あらすじ
曲がった手足は意志とは無関係に緊張し、呼吸も思うにまかせない。はっきりした意識もないかに見える――こうした重い障害をもって生きる人がいる。彼らに世界はどう見えているのだろう。生きがいや喜びは何なのだろう。長年重症心身障害児施設に勤務する医師が、彼らの日常を細やかに捉え、人が生きるということ、その生を保障する社会について語る。
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Posted by ブクログ
私も小児科医として、マイノリティの中のマイノリティが、いろいろな事情で(医学的ハイケアの必要性、家族の問題、高齢化など)自宅で過ごすことが出来ない人たちと、その子達のために奮闘する療育センターのスタッフをを知っているので、この領域の医師が、「岩波新書」に書を著したことに敬意を表する。(多いのは、マイナー出版社からの自費出版が多いので)
重心と呼ばれる子達にも宿る感情や感覚を医師として鋭く観察し、さらに全国の療育施設の成り立ちの歴史をわかりやすく説明している。
障害のある子を守るとする、わりとありきたりのお涙頂戴的文体とは一線を画した良著である。