【感想・ネタバレ】誰かがジョーカーをひくのレビュー

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ 2024年01月13日

好きな著者だったので。

ハラハラドキドキ、ではない。
ハラハラハラハラ、ホ~だ。

何せ、普通の専業主婦がスマホも持たずに家を飛び出し、
車を人にぶつけてしまうところから、話が始まる。
ぶつけた相手が車に乗り込んできて、
引きずりまわされ、挙句の果て大金を猫ババすることに。

さらに、誘拐事件に食...続きを読む品会社のお家騒動にも巻き込まれて、
誘拐犯人として指名手配されてしまう。
このままポニー&クライドのように(女性二人だけど)なってしまうのかと思っていたら、
暴力団をも凌駕する犯罪集団「鬼炎」の正体を暴き、
自分の人生を掴むことになるとは。
家族にないがしろにされ、自信を失っていた専業主婦
最後に「鬼炎」のリーダーの正体を暴く場面は圧巻だった。

もう一人の主人公ともいえる「くたびれてケバいキャバ嬢」の、
破天荒なまでの前向きさも良かった。
カバーのイラストも、かなり良かったかな。

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Posted by ブクログ 2024年04月25日

最後スッキリした気持ちになれた作品です。
途中気持ちが重たくなるような内容がありましたが、主人公の冴えない主婦が少しずつ変わっていくさま 一見わがままに見えたキャバ嬢と社長令嬢のやさしさが素敵で自然と応援したくなりました。
ハッピーエンドで終わった事がなにより!!

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Posted by ブクログ 2024年04月22日

 ふとした弾みで事件に巻き込まれ逃避行を余儀なくされた、地味で平凡な主婦の自立と覚醒を描いたヒューマンサスペンス。
          ◇
 川田沙代子は1人、おんぼろのラパンを闇雲に走らせている。以前から続いていた夫の暴言に耐えきれなくなり、思わず家を飛び出してきたため行く宛はない。
 気...続きを読むづけば見知らぬ場所に来ていた。どうやら歓楽街らしい。沙代子は街の片隅にある小さな公園沿いに車を寄せて停止した。

 ため息をつきふと助手席に置いたバッグに目をやる。発作的な家出ということもあり、持って出たのはこの普段使いのショルダーバッグのみ。バッグの中にあるのは大して入っていない財布と運転免許証、ハンカチにティッシュぐらいで、スマホはテーブルに置いたまま忘れてきてしまった。

 自分の迂闊さに舌打ちしながら、ともかくこの猥雑な嫌らしい街を抜けようと車をゆっくり発進させたときだった。
 いきなり車の前に飛び出す人影。急いでブレーキをかけたものの、軽い衝撃が伝わってきた。

 慌てて飛び出した沙代子が見たのは、路上で尻餅をついたまま自分を睨みつける若くてケバい女だった。 ( 第1話 ) 全11話とプロローグおよびエピローグからなる。

     * * * * *

 生育環境の大切さがベースになっているサスペンスです。

 主人公の沙代子の弱みと強み。それはどちらも彼女の生育環境からもたらされたものでした。

 弱み。それは自己主張が苦手で、たとえ嫌な目にあっても我慢してしまう消極的な性格です。

 もともと病弱で気分の浮き沈みが激しく精神的に不安定な母親と、小さな印刷工場の遣り繰りに苦労しどおしで妻子を気遣う余裕がない父親のもとで育った沙代子。
 親に対して甘えたりわがままを言ったりしてみたいという子どもらしい欲求を封印し、感情を押し殺して成長したことで、人に抗議や苦情を申し立てることはおろか拒否すらできない性格になりました。
 結果、後妻に入った婚家でも暗いとか愚鈍だとか言われて侮られ、女中のような扱いを受けているのです。

 でも強みもあります。それは食に対する広い知識と柔軟で適切な調理能力です。

 母親の精神状態が著しく悪化した時期、10 歳の沙代子は四国にある父親の実家に預けられます。
 祖母と伯父夫婦、伯父の子どもたちから厄介者として扱われ肩身の狭い思いをする沙代子ですが、自分を虐げない山国の自然は魅力的でした。小学校にいく必要のない沙代子は、いつも1人で山野を散策するようになりました。

 ある日、散策中に怪我をした沙代子は1人の中年女性に助けられます。白井雪代と名乗ったその女性は、山中の小屋で父親の昭二と暮らす「山の民」の末裔でした。
 沙代子はこの父娘に懐き、毎日のように小屋を訪れては、彼らの作業を興味深そうに手伝うようになります。白井父娘も目を輝かせて自分たちを手伝う沙代子を可愛がり、これまで身につけた自然の恵みを最大限に活かす術を教え込んでいくのでした。
 沙代子はこうして、野草や木の実、鳥獣魚などの食材の調理法を学び、薬草についての知識も余す所なく習得したのです。

 その後、東京に帰ってからはもとの忍従生活に戻り、さらに父親の勧めで大手食品会社の総務部長の後妻になりますが、やはり耐え忍ぶだけのつらい日々を過ごしてきました。

 そんな沙代子に転機が訪れます。それは思いがけず巻き込まれた身代金誘拐事件でした。
 成り行きに翻弄されつつ変わっていく沙代子の姿。これが作品の見どころです。

 沙代子に根本的な影響を与えたのはアラサーキャバ嬢の紫苑でした。
 目先の欲とその時の気分1つで奔放に生きている(ように見える)紫苑に、沙代子は呆れつつも羨ましさを感じてしまいます。

 また、なぜか行動をともにすることになる、誘拐されたはずの陽向という女子高生も沙代子に影響を与えた1人です。
 社長令嬢で育ちがいいはずなのに、紫苑と丁丁発止のやり取りをする気の強さとしたたかさ。そんな陽向に沙代子は驚くとともに頼もしさも感じずにはいられません。

 しかも紫苑と陽向は、いがみ合ったかと思うと相談して協力し合ったりと、自分たちの先にある希望に向かう舵取りを決して怠らず、捨て鉢になったりしません。
 たとえジョーカーを引いてしまっても、それを別の誰かに引かせようとする2人。自分が我慢すればよいとばかりにジョーカーを持ち続ける沙代子とは大違いです。
 この2人のしぶとさを見ているうちに、沙代子の心に少しずつ勇気が生まれてくるのですが……。

 一見ハチャメチャに見えるストーリーなのですが、沙代子が自己を解放していき、自らの強みを活かして生きる決心を固めていくまでの過程がきちんと描かれているので、読み応えがありました。
 しかも暗くじめじめした展開ではなく、沙代子が謎解きをするミステリー要素も盛り込んであるので、とても楽しめる作品になっています。誰にジョーカーを引かせるのかも興味深いですよ。

 宇佐美さんの作品を読むのはこれが2作目ですが、読みやすくハッピーエンドの作風は好もしくてよかったです。

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Posted by ブクログ 2024年02月01日

 作者を見て今度はどんなホラー?と思いながら手にしたものの、表紙があまりにポップなので、どんなお話だろうと興味が湧く。主婦である沙代子が、ひょんなことからキャバ嬢の紫苑と接触事故を起こすことから、話はジェットコースターのように進行していった。油断していると、ドキッとさせられるに違いないと警戒しながら...続きを読む読んだが、そんなことはなく、ドタバタしながらも平和に幕を閉じた。
 ちょっと平和すぎ?と感じた分、➖1ポイント。料理や薬草のエピソードが意外だった。

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Posted by ブクログ 2024年01月24日

気弱で家庭で虐げられている専業主婦の沙代子は、衝動的に家を飛び出す。そこで出会ったキャバクラ嬢の紫苑に指示されるまま行動を起こしたところ、それはとある誘拐事件の身代金を奪い取るというとんでもない行為だった。下手すれば暴力団や、それよりも恐ろしい犯罪集団「鬼炎」を敵に回すという事態に巻き込まれ、沙代子...続きを読むは徐々に自分にできることを考え始める。ハラハラドキドキ、そしてすっきりすること請け合いのサスペンスです。
容姿が冴えず鈍重で、気が弱く思ったことも言えない沙代子の取り柄は料理の腕だけ。とはいえ、ただの料理上手でもないんですよね。幼少期に身に着けた圧倒的な知識を武器に難局を乗り越えていくさまがとにかく痛快。紫苑や陽向など、自己主張の激しいアクの強いメンバーの中で、とにかく自分が戦うために何ができるのかを考え、そしてそのことで自分自身に勇気を与える彼女の姿に励まされます。
身代金を巡る攻防戦の行方にもドキドキ。タイトル通り、最後にジョーカーをひいてしまうのは誰なのか。全く目の離せない展開です。沙代子が大丈夫なのは間違いないだろうとは最初から思いますが、それでも彼女がこの後どのような道を選ぶのか。それも気になってぐいぐいと一気読みでした。

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Posted by ブクログ 2024年01月21日

愛のない結婚生活を送る沙代子が巻き込まれた誘拐事件。知らず知らずのうちに身代金の受取役にされてしまった沙代子は、誘われるままその金を持ち逃げすることになる。そこから始まる様々な思惑が絡み合った狂想曲!
いくらなんでもそんなわけないだろうという白けた気分を見透かして、宇佐美さんはそのさらに斜め上をいく...続きを読む。あれもこれも予想外の部分に放置されていたパーツがピタッと嵌る爽快感はさすがの一言だ。見た目も冴えない中年の主婦と、イケイケキャバ嬢のコンビもいい。
読み始めたら止まらない痛快作。おもしろかった。

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Posted by ブクログ 2023年12月22日

宇佐美作品としては傑作とまではいかないが、読み易くスピード感もあり、爽快感ある終わり方も良い。やはり伏線の回収の上手さは流石。

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Posted by ブクログ 2023年12月15日

今までの宇佐美まことさんの雰囲気とは、ガラッと雰囲気違うなぁ…なんてジャケットからして思ったわけで、ちょっと興味も湧き読み始めた途端…。

ノンストップでの逃走劇をノンストップで読んでしまった!(ノンストップが二回)

川田沙代子は、夫の暴言に耐えきれずに家を飛び出しピンク色のラパンに飛び乗り、あて...続きを読むもなく走っている最中にいきなり飛び出してきたキャバクラ嬢の紫苑を轢きそうになる。(飛び出すが三回)

鈍くてとろいおばさんと呼ばれながら紫苑の言いなりに動いているうちに誘拐犯になっていて…。

地味で平凡な主婦だけど、逃げてるあいだも薬草やストック食材だけでも充分に美味しい料理を作る沙代子。
行動力のある紫苑には振り回されているが、逃げることもできず、状況も把握できないまま、そのうちホストや誘拐されていた女子高生など正体が明らかになると…。

企業のお家騒動か?と思われた誘拐事件に関わっていたのは闇の犯罪集団であり、暴力団まで。
沙代子の夫まで、関係してくると何なの⁈状態で。


まさかの展開に度肝を抜かれる。
はちゃめちゃっぽいのだが、野草、薬草に関しての口にする食べ物や毒となるもの、薬にもなるものなど知識があると最強だなと思わせてくれる場面もあり、面白く楽しめた。


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Posted by ブクログ 2024年04月03日

家庭に悩みを抱える主婦沙代子がキャバクラ嬢紫苑と接触事故を起こし誘拐事件や連続する反グレ集団の悪質な事件に巻き込まれていく。

ノンストップアクション、だそうで確かにそんな疾走感のある一冊でした。一気に読み進めてしまいました。
帯やあらすじに書かれている「平凡な」主婦というのが実は割と平凡でもなんで...続きを読むもなかったわけですが・・・それまではただただ流されてるだけの沙代子が急に覚醒しだすあたりがなかなかに胸のすく思いで、そのあたりがよかったですね。現在でも幼少期でも家庭内で虐げられる描写とか読んでいて鬱になりそうで。。
読み終わって思い返してみると、それはちょっと無理があるんじゃない?という展開だったり明らかに先の読めるものだったりもありましたが、その辺は勢いでうまいことなってるなーと変に感心w

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Posted by ブクログ 2024年02月17日

冴えない小太りの中年女性が誘拐事件、犯罪集団に巻き込まれていく中で、美味しい食事を作ったり、小さい頃に山中で培った薬草やカビの知識が役に立つことで自信をつけていくお話。目まぐるしく変わる展開だった。薬草や発酵を利用した古くから伝わる日本の食文化には大いに興味をそそられた。銀山での過酷な労働についても...続きを読む述べられ、作品の中に知って良かったなと思うことがいくつかあった。

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Posted by ブクログ 2024年02月05日

なぜこの表紙?って感じがしてしまいます。
宇佐美さんの本だから読んだけれど、知らずに手に取ったら、読まずに戻してしまいそう。好きじゃないなぁ。

内容もあんまり好きじゃなった。ヤクザとか犯罪組織とか出てくる話があんまり好きではないみたい。

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Posted by ブクログ 2024年01月18日

爽快なエンタメ作品でした!
家庭に居場所がなく、我慢して毎日を送ってきた主婦の沙代子。もう我慢できない!と家を飛び出し、あてもなく車を走らせていたら、突然飛び出してきたキャバ嬢の紫苑に接触してしまい、そこからは紫苑のペースに巻き込まれてゆく…
誘拐、身代金、逃亡…と続いていくのですが、先日読んだ「存...続きを読む在のすべてを」とは全く違うテイスト。
そこに、ホストや金髪の女子高生も絡んできて四人は奇妙な共同生活を送るようになる。
ドン臭くて冴えない沙代子は料理をさせたら天下一品。材料がなくてもその辺に生えている野草を摘んできてチャチャッと拵えてしまう。この野草に対する知識がこの物語のキーとなってゆく…
図太く、( 必要以上に)前向きに生きている人たちにご飯を作っていくうちにだんだん変わってくる沙代子。
楽しく爽快なドラマを見ているようなそんな読書時間でした。

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Posted by ブクログ 2024年01月15日

半グレ集団・鬼炎のボスは一体誰なのか…冴えない地味な中年主婦・川田沙代子が、終盤本領を発揮し、冷酷なまでに鬼炎のボスを問い詰める毅然とした振舞が痛快だった。謎の解明が解説仕立てだったのが残念。

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Posted by ブクログ 2023年12月16日

SL 2023.12.14-2023.12.16
誘拐騒動に巻き込まれた平凡な主婦沙代子。キャバ嬢の紫苑にぶっ飛び高校生の陽向。
前半はどんどん収拾がつかなくなっていって、中盤あたりからいろんなことが繋がると一気に面白くなる。魅力的な女たちと痛快なラスト。
後日譚の説明調はちょっと残念。

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