【感想・ネタバレ】それでも女をやっていくのレビュー

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Posted by ブクログ

自分でも忘れてたようなざらざらした記憶。池のヘドロの底から何かをズルズルと引き揚げられた感じ。ヒリヒリし過ぎて、アルコールにまつわるところなんか読みながらリアルに「痛たたた」言うてた。

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2023年03月14日

Posted by ブクログ

筆者の東大卒という輝かしい経歴を見て、「言うてそんなに苦労してないでしょ?」と侮っていた自分を今は恥じたい。ページをめくればめくるほど、複雑な家庭環境に苦しんだ過去や、自己肯定感の低さ、異性・同性問わず対人関係を上手くドライブできない等の、ひらりさ氏が抱えた「生きづらさ」が剝き出しになって襲い掛かってくる。

特に「女友達に依存し過ぎて関係が壊れてしまう」系のエピソードが複数登場するのだが、これが自分の胸にもかなり刺さってしまった。筆者は女性に対し性愛的な感情を抱いている(レズビアン)訳ではないようだが、心を許せる「相棒」のような女友達が出来ると、とにかく大好きになってしまうみたいだ。それで、気持ちの行き先が女友達の「彼女」一辺倒になる。自分の気持ちを見聞きして、なんでもわかってほしくて、それがポジティブなことであれネガティブなことであれ、LINEやSNSを通じてマシンガン的に報告をしてしまったり。……ただ、そんな友達に恋人が出来たりなどして、自分の相棒の「●●ちゃん」ではない違った一面が見え始めると、精神的な抵抗やはたまた怒りに似た感情を抱き、SNSや連絡手段をブロックして距離を置く、あるいはそのまま関係を断ってしまうようだ。

わたしは流石にここまで極端なことをしたことはないが、どうにもこうにもいかない感情が煮詰まったとき、SNSにそれらを衝動的に吐露してしまう癖はある。まだその矛先が対人に向かっていないだけいいと思いたいが(ただ具体的なメンション(宛先)がついていないだけでタイムラインには載ってしまっている。フォロワー諸氏には迷惑をかけているかもしれない……ごめんなさい……)、ブレーキを一歩でも踏み間違えれば”そう”なってしまう可能性もある気がして、とても他人事とは思えなかった。

ひらりさ氏はこれらの原因を「母親との関係構築がうまくいかないため、本来ならば赤の他人であるはずの女友達に、肉親同様の”受容”を求めてしまう。母性を求め、母親の役割を期待してしまっている。無条件で愛され、慈しまれ、優先される。その女友達の「娘」になりたがってしまう」と分析していた。この、筆者が同世代で母親との関係に悩んでいるというところも、他人事とは思えないポイントなんだよなあ。つい共感してしまう。

わたし自身は友人に母性を求めているつもりはないし、彼氏が出来たとしても、相手が余程のクズ男とかでない限りは「幸せならOKです」的な価値観でいるつもりだ。でも、「彼氏と遊ぶのもいいけどわたしと遊ぶのも忘れないでください……時間をください……」なんてウジウジしたことを時折思ったりもしている訳で……これは女友達に無条件の許容を、母性を求めてしまっていることになるのか!??う~~ん、わからん……。

しかし、父親のDVに耐えかねて16歳年下の男性と不倫をした筆者の母親が、離婚後に相手の親族からの反対があって再婚が叶わなかった際に「りさ(娘)が太郎(不倫相手)と結婚したらよかったかも」と話すエピソードは申し訳ないが読んでいて気味が悪く、寒気がしてしまった。娘は自分の欲望を叶える道具ではないでしょうよ……。さらに筆者自身も「母親を支えられる(不倫相手の)男性が羨ましかった。自分がその立場になれたら、とも思った」と書いていて、ここの母娘関係もなんとも複雑だなあ……と思ってしまった。

そのほかにも片思いのままずっと告白はできなかった飲み友の男性(既婚)に呼び出され、酔った勢いでキスされたことをきっかけに「自分が今まで都合の良い女として扱われていた」ことに気づいたり、将来性のない男性とずるずるとセフレを続けてしまったり、その男性への未練を断ち切りたくてインスタをきっかけに知り合った男性と勢いでワンナイトラブをかましたり、同性関係もさながら異性関係もかなり衝突事故を起こしているようで、読んでいて「あちゃー……」という気持ちになるエピソードも多かった。境遇は似ているところがあるかもしれないが、すべてに共感はできない。恋愛も友情もとても良いものだけど、そうした対人関係は自分の中の欠けた穴を埋める術にはならないんだよな。あれば人生をより楽しく生きることができるだけ。

色々書いたが、「マリみて」に憧れていたけど実際の女子高はそうではなかったとか、「神風怪盗ジャンヌ」のエッチな描写に驚いたとか、「桜蘭高校ホスト部」が大好きだったとか、BLゲーム「咎犬の血」にハマっていたとか、同世代ならではのオタクあるある(共感)エピソードは楽しく読めた。
「ジャンヌ」は小学生の時に読んでいたけど、まろん(主人公)が過去に飛んで、聖女ジャンヌ・ダルクに「私は純潔を奪われたから変身できなくなってしまった」って言われるシーンは確かに「純潔を奪われるってなに……?」と当時はハテナを浮かべていたし、実際にコミックスを買ってくれた母親に聞いて「さあ、わかんない」と返された記憶がある。7歳くらいの娘にまさか「セックスして処女じゃなくなったってこと!」なんて言えるはずないよな。他にもまろんがノイン(敵っぽい人)にレイプされかかって、キスマークをめっちゃ付けられるシーンもあったんだけど、あれもよくわからなくて「キスマークって何?」って聞いたこともある。今思うと大変申し訳ないことをしました。お母さん、ごめんなさい。

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2024年01月31日

Posted by ブクログ

あまりにもヒリヒリする内容に、一度本を閉じて心を整える時間が必要だった…。ひらりささんの語る過去の出来事や感じたことの中に、自分の思い出したくない「何か」を見出してしまいそうで。このモヤモヤを追い出すためには、ひらりささんのように自分のことを見つめ直す必要がありそう。こんなにうまく言葉にできそうにはないが。

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2023年04月19日

Posted by ブクログ

自分がフェミだと自覚したことないし、フェミの文脈で物事を見たことすらなかったけど、読んでいて『あ〜〜〜〜………』となる箇所がいくつもあった。それはつまり、自分も多かれ少なかれ似たような経験をしたことがあって、その時は嫌な気持ちになるんだけど、それを咀嚼して考える努力を避けていたからなんだと思った。例えば飲み会の席で「女要員」として呼ばれるとき。『このメンバーなのに一人でよくきましたね』と意味深なことを言われるとき。ただの友人だと思っていた人に急に押し倒されるとき。

思い出したくなくて記憶から削除されていた過去のシーンがいくらでも甦ってきて、気分が悪くなった。笑

私が考えることを放棄していたことについて、正面から向き合って、その現象を、思いを、言葉にしてくれていることに感銘を受けた。私もそんな気持ちだったのかも…と。

そして、これは個人的なことだけれど、フェミニズムの文脈で書かれた文章のいくつかは、自分の仕事の分野に置き換えてみても結構当てはまって、言葉にできなかったモヤモヤが少し晴れた気がした。(特に、学問をすると偉ぶりそうになるけれど、知っていることだけが正義ではないというような箇所に。)

しかし、ひらりささんの自己開示の仕方はすごい。自分に同じことができるかというとできないから、本当に尊敬する。そんな思いに至って、自分はまだまだプライドが高いのだなぁと思ったりした。

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2023年04月14日

Posted by ブクログ

・非常に書くのがしんどそうな内容だった。お疲れ様でした、としか言い様が無い。
・ある程度生きてきて、子供の頃とは社会が変わって来ている、と感じている。それを考える手掛かり、この世界で自分はどう生きていったら良いのか(生きるべきなのか?)を考える手掛かりとして、この本を手に取ったのは間違いない。
・ひと昔ならこの本は今の様な意味を持ち得たのだろうか?今だからこそ、知りたかった内容だった。(何かを分かりやすく解決する為ではない)

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2023年04月06日

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web連載が好きだったので。
ひらりささんの自己分析の深さ、「女」というものに対する曲がりくねった感情、肥大する自意識、共感できるところもできないところも胸が苦しくて頁を捲る手が何度も止まった。
でも、自分だけは自分と別れず、生きていかなきゃならないんだよね。

特に神風怪盗ジャンヌと闇の末裔の回がどうしても好きなんだけど「腐女子」と言う言葉への気持ちとか、わかる〜〜!の連続でそれもまた胸が苦しかった。だけどひらりささんの素敵なところは、自分に影響をもたらし、負の部分まで自意識に落とし込んできた作品も、それでも好きと言い切るところと思う。

あと私も定期的に友達関係を壊すので、ひらりささんの女友達に対する感情とか、身につまされすぎてまた苦しい。わかりすぎる。でも、本当なら書かずに仕舞っておきたいような記憶でも丁寧に洗い出して書き切っているのはひらりささんの誠実さの表れだよなと思いました。

自分の半生をつぶさに振り返って、自意識も屈折も劣等感も全部を書くのだという姿勢は雨宮まみ『女子をこじらせて』を思い出しました。雨宮まみは「デトックス」だと語っていたけど、ひらりささんはどうだったのかな。

私も自分の話をしたくなるし、いろんな人の話を聞きたくなる本でした。

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2023年02月06日

Posted by ブクログ

最後のおわりに、の冒頭の一文は、自身の甘えや愚かさにも通じることで、一番ぐっときたな。わたしも対峙していかなきゃだ。

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2024年02月13日

Posted by ブクログ

女らしさへの抵抗、外見コンプレックス、恋愛のこじらせ、BLに逃避した日々、セクハラ・パワハラに耐えた経験、フェミニズムとの出会い――。実体験をもとに女を取り巻くラベルを見つめ直す渾身のエッセイ!
ひらりささんっていったら、劇団雌猫の方で認識していて、面白い企画されるなあと興味はあった。経歴とか全然知らなかったけど、結構こじらせてたんだなあ~とびっくり。私も大概思考回路が面倒な女である自覚はあるけど、それとは違う意味で面倒な性格で、周りを巻き込むタイプ。分かる部分もあるけど、正直友達にいたらうげ~~ってなるかも(苦笑)でも人生で失敗はあっても、失敗した人生はないので、空回ったりぶつかったりしながら、人は成長していくんだろうな。

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2023年11月06日

Posted by ブクログ

自分のめんどくさい思考と、とことん付き合わずにはいられない筆者の苦しみや、それらを言語化することに対する陶酔にも似た感覚がビシビシ伝わってくる一冊。
もちろん、たとえば「親友」に彼氏ができたときのモヤモヤした感じとか、日常にうっかり入りこんでくるルッキズム的価値観とか、共感できることもあるのだけれど、筆者の言語化がうますぎて、表現が生々しすぎる気も……。
でもたぶん、筆者は自分の長所も短所も、よく自覚している。わかっていても器用に生きられないところが、人間らしい。

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2023年07月07日

Posted by ブクログ

女としての振る舞いを押し付けられたり、女であるから制限されることがフェミニズムというのかな。フェミニズムという言葉はよく聞くが実際はよくわからない。でも、この本を読んでそう思った。女性であることなどではなく私であるために生きること。
全体的に漫画の話が出てくるが、なかよしなど懐かしく思った。
 

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2023年06月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

藤谷千秋さんと出版イベントをやる
書籍帯がエルピス・大豆田とわ子のプロデューサー
ということで何となく手に取ってみた。
『神風怪盗ジャンヌ』の致命傷も気になったので。

女に産まれたがためにある生き辛さ、こじらせ
まあまあ面白いけど、時々読んでてめんどくさいなぁとかちょっとしんどいなぁと思う箇所もちらほら。
やっぱり読んだ自分も女だから、心当たりあるところがあるからなのか

うー、うまくまとまらないな。

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2023年04月24日

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