【感想・ネタバレ】手数料と物流の経済全史のレビュー

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Posted by ブクログ

ジャレドダイヤモンドやユヴァルノアハラリを彷彿とさせるようなスケール感で、タイムトリップしたかのような読書。勉強になる。ただ、タイトルの手数料とか物流とかの話を切り口にしているかというと必ずしもそうではなく、基本的には経済史である。ただ、それが良かった。

プラットフォームとは、言い換えると構造的権力。覇権国が築いたプラットフォームを使用することに対し、他国が手数料を支払う構図。この覇権を歴史的にどの文明がどういう政治力学で手にしたのか、そして手放していったのか。栄枯盛衰が語られる。

イギリスは結局のところ、世界最大の海運国家としての地位を用いて構造的権力を行使した。更に世界の電信の大半を敷設することにより、それらの手数料を得るシステムを構築した。このプラットフォームにより、イギリスはコミッションキャピタリズムの国として影響力を行使した。植民地政策だけでは無い、覇権構造の勝者という事だ。シンボリックにイギリスを語る。そこから一気に遡る。

人類の起源は700万年前、アフリカの中北部、サヘラントロプス・チャデンシス。高度な文明としては、メソポタミア文明が世界最古。シュメール人は世界で最初に灌漑システムを導入した。運河を使い、一方の川から水を汲み上げそれを農地に。塩害もコントロールし農作物を生産し時の覇権を得る。

メソポタミア文明とエジプト文明がアッシリアによって統合されオリエント世界。ヨーロッパ文明の成立。民主主義発祥のギリシアはポリス。フェニキア人がアルファベットを改良し、今日まで続くアルファベットの素を作る。アルファベットは人類最大の発明の一つとして、フェニキア人の商業ネットワークを通じて多くの地域に普及。

中国では、春秋戦国時代に諸子百家と呼ばれる思想家集団が出現。儒家、墨家、陰陽家、名家、法家、道家。哲学者ヤスパースは、思想的に人類が大きく成長した紀元前500年頃を枢軸時代と呼ぶ。この頃、孔子や老子、インドではウパニシャッド哲学が生まれ釈迦が仏教を創始、イランではゾロアスター教、ユダヤ教、ギリシアではソクラテスやプラトン、ピタゴラスらが活躍。

やがて、活版印刷の改良が、文字を一般人へ。一般化され、広く使われる仕組みが覇権を取る。ハードウェア、ソフトウェアいずれにせよ、影響力の大きな発明こそ、人類を進化させてきた事がよく分かる。そして、今はデジタルの覇を競う時代にある。軍事武力による実力行使は旧世代の力学であり、経済によるプラットフォームの王冠を勝ち得た国こそ支配力を持つのだろう。

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2022年12月24日

Posted by ブクログ

ロジスティクスと金融について俯瞰できる一冊。長いので、手軽にわかるという本ではないが、網羅性は抜群だと思う。教養的な厚めの新書を読み慣れている人にはいいかもしれない。

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2023年02月12日

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