【感想・ネタバレ】象徴として 天皇、皇后両陛下はなぜかくも国民に愛されたのかのレビュー

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Posted by ブクログ

本書は、毎日新聞社会部が、本年4月に天皇・皇后を退位し上皇・上皇后となった明仁天皇と美智子皇后の、皇太子・皇太子妃および天皇・皇后としての60年間を振り返ったものである。
明仁天皇は、光格天皇以来約200年ぶりに生前退位をしたが、2016年夏の生前退位の意向表明から約3年の準備期間もあり、その間様々なメディアで、その歩みを紹介されてきたが、それらから例外なく感じられるのは、両陛下が如何に国民に愛されていたかである。
私は、昭和30年代後半の生まれで、両陛下のご成婚や若き皇太子・皇太子妃の時代のことは実感としては知らないが、現在の両陛下が当時からここまで支持されていたわけではなく、その人気が長い歩みの中で醸成されてきたものであることは容易に想像できる。
本書で描かれているのは、両陛下の、太平洋戦争で犠牲となった人びと(特に沖縄の人びと)に向き合う姿、様々な自然災害に遭った人びとに寄り添う姿、ややもすれば記憶や関心が薄れてしまうような以前の出来事でも忘れずに思いを寄せ続ける姿、社会的に弱い立場にある人びと(ハンセン病患者や障害者など)と共に歩む姿、そして、天皇陛下と皇后陛下がお互いに「国民に寄り添う」という思いを同じくする「同志」として支え合う姿である。
被災地で腰を落とし、時には膝をつき被災者と同じ目線で交流する天皇陛下の姿。。。今でこそ、その姿勢は我々国民の間に浸透しているが、平成が始まったばかりの頃は、昭和天皇との比較を含む様々な議論を呼び、「そこまでする必要はない」という声が宮内庁内部にもあったことは有名な話だが、それでも天皇陛下は自分のスタイルを貫き、その結果、平成流の「象徴」としての一つの姿を示し、国民にこれまで愛された。
「令和」の時代に入り3ヶ月が過ぎようとしているが、徳仁天皇は如何なる令和流の「象徴」となっていくのだろう。。。
平成天皇は如何にして平成流の「象徴」となったのかを振り返る格好の一冊と思う。
(2019年7月了)

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2019年07月27日

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