【感想・ネタバレ】未完の天才 南方熊楠のレビュー

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Posted by ブクログ 2024年03月15日

日本の天才の代名詞とも呼ぶべき南方熊楠が、実際のところどのような功績を残したと考えるべきなのか。

その生い立ちから遡り、当時の時代性の制限の下、何をどのように研究し続けたのかは今持ってなお研究が進められていることに関心を抱く。天才と称される諸人物の中でも熊楠独自の特性が垣間見られ、彼への「未完」と...続きを読むいう形容に納得しながらも、伝記として描き下ろされた際の興趣に心惹かれる。

「縛られた巨人」という平成初期の伝記らしきものは、章立てからすると本著との差異がありそうにも思うが、時代間の南方熊楠像の変遷を辿る試みに繋がりそうではある。

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Posted by ブクログ 2024年03月10日

学問それ自体が楽しいから学問する。
これはいつの時代でもあるべき本来の姿だ。
しかしこれを徹底するには別途、生活の糧がなくてはならない。
実家が太いとか、財産や田畑があるとか。
ダーウィンもそれゆえ在野の研究者でいられたし、Gマルセルも文筆で稼ぎつつ在野の研究者を貫いた。メディチ家に干されたあとのマ...続きを読むキャベリも、キャンティを産出するブドウ畑付きの山荘を受け継いでいたから、質素ではあるが安定した暮らしの中で不朽の論評を書きえたといえる。
「生活のため」がないからこそ時間をかけて、本当に好きなテーマに取り組める。
(政治家にもそういう側面があって、だから二世、三世が必ずしも悪いこととは思わない)
いいなあ。うらやましいな。
でも、そこまで自分を律するのもハードルが高いにちがいない。 
常人にとって義務は重荷だが、全くないのも自由の海に溺れてしまう。
現実には、アカデミックポストの獲得、生活、名誉、公的利益のための仕事と、自分の好きなことを織り混ぜながら、うまいことやっていくしかない。
凡人にすぎない私はそう思うのであった。

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