【感想・ネタバレ】ガザとは何か~パレスチナを知るための緊急講義のレビュー

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Posted by ブクログ 2024年05月12日

本当に何もわかってなかったなと思ったし、こんなひどい状況を世界ぐるみで放置しているという現実に絶望的な気持ちになった。
けれど、あまりにもおかしい。わかりやすくおかしいのだから、自分も何かしたい。
まずはこの本を多くの人にすすめたい。
本棚で眠らせず、まず職場に持っていこう。

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Posted by ブクログ 2024年05月12日

もっと早く読んでおくべきだった。パレスチナに国際法を適用すべき。可哀想な目にあったユダヤ人は何をしてもいいのか?自分がされたからこそ、人にはしてはいけない。ユダヤ人の民族としてのあり方が問われている。そして私たちの人間性も。

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Posted by ブクログ 2024年04月26日

自分の無知を恥じる。何も知らなかったことに気づけたことと、このように講演やテキストにまとめて出版してくれたことに感謝します。
プロパガンダの偏ったコンテクストにまとめられていることにも気づけない現状、世界への恐怖とそれに怒りや恐怖、自死に至る絶望を抱く人々のことを考えると自分にできることは何かと考え...続きを読むてしまう。

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Posted by ブクログ 2024年04月09日

著者の岡真理さんは、早稲田大学文学学術院教授、京都大学名誉教授で、学生時代からパレスチナ問題を専門的に取り上げ、調査・研究しているだけあって、発言には重みがあると感じた。
また、私たちは歴史とプロパガンダではなく、実際に起こっていることを正しく見る必用があるだろう。

現在パレスチナ人の死者数は、分...続きを読むかっているだけでも31,000人を超えると言う。しかも半数近くは子どもだ。
ニュースでは、昨年10月7日のハマース主導のパレスチナ人戦闘員による攻撃が発端で、イスラエルによる反撃があったように報道しているが、むしろ発端はイスラエルだ。

例えば、
ある地域(家族でもいい)の人々が、完全に隔離しされ、自由が与えられず徹底的にいじめられるとしよう。しかも、その周りの土地や建物は、元々自分たちの所有するものだった。周りには助けを求めるが、誰も助けてくれない。しかも法律的には、(当然だが)後から来て土地や建物を奪い、いじめを行うことは違法だ。
このままだと、自分たちもどこかへ追いやられるかも知れないし、殺されてしまうかも知れない。(周囲の住民は自分の土地・建物を守ろうとして殺されている)
どうせ殺されたり、死んだも同然の扱いをされるのなら闘おう。
と言うのが、イスラエルとパレスチナの歴史だ。

ハマースに対するイスラエルの攻撃はジェノサイド以外何ものでもないだろう。
ガザ地区の北を攻撃するとして、南に移動させ(もちろん移動している最中にも大量殺戮を行っている)、南に移動した人たちが暮らすキャンプまでも、攻撃の対象とする。
ハマースでも一般民間人を殺すことは許されることではないが、そのハマースが潜んでいるかもしれないだけで、イスラエルが何万人ものパレスチナ民間人を殺して良い訳がない。
イスラエルの攻撃開始からわずか2週間で、ガザのパレスチナ人の死者は4000人を超え、うち半分近くが子供だと言う。

いやその前に、ハマースがテロを行ったと言うことも、半分割り引いて考える必要があるようだ。
ハマースがイスラエルに侵入し人質を確保しようとした際、イスラエルの警備兵との銃撃戦となったようだが、イスラエル兵は人質含めハマースを殺害したと、生き残った人質は証言している。しかも、その人質は、ハマースからは優しく扱われていたと言う。但しこの情報は、後に消去され、ハマースが人質を殺害していたと報道している。

情報戦に関しては、イスラエルに完全に分がある。我々は報道内容を鵜呑みにしてはいけないだろう。

また、こんなことも。
ガザ、それは巨大な実験場。
イスラエルの最新式兵器の性能を、実践で実験するところ。大規模攻撃を仕掛ければ、世界のニュースがそれを放映してくれる。ガザは、その兵器の性能を実演して見せるショーケース。新兵器の開発で用済みになってしまう古い兵器の在庫も一掃できる、ガザはそういう便利な場所なのだ。
ガザは実験場だ。
2007年当時で150万人以上の人間を狭い場所に閉じ込め、経済基盤を破壊して、ライフラインは最低限しか供給せず、命を繋ぐのがやっとという状況にとどめ、何年かに一度大規模に殺戮し、社会インフラを破壊し、そういうことを16年間続けた時、世界はこれに対してどうするのかという実験。
そして、世界は何もしないことが分かった。

NHKエルサレム特派員をしていた鴨志田郷解説委員の、こんな言葉も載っていた。
「攻撃がない時、いったい自分はどれだけガザのことを世界に伝えようとしてきただろうか。
恥知らずなのは、私自身です。だから今、話していて、とても苦しいです。教えてください。
非暴力で訴えても世界が耳を貸さないのだとしたら、銃を取る以外に、ガザの人たちに他にどのような方法があったでしょうか。反語疑問ではありません。純粋な疑間です。教えてください」
現実に直面する人の、疑わざる心からの言葉だと感じる。

1982年、内戦中のレバノンに侵攻したイスラエル軍はベイルートを占領し、西ベイルート郊外にあったパレスチナ難民キャンプ、サブラーとシャティーラーを封鎖する。
国際法に従えば、占領軍としてイスラエル軍には占領下の住民を保護する義務があるにもかかわらず、PLOの戦士たちがベイルートを追放されて、非戦闘員だけが残された両キャンプに、イスラエル軍は同盟していたレバノンの右派民兵組織を入れた。彼らは9月16日から28日の3日間、斧や鉈でキャンプ住民を虐殺した。
イスラエル軍は夜になると照明弾を打ち上げて、この虐殺を幇助した。この集団虐殺で2000人以上が殺された。
国連によって、この虐殺はジェノサイド的行為と認定され、当時の国防大臣アリエル・シャロンは大臣を罷免されるが、のちに首相に返り咲く。
その後、このジェノサイド的行為の責任を、誰も問われることはなかった。

イスラエル政府は、パレスチナある6つの人権団体をテロ組織と認定している。イスラエルの人権侵害を告発する者たちは、イスラエルにとってテロリストだということだ。

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Posted by ブクログ 2024年04月07日

今まで、パレスチナのこと、イスラエル建国のこと、イスラエルが何をしてきたか、ガザの現状、それを世界がどう報道してきたか、何も知らなかった。
ニュースで言っていることを何となく聞いて、ハマス悪い、何でそんなことするかね、止めればいいのに、とぼんやり思っていた。
全部間違い。恥ずかしい。
この本に書かれ...続きを読むていることを鵜呑みにするのもまた間違いかもしれない。
ただ、このように考え、大きく強く、ガザのために声を上げる人がいることに間違いはない。心を揺さぶられた。
この本のことを誰かに伝えなくては。
知り、考える人を増やすために。

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Posted by ブクログ 2024年04月07日

2024/03/06〜2024/03/21
アトロクブックフェアで購入。
自分のパレスチナ・イスラエル問題の誤った認識を改めるには十分な、十分を超えて過分な情報を与えられる衝撃の本だった。

この世にこんな地獄があって良いのかよ……

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Posted by ブクログ 2024年04月06日

私は今、この本を
暖かいベットの上で読み終えました。

知らないことを知ることが好きな人、
少しだけ人の声を聞くのが得意な人、
人の痛みに気づける人、
そんな人たちにどうか読んで欲しい、
知って欲しい本。

この本を読んでいた2日間は
目を背けたくなる事実に頭を抱え、
眉をしかめ、何度も涙が出そうに...続きを読むなりました。

対岸の火事ではない。
私たちが人として生きていく上で、
決して認めてはならないこと。

その声に耳を傾け、受け取る。
受け取った言葉を、今度は自分が伝える。

自分の力がどんなに小さくても、
誰も答えてくれなくても、
その声を受け取った私が黙っていてはいけない。

そんな思いでここに記しています。

正直わたしもまだこの本や、
他の声をあげている方の言葉しか受け取れておらず、
全体理解にはまだまだ程遠いです。

ただ、どんな理由があれど
一方的なジェノサイド(大量虐殺)が
許されて良い理由にはなりません。

自分たちは生きる上で、
人権を行使しています。
だからこそ守られいて自由です。

朝起きて好きなものを食べて、
お風呂に入ったり本を読んだり、
思ったことをここに自由に呟いたりできます。

これもやっぱり、人権を行使できているからこそ成り立つ生活です。
行使と言うまでもない、私たちにとっては
当たり前の権利ですよね。

そんな中、ガザの現状は想像を絶します。
生きる上での最低限のライフラインにもアクセスが出来ず、
イスラエルからの攻撃で怪我を負った人へも、まともな医療が施されない状態にあります。

足を怪我しても、麻酔もありません。
必要な医療が整っていないため、
麻酔のないまま足を切断するしかないのです。

私たちの生活からは想像なんてつきませんよね。
私もよくわかりません、あまりの残酷さに
言葉がありません。

今パレスチナ人のひとびとは、
隣で笑っていた家族が殺され、
誰のものか分からない遺体が溢れた街にいます。

私たちは、人としてこのジェノサイドを許してはいけません。
声をあげないと黙認になってしまいます。

だからこそ、ここに文字として記します。
私はこのジェノサイドを強く批判します。
停戦を求めます。

世界中がイスラエルの国際法違反・戦争犯罪に目を瞑っている。
そんな中、パレスチナ人のひとびとは何十年にも及んで絶望を味わってきたのです。
(恥ずかしい話ですが、私は最近まで内情すら知りませんでした)

国いう大きな単位ですぐに動かすことができなくても、
一人一人の声や、持つ力は集まればそれはとても大きな力になります。

世界が沈黙を続けるのなら、
個と個の声を集めて、沈黙を破るしかない。
私はその中の個でありたい。
そんな純粋な欲求に従って、この小さなアカウントでまずは声をあげました。

その個を少しでも増やしたくて、
こうして1人でも多くの目に留まる様、
ここに言葉を記しています。

私たちは受け取り手です。
しっかりと事実を見つめなければいけないと思います。

そして、受け取ったら
次はこの口で、事実を伝えていきましょう。

#ガザとは何か #岡真理 #freepalestine

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Posted by ブクログ 2024年04月02日

今まさに起きているジェノサイド。
決して対岸の火事ではない。
知らずに済まそうとすることもまた次のジェノサイドを招き寄せる。
何が起きているのか、何故起きているのか、学ぶ姿勢を大事にしたい。
とても読みやすく、勉強になった。

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Posted by ブクログ 2024年03月22日

読みました。いま読んでよかったし、読むべき本だと思った
私は本には読まれるべき時期があるというような説は支持してないんだけれど、この本はいますぐにでも読むべきだと思う
ガザで行われていること、その原因や歴史。イスラエルとはパレスチナとは。ガザで行われていることは人道問題ではなく政治的問題であることや...続きを読むそれらを見過ごして放置して加担してきた国際社会などがまとめられている
具体的にガザでどんな虐殺が行われているかや数字でもってどれほど犠牲者が出ているのかが書かれているけれど、あまりのひどさに何回か読む手が止まった。しんどかった
同時に日本が行ってきたことも突きつけられ、いかに自分が今まで知らなかったか(まあ教育やメディアの問題もあるけれど)無関心でいられたかを思い知るので自己嫌悪もすごく催した
いますぐ、この瞬間にでも永久に虐殺が止まりこの問題が解決することしか願えない

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Posted by ブクログ 2024年03月03日

全然理解していなかったイスラエル・パレスチナ問題についてようやくちゃんと知ることができた。

講義形式で書かれているから読みやすい。イスラエル建国の流れすらまったく理解してなかった自分でも分かりやすく読めた。

イスラエルの虐殺を止めるために何ができるのか、ひとまずBDS運動の一環として家にあるソー...続きを読むダストリームを処分する。

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Posted by ブクログ 2024年02月27日

今までイギリスの二枚舌のせいで、パレスチナ問題は起こってて、イスラエルもパレスチナもどっちも可哀想、今回はハマスが酷い事をしてイスラエルがそれを機にやりすぎてるみたいな認識だった。
それと、パレスチナ開放をTwitterで呼びかけてる人が紹介していた動画がフェイクだったりもあって、あまり触れたくない...続きを読むなと思うようになっていた。
イスラエルの友達はハマスの襲撃後に軍の諜報機関で働いてるようだった(インスタストーリにて)
最近は普通の生活の様子美味しいもの食べてワイン飲んでみたいなストーリーあげてた。

複雑な気持ち
とにかくこの問題には見ないよう
に関わらないようにしていたと思う

でも3月10日にハマスがまだいるなら地上作戦開始っていうの見て、それってもう皆殺し宣言じゃんと思って、このまま何もしないでいいの、と思った。
それでとりあえずこの本を読んでみた。

残忍な虐殺をした人たちがそれを堂々と公表してて、そんな人が首相だったりしたのか、ちょっと信じられない、感覚が違うのだと思ったし
イスラエルの中でもこのジェノサイドに反対している人たちもいるとは書いてあったけど、今その人たちは安全なのか、普通に殺されてそうと思った。
世界に他にも隠されて酷い仕打ちされ、拷問され殺されていってる人がいるんだなと、ガザに注目が集まっている中で西側のパレスチナやシリア難民もどんどん酷い目に遭っていて世界は注目していない。
私が生きてるのはこういう世界なんだとわかった。

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Posted by ブクログ 2024年02月18日

2023年年10月の岡真理先生の緊急講義二本をまとめたもの。
オンラインで講義を見た上で本書を読んだ。

ここに至った歴史や経緯と、いまガザの人々が曝されている非人道的で、悲惨な現状が、切々と語られている。

・イスラエルという国が入植者による植民地国家であること、植民地主義のもとに成り立っているこ...続きを読む
・ヨーロッパにおけるユダヤ人差別のツケをシオニズムに乗るかたちでパレスチナに押し付けたこと、違法なパレスチナ分割案を是認した国際社会にも責任があること
・パレスチナ分割が決定して以降数十年もの間、パレスチナ人が民族浄化の暴力に曝され続けてていること
・パレスチナ問題の焦点は人道的危機ではなく政治的な部分にあること、政治的問題から逸らすためにイスラエルが意図的に人道危機をつくり出していること
・イスラエルによる、攻撃対象の規模に釣り合わない過剰な攻撃や、ガザの封鎖といった集団懲罰は、国際法違反であること
・被占領者が占領からの解放のために武力を用いて抵抗することは国際法上の正当な抵抗権の行使であり、ハマースは民族解放を求める運動組織であること

文学研究者である筆者は語る。

「私の専門は文学です。今、私たちが何よりも必要としているのは、「文学」の言葉ではないかと思います。(中略)ハマースと名付けた者たちを非人間化する言葉が氾濫する中で、パレスチナ人が人間であるということを私たちが理解するために、私たちは文学を、文学の言葉を必要としています。文学は、人間にヒューマニティを取り戻させます。誤解しないでください。文学によって人間性を取り戻すのはパレスチナ人ではありません。私たちです。」(p.144)

「イスラム」や「テロ」といった言葉に、これまで私たちはどんなものを思い浮かべてきただろう。あるいはイスラエル側に寄ってハマースを非人間的とみなす報道を、どのように受け止めてきただろう。

カロリン・エムケは著書『憎しみに抗って』で「他者」を可視化、不可視化することについてこのように語っている。
「(前略)バスのなかの難民たちは、一方で個人としては「不可視」の存在とされた。(中略)独自の歴史、経験、個性を持った人間とはみなされなかった。だが同時に、彼らは「他者」として、「我々ではない者」として「可視化され」、または作り上げられた。彼らを不気味で、忌まわしく、危険な集団に仕立て上げ、烙印を押すさまざまな特徴が投影された。(後略)」

ある集団を「怪物化」し、遠ざけ、理解を拒む。そこにある「独自の歴史、経験、個性」を見ようとしない。これはまさに世界が、私たちが、行っている暴力の一つではないか。
迫る軍隊を前に自宅に鍵をかけて逃げ、そのまま七十年以上故郷に帰ることができない人々。追いやられ逃げのびて、難民となって生きるしかなかった人々。祖父母の焦がれた故郷に帰りたい一心で境界を越えて攻撃に向かう人々。常に死の恐怖を抱えながら生活している人々……。
死者何人、負傷者何人。そういったただの数字には現れ得ない一人ひとりの生に視線を向けること、知ること、共感することが、私たちにできることの一つではないか。

本書には「もっと知るためのガイド」として、多数の書籍や映画、情報サイトが紹介されている。岡真理先生による翻訳小説等、パレスチナから世界へ訴える声を伝えるものだ。
まずはここから、知ることからはじめたい。

また、それと並行して、私たち自身も声を上げていかなければいけない。
本書では文章に起こす過程で整えられているものの、講義では先生が言葉を詰まらせ、涙を堪える場面が幾度かあったように思う。人間に想像可能な悲惨さの極地を、現実が安々と飛び越えてゆくようなとき、それを言葉にすることの困難さを思えば当然だろう。それでも、起きている悲惨さを言葉にし、伝えていかねばならない。一刻も早く攻撃を止め、一人でも多くの命を救うために。そのための緊急講義であり、声を上げる義務は、聴講者、読者である私たち一人ひとりも負っている。

パレスチナに連帯する声がひろがることを、攻撃が止むことを、人が人としてあるべきように生きられることを、願って止まない。


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Posted by ブクログ 2024年02月13日

遠いイスラエルとパレスチナの話。
しかし!これは大変な状況なのだと初めて知った。
中東で戦争があっても虐殺があっても自分の身には何も降りかかってはこない。適当にニュースや本を読んで何となく分かった気になっていた自分が恥ずかしい。
報道やアメリカのやり方などに憤ることも多々あるが…
先ずは戦争の終結を...続きを読む
そしてパレスチナ問題の政治的な解決を。
この本に書かれていることは紛れもない真実なのだから。

また、今後関連する書籍として
『現代思想2024vol.52-2 パレスチナから問う』
『イスラム報道 ニュースはいかにつくられるか』(エドワード・W・サイード)
を読む予定にしている。

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Posted by ブクログ 2024年02月07日

YouTubeで岡真理さんの講演を聞き、こんなにはっきりとパレスチナを支持し、ユダヤのイスラエルの犯罪性を強調する学者がいるのかと驚いた。
その丘まりさんの新作、本社は講演の内容をまとめ、出版されたと、前書きにあるが、YouTubeで見た講演の内容がはるかにはっきりと理解できた。
暴力の連鎖、テロと...続きを読む報復の連鎖、憎しみの連鎖といった言葉が、メディアで盛んに使われるが、本書では、これらの言葉を使うかどうかで、信頼できるメディアか、信頼できる人物かどうか資金席になると説明している。この連鎖の前に何があるのか問題の本質、歴史的経過を考えずにこの言葉を使うべきではないと言う主張である。
ユダヤ人がどれだけ自分たちを犠牲者と見直そうとも、他者の人間性の否定と言う点において、ナチスがユダヤ人に対して行ったことと等しい。ハマスとは何かではなく、むしろ飛ぶべきはイスラエルとは何か?どのように建国されたのか、それがこの問題の根っこにある原因である。ヨーロッパ人のレイシズムに基づく植民地主義的な侵略と暴力的な民族浄化によってユダヤ国家が作られたということ。
国際司法裁判所にガザ地区虐殺を国際法違反として提起したのが南アフリカであると言うニュースを聞いたときによくわからなかったが、本書を読んで、イスラエルのアパルトヘイト、と言う指摘に納得した。

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Posted by ブクログ 2024年02月04日

なぜパレスチナ人が難民となったのか、イスラエルはどのように建国されたのか、どのような国なのか、ガザで十六年以上続けられている封鎖とは何か、パレスチナの人々はこれまでどのような暴力にさらされてきたのか。こうした歴史的文脈がわかりやすく説明されている。これは政治的問題であり、単に人道問題としてはいけない...続きを読むと著者は主張する。もちろん、人道支援は不可欠だが、国際法違反である占領や封鎖のもとで死なずに生きていけるようにすることだけで終わってしまっては違法状態を黙認していることにもなり、根本的解決のためには政治的解決をしなければならないのである。著者が引用する「忘却が、次の虐殺を準備する」という言葉のとおりにイスラエルによる軍事攻撃が繰り返されてしまっているのはなぜなのか考え、今起きているジェノサイドをやめさせるだけでなく、二度と繰り返されないようにしなくてはならない。そのためには自分は何ができるのか、何をすべきか考えさせられた。まずは正しく知り、喉元を過ぎたら忘れるのではなく、声を上げ続け、行動しなければ。

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Posted by ブクログ 2024年02月03日

自分が常日頃、いかになんとなくニュースを眺めただけで全てを判断してきたのだなということを猛省した。
序盤にあった「どっちもどっち論や報復の連鎖という言葉を使うメディアは信用してはいけない」という言葉の意味が一冊を読み通す事でよくわかった。

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Posted by ブクログ 2024年01月25日

2023年10月7日から始まり現在(2024年1月25日)に至るまで続く、イスラエルによるパレスチナに対する非人道的戦闘行為を受け、著者が10月20日と23日2箇所で行った講演会をまとめ12月に緊急出版されたもの。ここで著者が一番に訴えていることは、15,000人のパレスチナ人(前書きが書かれた11...続きを読む月29日時点の数字。1月25日時点では25,000人)が殺されている現在のイスラエルの戦闘行為はジェノサイド(大量殺りく)に他ならずこれをまずは止めること、そして今回のような戦闘行為がいったん起きてしまえば人命救済が優先されるあまり、つい人道問題に置き換えられてしまうイスラエルとパレスチナの問題を、正しく歴史的文脈の中できちんと「政治問題として知ること」なしには解決しないことだということだと思う。そしてこの2つの講演で、シオニズムの誕生から始まり第2次世界大戦後の1947年国連で決まった「パレスチナ分割案」から始まった「イスラエル建国」というものが、国際法を無視した暴力(殺戮、占領、アパルトヘイト)によって行われていること、国際社会はこの問題の本質からずっと目を背け、そればかりかハマスをテロリスト集団とするイスラエル側の見解に沿った偏向報道を通じてこのイスラエルによる暴力を支援し続けていることを、簡潔に平易な言葉で解説しているので、巷間で言われている「パレスチナ問題」を知る手引書として良いと思う。ホロコーストでユダヤ民族を大量に殺害したことに対する罪の意識から逃れるため、それを聖地エルサレムがあるという一点以外何の関係もないパレスチナ人の死で贖おうとするヨーロッパ諸国を初め、ユダヤ資本が政治の中枢にまで入り込みイスラエルを支援しなければ大統領にも議員にもなれないというアメリカ、対米追従の我が国日本のスタンダードはパレスチナ問題そのものなのだと思う。

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Posted by ブクログ 2024年01月18日

日本のメディアは嘘で溢れている。つまりアメリカ視点=イスラエル寄りに傾きすぎている。自分から情報を取りに行かないとそれに気づくことすらできない歪んだ世界。安全保障の都合上アメリカとスタンスを合わせてるんだろうけど、このジェノサイドに目を瞑るということは、不正義の前での国際法の無意味さに加担し、私たち...続きを読むの自由が危ぶまれることでもある。水や食料が手に入って地元に帰れて家族と会えて自由に移動できる、そんな「普通」な日常を送ることができている私たちこそ正しく事実を知り、声をあげなければならない。投票できる一市民として政治を通して闘っていかなければならない。パレスチナで生まれた子供たちは、「普通」の暮らしを知らないまま育ち、イスラエルの占領下で生きながらの死か、大量殺戮による死が待ち受けている。そんな悍ましいことがこの人間社会でまかり通って良いのか。
ホロコーストとその後の連合国による非人道的で権威主義的な取り決め(国際法違反)の積み重ねにより、シオニズム主義国=イスラエルがパレスチナの土地に不法に造り上げられ、その後毎度酷さを増しながら続く民族浄化という文脈の中で起きた今回の攻撃。何も背景知識のない人でも、歴史的文脈から解説されているため、宗教の問題ではなく国際社会がパレスチナを巻き込み、犠牲にした政治的問題であることがわかる。昨日まで知らなかった自分が恥ずかしいが、それ以上に今日知ったことが重要。知るのが辛くても、知らなければならない。日本は国連総会でイスラエルの戦争犯罪を裁くという調査を棄権した。そして安倍政権時にイスラエルとの包括的パートナーシップの構築に関する共同声明を結んだ。そういう過ちをもう今後犯さないように、今起きていることとその背景を知って行動しなければならない。

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Posted by ブクログ 2024年02月11日

恐ろしい。だが、ガザについての、イスラエルによるジェノサイドを報せるため、知るために講義を依頼した、開いた大学や著者の岡真理さん、また講義録ーーこの本を緊急出版すると決めた大和書房にならってわたしも発信しようと思う。
情報戦が起こり、その嵐になる中、何を信じればいいかわからなくなって、思考停止をする...続きを読むのは(本著にもある通り)簡単なことだ。
けれどそれは、大量虐殺や、『人間が人間として生きていく(当たり前にごはんを食べ、当たり前に眠り、検閲を受けずに仕事や趣味、あるいは誇りと思うことをする)』を厳禁され、精神的「にも」殺されていくのを、黙ってみていることに、等しい。
わたしたち、わたし、ひとりひとりがすべきことはシンプルだ。あやまちてのち、あやまちをなさないーー歴史に学んで虐殺をやめさせること。
StopgenocideGaza.

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Posted by ブクログ 2024年04月29日

ガザ地区はどうして生まれたのか?そして、今、どういった状況にあるのか。歴史からひもといていく。
講演形式なので、とても解りやすかった。
日本人は、まず知ることから始めなければ。

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Posted by ブクログ 2024年04月28日

昨年からイスラエルが行っているガザ地域への攻撃に端を発して、昨年行われたガザ地域とはどういう経緯で生まれたものなのか?そもそもイスラエル国ができてたから、イスラエルとパレスチナの間で起きている紛争とはどういうものなのか?について行われた緊急講義をまとめたもの。

日本においては、イスラエルが第二次大...続きを読む戦においてホロコーストの犠牲となったユダヤ人のために建国された国である事、断片的にしか報道されない事、イスラエルの巧みなプロパガンダによって、さもイスラエル国が正当性があったり、他の国同士の対立において使われる「憎しみの連鎖」の様に、きっかけはあるものの双方の度重なる報復合戦のために今となってはどちらに非があると言い切れないものという印象を受けがちだが、それとは根本的に異なるという事を示している。
パレスチナという地をイスラエル国とするのは国連によって決められた事であるが、それ以来イスラエルは国際法を無視して不当に国土を拡張するだけでなく、ユダヤ人至上主義を貫いて、パレスチナの人々を迫害し、民族浄化遠目指したジェノサイドを、行っているとしている。
パレスチナ側が国際法に違反して一般人を犠牲にしたケースもあるものの、そもそも不当な占領、人種迫害に対して抵抗する権利は認められており、日本においてはその観点を欠いたまま報道される事が多いために、真実が伝わっていない。


この本自体は講演をまとめているので、非常にわかりやすく説明されていて、読みやすい。一方で自分の無知を思い知らされるので、読んでいて辛い。
しかし、末尾の講演で行われたQAの中で、岡真理氏も自分も最初はここで語っているパレスチナの事を何も知らなかった、しかしこれを知って、それが植民地主義と深く関連していて、色々わかってくる様になった。少しずつ学んで知っていけばいいのだと、答えている。
まさにそんな一歩となる本だった。

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Posted by ブクログ 2024年02月23日

まずは知ることから、そして関心のある人から働きかけていくことが大切。歴史的経緯を初めて知った。「暴力の連鎖」でも「復讐の連鎖」でも無い。政治的課題を人道危機でごまかすやり方に乗っている場合ではなく、根本的な解決を目指すべき。日本は本当に恥ずかしい国だな。。アメリカは途方もなく酷いが。国際法がまともに...続きを読む機能する世界にしたい。

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Posted by ブクログ 2024年02月17日

パレスチナとイスラエルの問題を知りたいと思い、まずは読みやすそうなこの本から手に取りました。
まだ一冊目なので、自分なりの結論は出せませんが、思ったのは「国際法って何のためにあるの??」という事。国際法で決められた事を適用しないのなら、意味ってあるのだろうか…。この本だと「戦争」ではなく完全な「ジェ...続きを読むノサイド」。人間として生まれたのに、あらゆる権利を奪われて本当に悲しい。読んでいるととてもネットで検索出来ないくらい恐ろしい。どうしたら解決できるのだろうか…考えさせられる。あと数冊、このパレスチナとイスラエルの問題の本を読んで多面的に知りたいと思った。

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Posted by ブクログ 2024年02月07日

著者は早大教授。昨年10月の早大、京大での講義を加筆修正し緊急出版となった。本書(講義)で最低限押さえておくこととして、
・なぜパレスチナ人が難民となったのか 
・イスラエルはどのように建国され、イスラエルとはどのような国なのか 
・ガザの人々が、とりわけこの十六年以上置かれてきた封鎖というものが、...続きを読むどういう暴力であるのか(P101)の3点を挙げている。自分自身の誤った知識が修正され整理できた。良書だと思う。

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Posted by ブクログ 2024年02月06日

パレスチナの問題についてその要因をイスラエルの建国に焦点を当てて説く。
パレスチナ問題に関心の薄い日本人に一つの見方を提起する内容。この問題を理解するという点で一読の価値がある。

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Posted by ブクログ 2024年02月04日

「これ読んでちょっと勉強してみよう」くらいの軽い気持ちで読み始めたけど、それすらも間違っていたと気づかされるレベルで何も解っていなかった。現在進行形の問題だからこそ、早く気づけて良かった。この問題は他のあらゆる民族問題にも繋がっている。「まず、ここから」何が出来るか。

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Posted by ブクログ 2024年01月22日

帯には「パレスチナ問題は決して難しくない」と書いてあって、この間、「イスラエル 人類史上もっとも厄介な問題」という本を読んだばかりなので、どうなんだろうと思う。

で、読み始める。確かに「問題の解決」はさておき、「問題」を理解することは、決して難しくないと思った。

これはどこからストーリーを話し始...続きを読むめるかということでもあって、例えば紀元前、旧約聖書的な世界から、ユダヤ人の歴史を追っていけば、かなり複雑と言える、がこの本では、せいぜい19世紀末フランスのドレフュス事件くらいから話していて、それを起点に話すということがやはりこの問題を議論するのに適切なスタート地点だと思う。

たしかに、旧約聖書的な世界は、関係しているのだが、それは、この2世紀くらいにユダヤ人問題を話す時点でのストーリーとしての重要性、ディスコースとしての重要性なのだと思った。

イスラエルという国は、要するにヨーロッパで解決すべきユダヤ人問題をストーリーとしての「約束の地」に結びつけて、パレスチナ人の犠牲のもとに中東地域に押し付けたものなのだ。

そして、その矛盾は、イスラエルという国の内部を侵食していき、今やイスラエル自体が全体主義国家になっているということなのだと思った。

ということが直接的に書いてあるわけではないが、著者の体験を踏まえた話しを聞く中で、そういう理解が私の中で進んでいった感じ。

帯にあるように、「まずここから」始めるのに良い本だと思う。

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Posted by ブクログ 2024年04月21日

ガザとは何か
パレスチナを知るための緊急講義

著者:岡真理(早稲田大学文学部学術院教授、京都大学名誉教授)
発行:2023年12月31日
大和書房
初出:下記講演をもとに編集、再構築
「緊急学習会 ガザとは何か」(2023年10月20日、京都大学)
「ガザを知る緊急セミナー 人間の恥としての」(2...続きを読む023年10月23日、早稲田大学)

パレスチナとイスラエル間で起きていることが、マスメディア(とくにテレビ)では、よく「暴力の連鎖」と表現される。僕は以前からこれに違和感を持っていた。イスラエルが行ってきた一方的な国際法違反や殺人行為に対するパレスチナ人の抵抗なのに、なんで「やり返し」「やりあい」という発想になるのか?今朝(2024.4.21)もサンデーモーニングで「報復の連鎖」と表現していた。

「暴力の連鎖」でも「憎しみの連鎖」でもなく、これらの言葉を使うかどうかが、信頼できるメディアか、信頼できる人物かどうか、その試金石になると著者は言っている。

パレスチナ問題には、とても複雑な歴史があると思いがちだが、実はそうでもない。著者は、本書第一部、すなわち京都大学での講演でとてもシンプルかつ明確に解説してくれている。非常に勉強になる。できるだけ多くの人に読んで欲しい。

一言でいうなら、パレスチナ問題はヨーロッパ・キリスト教社会において行われてきたユダヤ人差別と、ホロコーストという大犯罪のツケを、何の責任もないパレスチナに押しつけ、払わせているという構造である。つまり、今日のパレスチナ問題は、ヨーロッパにおける反ユダヤ人主義にあるというわけである。とりわけホロコーストの解放により東欧に出現した25万人のユダヤ人難民をどうするか?それを、ホロコーストとなにも関係のないパレスチナ人が住む土地を一方的に分割し、多くを取り上げて、そこにイスラエルを建国させて解決しようとしたことが原因である。

その結果、今度は大量のパレスチナ難民が出てしまった。これは、イスラエルが建国にともなって行ってきた民族浄化により、暴力で故郷を追われたためである。

その後、ガザで行われているイスラエルによる「完全封鎖」がこれまたえげつない。オスロ宣言に正々堂々違反し、つまり国際法を犯す、犯罪行為である。産業基盤はぶち壊され、主力の漁業は海上封鎖で出来なくなり、電気もとまり、食料もない。そのままではみんな死んでしまう。やむなく国連や国際支援機関による配給でしのいでいる。配給されるのは小麦粉、油、砂糖。それを大量に摂取して、辛うじて生命維持しているが、糖尿病が風土病になってしまう。イスラエルはそれを「ガザの人間はみんな太っている、飢餓など嘘だ」と言う。

著者は言う、次の3点を知ってほしいと。上記はそのあらましでもある。
①パレスチナ人が難民となった理由
②イスラエル建国&イスラエルとはどんな国か
③ガザの人々がこの16年間以上置かれてきた封鎖とはどういう状況か


【第1部】@京都大学

ガザの住民の7割が1948年のイスラエル建国に伴う民族浄化により暴力的に故郷を追われた難民とその子孫。

ガザの人口は現在230万人。65%が24歳以下、40%が14歳以下。ガザの平均年齢は18歳(日本は48歳)。230万人のうち7割が上記民族浄化で難民となった人とその子孫。

1945:ナチスがアウシュヴィッツ解放。生きのびたユダヤ人が故郷に帰ると家を奪われていたり、集団虐殺されたり、アメリカでは移民を受け入れなかったり。東欧で25万人のユダヤ人が難民に
1947:下記の総会前、アドホック委員会が分割案は国際法違反の可能性を指摘。ホロコーストに何ら関係のないパレスチナ人に代償を支払わせるのは不正だと結論。しかし・・・
1947.11.29:国連総会決議「パレスチナを分割してヨーロッパのユダヤ人の国を創る」
→ヨーロッパ・キリスト教における歴史的なユダヤ人差別とホロコーストの責任を負っているはずの西洋諸国は、パレスチナ人を犠牲にすることで贖(あがな)ったことになる
シオニズム(下記)などにより既に入っている60万人のユダヤ人が購入していた土地はわずか6%だったが、分割案でパレスチナの土地のほとんどを取り上げてしまう。

<シオニズムとは>
1894:ドレフュス事件。ユダヤ系のドレフュス大尉(フランスの軍人)が冤罪で国家機密漏洩罪により終身刑。
1896:オーストリア=ハンガリー帝国出身ジャーナリストのテオドール・ヘルツルが「ユダヤ人国家」を書いたのを契機に政治的シオニズム運動誕生
1897:バーゼル(瑞)で第1回世界シオニスト会議。パレスチナにユダヤ国家建設が決議され、ヨーロッパ・ユダヤ人の入植始まる。
ただし、シオニズム運動はユダヤ人の間で人気がなかった。神がメシアを遣わしてパレスチナに帰してくれるというユダヤ教の教えに即していない。正統派ユダヤ教徒はシオニストを「もはやユダヤ人ではない」と見做した。

西欧社会が近代市民社会になっても、ユダヤ人差別や反ユダヤ主義というヨーロッパ・キリスト教社会の歴史的な宿痾を克服できなかった。ヨーロッパのユダヤ人が、アラブ人やムスリム、アジア人などに対するレイシズムを持ち、西洋白人の植民地主義の精神を持ったのがシオニストだった。

50年後もまだパレスチナ入植のヨーロッパ・ユダヤ人は60万人程度で、多くはシオニストだからではなく、1930年以降にナチス台頭で逃げて来た人たち。アラブ人120万人、ユダヤ人60万人。ユダヤ人が購入した土地は6%。
<以上がシオニズムについて>

1947.11末~1948.5(イスラエル建国)~1949年明け:パレスチナ人に対する民族浄化「ナクバ」の嵐。75万人以上のパレスチナ人が難民に。
1948:ナクバによる難民のうち19満員がガザに(元々8万人いた)
1957:民族解放運動組織「ファタハ」誕生(アラファト議長)
1967:第三次中東戦争。ガザはヨルダン川西岸とともに占領される。PFLP(パレスチナ解放人民戦線)やDFLP(パレスチナ解放民主戦線)が誕生
1987:第一次インティファーダ。子供たちもイスラエル兵に石を投げる「石の革命」→民族解放組織「イスラーム抵抗運動=ハマース」誕生
1993:オスロ合意。イスラエルとPLO(パレスチナ解放機構)が相互承認
1994:パレスチナ自治政府発足
2000:第二次インティファーダ。オスロ合意の逆のこと、入植者撤退どころか入植者を7年で1.5倍に増やす
2005:ガザからイスラエルの全入植地が撤退、イスラエル軍撤退。しかし、彼らはヨルダン川西岸に入植。ガザはイスラエル軍がいなくなったため、封鎖して無差別爆撃が可能に
2006:パレスチナ立法評議会選挙。EUの監視団なども来て、近来稀に見る民主的な選挙だと評価される。ハマースが勝利。それなのにイスラエルとアメリカはハマース政府を承認しない。
2007:完全封鎖が始まる
2014:51日間戦争
2023.10.7:ハマースによる奇襲攻撃

封鎖とは構造的暴力、直接的暴力と同じぐらい致命的な暴力。「世界最大の野外監獄」と言われる

ガザは漁業が基幹産業。沖合のガザ領海内で天然ガス田があり、イスラエルはそれを取りたいので6海里に哨戒艇を出動させて漁師を銃撃にしたり、裸にして海に投げ入れたり。漁船の没収や刑務所送りも。オスロ合意では20海里がガザの領域なのに。

ガザではおいしいイチゴなど農産物が取れるが、封鎖により出荷できない。

汚染処理施設が稼動せず、230万人の生活排水が身性かのまま地中海へ。海も渓谷流域の地下水も汚染。
→97%が飲料に不適、だが生きるために汚染水を飲むしかない

産業基盤が破壊されて失業率46%、食料がない、電気もない、医薬品もない。

イスラエル軍は、パレスチナの若者の足を狙って「バタフライ・ブレット」を撃ち込んでくる。着弾した衝撃で銃弾の先が羽根のように開いて、周りにある血管や神経をズタズタにする。普通の弾なら貫通するが。バタフライ・ブレッドだと脚を切断するしかない。しかし、医薬品がないので麻酔なしで切断するしかない。殺すのではなく若者を歩けなくするのが狙い。

【第2部】@早稲田大学

ガザは「天井のない世界最大の野外監獄」というより、いまや「絶滅収容所」

BDS運動
イスラエルに対する、Boycott、Divestment(投資引き上げ)、Sanctions(経済制裁)。

ジョルジョ・アガンベン(イタリアの哲学者)著『ホモ・サケル 主権権力とむき出しの生』より
「ホモ・サケル」とは直訳で「聖なる人間」。古代ローマ法が定める特殊な罪人のことで、罪に問われることなく殺すことができ、その人が死んだからと言ってその死が聖なるものとはみなされない、そんな存在。アガンベンはホモ・サケルを「むき出しの生」と表現、人間は本来、政治的な存在・主体であるが、ホモ・サケルはそうではなく「ただ生きている」生き物、そういう存在に還元されてしまった「剥き出しの生」なのだと。例としては、絶滅収容所に入れられたユダヤ人。彼らを殺したからといって、殺人罪が罪に問われるわけではなかった。ガザのヨルダン川西岸のパレスチナ人、日本の入管にいる外国人被収容者もホモ・サケルと言える。

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Posted by ブクログ 2024年03月18日

 2023年10月7日から続く大規模な戦闘も、まもなく半年になろとしている。
カタールでの休戦交渉の行方が気になる今日この頃。

 日頃のニュース以外に、なにか一冊読んでおかないとと思っていたが、本書が適当かなと、遅ればせながら(すでに3刷まで出てる)読んでみた。
 ガザへの攻撃が始まってすぐ、20...続きを読む23年10月20日と23日に、京都大学と早稲田大学で行われた講演が元になっていて、緊急性があり、ポイントが手短にまとめられている点が良い。帯にある、“「まずここから」の一冊”として最適と判断。
 そして、大事なのは、パレスチナ側からの視点で語られている点。 世の報道の大半は、イスラエル側、アメリカ寄りの大政翼賛なものだからね。
 本書を読むと、歴史的な問題としてのパレスチナ問題の整理と、現在進行形のガザ問題、というより世界の構造が整理出来て良い。

 そして、報道の欺瞞、要注意ポイントが透けて見えてくる気もする。
 ハマスに冠される修辞も、「ガザを実効支配するハマス」、「武装組織ハマス」と言った、もはや見慣れた記述も、そこに静かな意識操作を感じることができるだろう。

 本書を読んだ、では、今後、我々はどこに注意し、そして何ができるかを考えないといけない。そのヒントも、大いに含まれている。

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Posted by ブクログ 2024年03月10日

パレスチナ側に立った視点によるガザ問題について語られたもの。パレスチナ視点を知りたい人にとって有用。ただしパレスチナ擁護の結論ありき。
あくまで歴史家ではなく文学者でそういう思想家が考え方を強く主張している内容に見られた。
また2章に分かれているが、内容はほぼ重複しているので内容は実質ページ数の半分...続きを読む

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