【感想・ネタバレ】東南アジア外交―ポスト冷戦期の軌跡のレビュー

あらすじ

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1990年代からの外交の歴史から、地域情勢や国家間の関係を現場でウォッチし、その軌跡を様々な切り口からとらえる。これからの東南アジアと世界の安定・平和と発展をめざし、「独立自尊」のパートナーとして、「自由で開かれたインド太平洋」への道を模索。

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Posted by ブクログ

現役外交官でフィリピン公使も務めた加納氏の著書。1977年のASEAN成立10周年に合わせて方針を示した福田ドクトリンに始まる日本のASEAN外交を外観する。特に、開発・経済面で米中よりも長い協力の伝統があることがわかる。今でこそ、資金面では中国の後塵を拝するが、積み上げた信頼感は日本外交の貴重な成果だと思う。

2010年代からは、やや翳りを見せた経済協力と合わせて安全保障協力も加え、防衛省・海上保安庁が地域諸国の能力向上を図るプレイヤーとして貢献する。また、南シナ海問題では、筆者も含めた外務省がフィリピンなどとも協力して声を上げて、安定化に向けた努力を払っている。

最後の章で筆者は、ASEANと二国間の使い分け、南シナ海問題への対応など、今後に向けた論点を整理し、これまでの議論が読者に定着するよう試みている。

なお、筆者も認めているように、筆者の経験した分野(フィリピン、開発協力、安保)に記述が集中しているため、例えば、同じ重要国でもベトナムやインドネシアの記述はそれほど多くない。その意味で包括的な教科書では無いが、日本のASEAN外交の軌跡と課題がよく理解できる。

米中対立や中国の力による現状変更が続く中で、日本外交がどのような役割を果たすかを知るための良書。

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2021年10月02日

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