あらすじ
五年ぶりに会った長男は「大丈夫だよ」と笑ってくれた。
覚醒剤取締法違反による衝撃の逮捕。
執行猶予満了を前に、清原は想像を絶する苦痛の中でもがき続けてきた。
自殺願望、うつ病との戦い、信頼できる主治医との出会い、
そして、家族との再会。
真っ暗な闇の中でもがき続けるかつてのスターは、
夏の甲子園に決勝戦を観戦に行きたいという願いを抱くが……。
「10年も薬物をやめていた人が再犯で逮捕されたと聞くと怖くなる」
「最後の1回だけ、と考えている自分がいる」
「この4年間、マンションのバルコニーから下を見て、
死にたいと思ったことは、一度や二度ではありません」
「元妻の亜希は、息子たちにぼくの悪口を言わなかった」
「負けたと認めること、怖いと認めること。
それはぼくにとってすごく重要なことでした」
大宅壮一ノンフィクション賞受賞『嫌われた監督』の鈴木忠平による渾身の取材。
文庫化にあたり、解説に、清原氏の薬物依存症治療の主治医である
松本俊彦医師による「人はなぜ薬物依存症になるのか?」を掲載。
※この電子書籍は2020年6月に文藝春秋より刊行された単行本『薬物依存症』を改題した文庫版を底本としています。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
そういえばこの人最近またちょっとずつ見るようになってきたな。
そう思ってこの本を手に取った。
野球をあまり見ない僕が彼に抱いていたイメージは厳つくて、怖い人だった。それは本人もそういう自分の生き方を選んだとこの本の中で述べていた。
けれど、この本で描かれている彼は孤独で、弱い。そして随所に感謝がある。
薬物依存になり、逮捕され、たくさんのモノを失ったからこそ見えてきた本当に大切なモノ。
負けや弱さを認めることの大切さ。
そんなことを学んだ。
彼がやったことは許される事ではない。
けれど、この事件が彼を、彼の生き方を変えた。
メディアに映し出されない彼の本音が見れた。
Posted by ブクログ
生々しくてリアリティがある。
薬物依存になるとどういう状態になってしまうのか。少しでも興味がある方は読んでみてほしい。良著。
執行猶予が明ける事への恐怖の描写や、警察署での尿検査の所が個人的に印象に残りました。
最後の専門家の先生の解題も良かった。捜査機関の私刑はマジでやめてほしい。
清原さん、応援しています!
Posted by ブクログ
私はスポーツ全般興味が無い、オリンピックをやっていてもたまたま見たニュースで結果を知るだけ。そんな私にとって著者は顔と名前が一致し甲子園時代からプロ野球での活躍を思い浮かべることができる、「スタースポーツ選手」だった。薬物での逮捕を知った時は大きな衝撃を受けました。薬物依存やうつ病の苦しみ、家族との再会や人から支えられ、未来への希望。「どうか薬物に負けない一日一日を重ねてください、清原さんの心からの笑顔がまた見たいです。今でもあなたは私にとってスターです」と伝えたい。