【感想・ネタバレ】最後の停戦論 ウクライナとロシアを躍らせた黒幕の正体のレビュー

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Posted by ブクログ

ロシア外交に関わる背任等を理由に共に国策逮捕された過去をもつ著者二人。鈴木宗男は佐藤優を生涯の戦友と言う。この二人が今のウクライナとロシアの状況を語るのだから、読まない手はない。ロシアを勧善懲悪、善悪二元論の悪者にする単純な見方は良くない。何故、日本人はウクライナを応援する側なのか、と。

ー スラブ人によってスラブ人を抑え込む。ロシアとウクライナでやっていることを、台湾人と日本人が中国と戦うことによって、アジア人同士を殺させ合う。アメリカならやりかねない。

この言葉に凝縮されている。そして改めてこれを読むと焦りもする。誰しも、ウクライナを利用した代理戦争だと知っている。対岸の火事のように、他人事として眺めてもいられない。

ミンスク合意を先に破ったのはウクライナだ。それによりロシアの武力行使が始まった。この事が冷静に理解されねばならない。クリミアにはウクライナに戻りたいと思っている人は極めて少数。今回ロシアによって併合されたドネツクやルガンスクなどの4州も住民がどう思うかで決めれば良いと言う。簡単な事ではないが、最終的にそうした決め方しか、戦争を終えられないような気もする。

また、ウクライナは決して日本に近い国ではないし、輸出額や輸入額もロシアとは比べ物にならない。極端に言えば付き合わなくても生きていけるのはどちらか、日本の国益を冷静に見ておくことも必要だと言う。岸田政権のウクライナに嫌がらせをしているかのような「稚拙で意味不明な外交」は、結果的に妙手だと揶揄する。笑ってしまう。

岸田総理がゼレンスキーに送った「必勝」と書かれたしゃもじ。夏場に支援品として贈られた期限ギリギリのカイロ。少額の支援金。

財務省理財局が大株主のJTの利益の4分の1はロシア事業であり、広島ガスは調達全量の50%をサハリン2のガスを使用している。ロシアに対して、欧米に言われるがまま、制裁を加えるのは脳がない。しかし一方で欧米連合に参加しないと、対中国ではロシアを頼り切れない。日本の立ち位置は微妙である。

ー 安倍総理は、2014年のクリミア紛争の時、当時のオバマ大統領からアメリカと同調することを要請されたが、日本にはロシアとの間で平和条約交渉や北方領土問題もあるため、アメリカと同じ立ち位置では行けないと言うことで断った。1年後に伊勢志摩サミットを控えていた時期オバマ大統領の来日がこれによって行われないと予想したが、オバマは伊勢志摩サミットに来た。さらに、現職のアメリカ大統領として、初めて広島を訪れ、原爆死没者慰霊碑にも献花した。安倍総理の強い姿勢が勝った。

鈴木宗男は、ロシア擁護派だと世論で叩かれていたが、先ずはこの本を読むべきだと思う。

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2024年05月18日

Posted by ブクログ

ほぼほぼ知ってる内容なので、特に感慨はないが、ウクライナ戦争の報道に違和感あったり、外交って一体何やってるのか不思議に思っている諸氏はまず読んでみていただきたい入門書。ウクライナ戦争の本質や外交の実際の一端に触れることができる。また、未だに小泉純一郎や田中真紀子が正しくて、鈴木宗男や佐藤優を悪の権化と思っている方にも読んでみてほしい。川口順子元外相がどれだけとんちんかんだったかもよくわかる。カトリックの大統領がケネディとバイデンだけという件も、妙に納得感ある。

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2023年09月08日

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