのだが、それは江戸時代における表現主義的傾向の画家たち-奇矯(エキセントリック)で幻想的(ファンタスティック)なイメージの表出を特色とする画家たちの系譜を辿ったものだが、美術手帖連載当時、部分的には私も眼にしていたものかどうか、40年も経ようという遠い彼方のこととて深い靄のなかだ。

ただその頃、厳密には少し前のことになるが、広末保らによる幕末の絵師「土佐の絵金」発見があり、そのグロテスクにして奇矯な色彩、劇的な動きと迫力に満ちた絵画世界が注目されていたことは、私の記憶のなかにも明らかにある。絵金の表現する頽廃とグロテスクな絵は、宗教的・呪術的なものに媒介された絢爛と野卑の庶民的な形態としての実現であったろうし、民衆の想像力として爆発するそのエネルギーに現代的な意義が見出されていたのだろう。

著者は「奇想の系譜」を、岩佐又兵衛(1578-1650)、狩野山雪(1590-1651)、伊藤若冲(1716-1800)、曽我蕭白(1730-1781)、長沢蘆雪(1754-1799)、歌川国芳(1797-1861)と6人の画家たちで辿ってみせる。彼らの作品は、常軌を逸するほどにエキセントリックだ。或いは刺激的にドラマティックだ。また意外なほどに幻想的で詩的な美しさと優しさに溢れていさえする。それらはシュルレアリスムに通底するような美意識を備えており、サイケデリックで鮮烈な色彩感覚に満ちていたりする。まさしく60年代、70年代のアヴァンギャルド芸術に通ずるものであったのだ。

著者はあとがきで言っている。「奇想」の中味は「陰」と「陽」の両面にまたがっている。陰の奇想とは、画家たちがそれぞれの内面に育てた奇矯なイメージ世界である。それは<延長された近代>としての江戸に芽生えた鋭敏な芸術家の自意識が、現実とのキシミを触媒として生み出したものである。血なまぐさい残虐表現もこれに含めてよいだろう。これに対し陽の奇想とは、エンタティメントとして演出された奇抜な身振り、趣向である。「見立て」すなわちパロディはその典型だ。この一面は日本美術が古来から持っている機智性や諧謔性-表現に見られる遊びの精神の伝統-と深くつながっている。さらにまた芸能の分野にも深くかかわっていた。奇想の系譜を、時代を超えた日本人の造形表現の大きな特徴としてとらえること、と。

辻惟雄の近著「日本美術の歴史」(東京大学出版会)では、これら奇想の系譜の画家たちが、美術史の本流のうちに確かな位置を占めている筈だ。

――2006.04.03 記す

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2022年10月13日

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日本美術史家の辻惟雄先生が40年ほども昔に書かれた名著。80歳を越えた大御所の先生にも若くて熱い頃があったんだなぁ、と微笑ましく読みました。この本が書かれていなかったら、今、これほどまでに江戸絵画に注目が集まっていなかっただろうと言われています。なにしろ、先生の筆の走ることといったら、スーパーカーのよう。今すぐにでも実物を見たくなる気持ちに駆り立てられる力に溢れています。
先日、京都国立博物館でその奇想に身の毛がよだった狩野山雪も取り上げられていて、より興味深くその人物像を知ることができました。6人の中では岩佐又兵衛にもっとも興味がわきました。山中常盤、いつか、じっくりと見てみたい。

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2013年07月01日

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一見難しい感じだが、意外と分かりやすく書いてある。揃えてある絵もとても面白い。文庫で1300円と高いが仕方ないのかと思う。

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2012年11月06日

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わが国の近世絵画における「奇想」をテーマに、若冲ら6人の画家を取り上げ、その系譜を解き明かそうという試みです。初版刊行から40年たった今日でも読み継がれている名著ですね。

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2012年09月29日

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ネタバレ

著者の辻先生について、
自分が結婚を世話した弟子に「早く身を固めろ」と言ったとか
伊勢神宮で迷子になったとかの
天然エピを目にしてからずっと気になっていた本。

読んでみたら、面白かった!
内容はもちろんなんだけど、語り口というか文章の切れ味にやられました。メロメロになりました。
こんな文才迸ってる人が伝説級の天然ボケとは…萌えるじゃないか…

取扱い作家は、岩佐又兵衛、狩野山雪、伊藤若冲、曽我蕭白、長沢蘆雪、歌川国芳。
『日本美術応援団』が好きな人には絶対オススメ!

へうげものには岩佐又兵衛が出てきますが、
村木道重の子だっていうのは絶対へうげ設定だと思ってた。ゴメンナサイ。

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2011年12月11日

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現在の奇想画家ブームの火付け役の本。
今や主流ではありますが。
美術史のように堅苦しいものではなく、画家本人についてのエピソードや絵の解説なので、少しでも興味のある方なら読みやすい本だと思います。
奇想画家がお好きな方は、是非一読をお勧めします。

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2011年06月07日

Posted by ブクログ

 70年代にこの本を出したのは本当にすごいと思う。現在の若冲・蕭白ブームの立役者。(いいぞもっとやれ)
 あっさりすっきり地味にこぎれいにまとまって侘び寂びであることが特徴のように思われてしまいがちな日本美術ではありますが、決してそんなことはない! と判りやすく面白く導いてくれる入門書。

 そしてこれを読んだら、是非に是非に、近くの美術館へ出かけることを勧めたいのです。まったく違った世界がそこにはあるはずですから!

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2010年10月03日

Posted by ブクログ

歴史の闇に消えた絵師たちに、再び光をあてた名著。
時間がながれても、その奇想の世界は今も私たちに衝撃をあたえる。

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2009年10月04日

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岩佐又兵衛、狩野山雪、伊藤若冲、曽我蕭白、長沢蘆雪、歌川国芳について紹介。
伊藤若冲、今まであまり通ってこなかったけどリアリズムを超えた想像の表現力がすごいな。長年その事物と向き合ったからこそ見えてくるものを感じる。
蘇我蕭白の奇抜なデフォルメと強烈な色彩も良かった。
狩野山雪の「梅花遊禽図襖」は構図えぐい、この木の枝の荒々しさは実際見たいなぁ
長沢蘆雪 応挙の弟子、犬可愛い

勉強になる一冊でした

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2023年11月30日

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若冲らを世に知らしめた何十年も前の歴史的名著ですが、ちゃんと読んだことはなかった。いま読んでも実に面白かった。

それにしても、若冲、蕭白、蘆雪がいたこの時代の京都に一度行ってみたい!

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2023年09月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

【憂世と浮世 岩佐又兵衛】


【桃山の巨木の痙攣 狩野山雪】
父・狩野山楽

俵屋宗達が底抜けに明るいロマンティシズムを唄いあげる一方で、岩佐又兵衛や山雪の偏執と奇想が横行した寛永という時代は、なかなか一筋縄でゆかない時代だったようである。

〈↓京都奇想派の3名〉
【幻想の博物誌 伊藤若冲】


アンリ・ルソー
プリミティフの巨匠の系譜に仲間入り
案外有効?

【狂気の里の仙人たち 曾我蕭白】
『群仙図屏風』
清の上官周『晩笑堂画伝』の影響の可能性?

曾我派

癇癪持ちで傲慢な点、同時代の上田秋成に似たところもあったようである。

雲龍図襖

【鳥獣悪画 長沢蘆雪】


【幕末怪猫変化 歌川国芳】

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2022年01月14日

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辻惟雄 「奇想の系譜」

岩佐又兵衛 に始まり、歌川国芳 に至る奇想絵師の系譜をまとめた本。


美意識とは何か考えさせられる。悪趣味にデフォルメされた美も、系譜の中で見ると。異端者の強烈なエネルギーであり、怪奇の中で美が強調されている


残念なのは、カラーが少ないこと。けばけばしい配色も魅力の一つなのに。


末尾にある画家年表がわかりやすい。さすが美術史家
*岩佐又兵衛は年表上、狩野永徳の晩年に生まれ、狩野山雪と同時代を生きている。長谷川等伯とも重なる時期がある
*伊東若冲、曾我蕭白、長沢蘆雪の活動は重なる時期があるが、お互い意識したのだろうか
*若冲、蕭白、蘆雪が亡くなってすぐ、歌川国芳が生まれている
*北斎は長生き。蘆雪と同時期に生まれ、歌川国芳とも活動が重なる


衝撃的なのは 曾我蕭白 (しょうはく) の「群仙図屏風」「寒山拾得図」「富士三保図屏風」〜聖と賊は表裏一体なのかもしれない



蕭白と北斎に共通点を見出した著者の洞察力に驚く
*鉱物質というべき乾いた非情な想像力
*鬼面人を驚かす見世物精神
*怪奇な表現への偏執
*アクの強い卑俗さ
*背後にある民衆的支持







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2021年12月29日

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ネタバレ

京博の「狩野山楽・山雪展」で観た、山雪の「雪汀水禽図屏風」を確認したくて再読。
狩野派の屏風か障壁画で波が高い海の岩の上にいる鳥が描かれたものを探して。
「ウルヴァリン:SAMURAI」にも「ぽい」のが登場してた。予告編にも映ってるのでもう一度観てみたけどやっぱり「ぽい」か。


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2009/11/09
☆☆☆☆

信楽のMIHO MUSEUMで開催中の「若冲ワンダーランド」の予習として。

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2021年09月30日

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当方でさえというくらい、今やここに取り上げられている画家全員の名が知れ渡っていることを考えるに、この作品は日本美術史研究上の金字塔と言っても差し支えないんでしょう、多分ですけど。
絵そのものもそうですが、画家それぞれのエピソードがすごい面白い。印象派ではないですが、画家の人生に対する知識・理解が間違いなく絵画鑑賞の土台になってきます。そういう意味で、見る側の教養も問われとるんでしょう。あんまり下手なことをつらつらと書いてると、当方の凡庸さが浮き上がってしまうので、この辺で。

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2021年03月21日

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取り上げられているのは、岩佐又兵衛、狩野山雪、伊藤若冲、曾我蕭白、長沢蘆雪、歌川国芳。
展覧会に行く前にどうぞ。

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2019年03月17日

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奇想の系譜を読み、『奇想の系譜展」を観覧してきた。
個人的には岩佐又兵衛狙いだったのだが、本書を読んで思っていた感覚と実際に見た感覚には少し乖離があった。

彼等は決して奇をてらってあた訳ではなく、時代背景や伝統からくる様々な制約という殻を破り、人々の生活や感情、もっと言えば人間の本質を描きたかったのではないかという事を強く感じた。

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2019年03月13日

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岡田秀之「かわいい こわい おもしろい 長沢芦雪」新潮社の対談もやっておられた辻惟雄先生の著書。岩佐又兵衛、伊藤若沖、曾我蕭白、長澤芦雪、歌川国芳という流れを「奇想」という言葉で定義し、「異端」でなく「主流」中の前衛として再評価した本。若沖でさえ、どこかで観たことあるレベル、ましてや取り上げられている芦雪の他の画家らはあまり知らない人も多く、中の絵にも好きな物、あまり好きでないもの色々だったが、当時のそれまでの絵と何が違うのか、何をどう描こうとしたのか、俯瞰できた。

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2017年12月30日

Posted by ブクログ

50年近く前に書かれたとは思えず、とても興味深く読めました。
著者の感性を通して説明される絵の1枚1枚のどれも実際に目にしたくなり、好奇心がビンビンと刺激されます。
ついこの前、国芳の展覧会を観てきましたがら折しも今は若冲の展覧会もあるので行かねば。
でも題材になった画家の中では蕭白のが一番観たいなぁ。

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2016年05月11日

Posted by ブクログ

歌川国芳香の相州江之嶋の図がすごい/歌川国芳の独楽の化物がすごい/歌川国芳の鬼若丸の鯉退治がすごい/曾我蕭白の花押がすごい/長沢蘆雪の四睡図がかわいい

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2019年01月02日

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東京都美術館で企画化されたのに行き、おもしろかったのでこちらも読んでみた。
それぞれの画家の人生と、画風の特徴をわかりやすく解説している。勿論作品も掲載しているが、ほとんど全てが白黒なのが残念。実際の絵をみたほうが断然よい。

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2019年06月25日

Posted by ブクログ

「近世絵画史を書き換えた画期的な書」らしい。1970年初版。2018年の今読む上では、近世絵画の鑑賞指南書といったところか。図版も豊富で美術初心者でも読みやすい。実物が見たくなる一冊。実物を見たら再読したい一冊。

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2018年05月06日

Posted by ブクログ

いまでは大人気の絵師たちの、はるか昔の評論書。
当時の関心のなさといったら、現代のそれと比較できないレベルだろうところで、目をつけて仔細に述べている著者の審美眼には唸る。

巻末の書評に図版が豊富とあったが、カラー写真に見慣れている自分たち世代では、物足りない印象もあったが、文庫だから仕方ないのかも

又兵衛、山雪、若冲、蕭白、蘆雪と国芳、どの作家も個性的で、また作品を観たくなった。

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2017年12月18日

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