【感想・ネタバレ】バレエ入門のレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

・モードリス・エクスタインズという人が『春の祭典』という本を書いています。バレエの本というよりは、第一次大戦前後のヨーロッパ社会の姿を浮き彫りにした本ですが、そこに『春の祭典』初日の状況が描かれています。というより、どうしても描けないということが描かれているのです。その場に居合わせた人々の証言がてんでんばらばらで、検証しはじめると、どの証言が正しいのかわからなくなってしまうというのです。ただ、ものすごい事件であったことだけは分かる。これはどういうことかといえば、歴史的な事件というのはほんとうは人間の心のなかでしか起こらないということなのです。そして、人間の心のなかで起こる以上は、その意味は決して一様ではないということなのです。
世界の歴史も日本の歴史も何度も書き直されてきました。今後も書き直されつづけるでしょう。歴史は客観的なものではありません。それは過去と現在の関係、現在を生きる人々との関係なのです。現在が変われば歴史も変わるのです。


・意味が変わりつづけるなら、バレエはとて不確かな芸術であるということになりそうです。歴史も不確かな学問ということになる。でも、そうではありません。逆です。不確かなものを確かなものにしようとして、人はバレエをさらに熱心に見ようとします。感動を確かめようとして再び劇場に足を運ぶ。そのとき人は、よりいっそう深く感じる心を養っているのです。


・生きることの歓びと哀しみをどれだけ深く感じることができるか、それは感動する心の豊かさにかかっています。ほんとうは歴史もそういうものなのです。歴史の本質は文学であり芸術です。人類という持続する生命に感動する心なのです。ほんとうの歴史家ならばそう考えていると思います。歴史はそこで神話や伝説に接しています。

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2013年04月02日

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