感情タグBEST3
Posted by ブクログ
結婚詐欺師の娘(姪)と、その結婚詐欺師に騙された女が一緒に旅する話。
その展開自体面白いのに、最後の数ページでさらにとんでん返しというか、前提が変わる展開もあって最後まで目が離せない。
Posted by ブクログ
詐欺師の娘(姪)杏と騙された女キヨエのロードノベル。一夏の体験ならぬ危険がてんこ盛りの道中。テンポのいい会話とやぶれかぶれの行動力。たどり着いた幻の百合の世界には少し感動して、驚愕のというか、さもありなんというラスト。面白かったです。
Posted by ブクログ
結婚詐欺の被害者「キヨエ」と、その詐欺師の娘「杏」
二人の掛け合いが軽快でするするっと読める。
詐欺師をぎゃふんと言わせるための一週間の旅。
道中で二人の抱えるものが見えてきて学びも多い一冊。
ラストでのどんでん返しは見事!
どこから伏線張ってたんだろうなー。
Posted by ブクログ
面白かった!!
テンポの良さと明るい雰囲気、言葉の選び方もいい感じでした。
詐欺師の子どもの杏と被害者のキヨエは、ひょんなことから二人で1週間限定の旅にでることになる。
まず二人の関係からして一緒に旅をする状況が現実離れしている。
そんな二人の豪遊の旅は、道中何度もすったもんだがあって、どうなることかとハラハラ。
でもどちらかと言うとワクワク♪
“痛快”、“爽快”って言葉がピッタリな作品。
最後まで楽しませてもらいました。
Posted by ブクログ
無敵な杏とちょっと残念なキヨエの旅の終わりでしんみりして最後にまさかやーとなる。
えなっちゃんもヨータもカッコよくて、でもカッコ悪くて、杏やキヨエを含め登場人物を甘やかさないところもとても良かった。
「でもね、わたしよりきもちよくなっちゃだめよ」
はキョエから杏に対してだけじゃなくて、この小説に出てくるみんなにも言えることなのかな。
Posted by ブクログ
結婚詐欺師の養父に育てられたややビッチな女子高生(杏)と、その詐欺被害者である女(キヨエ)がタッグを組み、養父の有り金500万円を持ち出して一夏の逃避行を図る物語。女性というのは元々強かで賢い生き物なのだろうが、二人揃えば更に無敵なのかもしれない。分かるようで分からない、象徴的なメッセージの書き置きだけを残し「さあ、あたしたちを探してごらんなさい!」と叔父を煽りながら家を勢い良く飛び出していく様子は、「ルージュの伝言」の有名なフレーズを思い出した。
物語は杏の視点で進んでいくのだが、読んでいて感じたのは、彼女が17歳という年齢の割にかなり肝が座っているということ。身内による結婚詐欺の被害者が家凸してきたのを出迎えた挙句、そのままありったけの金を持ち去って「アンタを騙したあいつ(養父)をギャフンと言わせてやろう!」なんて発想が飛び出すのがまずすごい。
だけどこれには、少なからず杏の特殊な生育環境が影響していると思われる。彼女は幼い頃に唯一の肉親である母を亡くし、その後は厄介者扱いを受け、親族間を盥回しにされる日々を送っていた。行き場のない杏を引き取り、そんな日々に終止符を打ってくれたのは母の弟である「京ちゃん」だった。しかしこの叔父、結婚詐欺師というとんでもない職業をしている。おそらく警察の捜査を逃れるために、頻繁に居所を変える必要があったのだろう。何度も転居を繰り返しているからか、杏はなかなか同世代の心を許せる友達が作れない。「コミュ力おばけ」とキヨエから称された明るい性格と生まれ持った美貌から、杏は人目を惹きつける。ゆえに人との接点には困らないようだが、それも男遊びに興じつつ、杏が飽きたら交流を終わらせるという爛れっぷりだ。この叔父あってこの姪あり、と言わざるを得ない。
また、杏が自己紹介の一環で自身のことを「詐欺師の子ども」だと言い切った際、キヨエから「それ以外に自分を説明できる言葉はないの」と問われて答えに窮してしまうシーンがある。子供は生育環境により大きく変化すると言うが、このことから杏が叔父から受けた影響が、爛れた異性関係以外にもあることが分かる。叔父が詐欺師であるという事実が、杏のアイデンティティの形成にも繋がってしまっているのだ。しかし、これは杏が叔父の犯罪行為を肯定している訳ではなく、杏自身は叔父が罪なき女達から騙し取った金で自身の生活が成り立っていることを後ろめたく思っている描写が作中にあることも申し添えておきたい。
育て親である叔父のことは嫌いではないが、叔父の行為は世に認められるものではないし、それをわかっていながら生活のためにと容認している自分も、いずれ叔父と同じく裁かれるべきかもしれない……などと、若干17歳の少女の胸中を占めるのは複雑な感情だ。
それゆえに、杏は結婚詐欺の被害者(キヨエ)と初めて対面した時に、「京ちゃんへの仕返し」を提案する。この哀れな女を救うことができたら、これまで自身が抱え続けてきた罪悪感も、少しは軽くなるかもしれない。京ちゃんにあてた今回の挑戦状は、キヨエにとっては復讐の、そして杏にとっては贖罪を果たすための「冒険」の始まりだったのである。
杏とキヨエ、生まれも育ちも容姿も性格もなにもかもが違う、17歳と38歳の凸凹コンビ。対照的なふたりの逃避行は、勿論道中で様々なアクシデントが起こる。いままで何ひとつ不自由なく、家族や親戚に愛されて育ったが故に他人を疑うことを知らず、結婚詐欺に引っかかった純朴なキヨエ。先程杏が年齢の割に肝が座っていると書いたが、キヨエは逆に狼狽えたり、年甲斐もなく泣きじゃくったりして杏を困らせるシーンも多い。しかし、そのたびに杏は呆れることはあってもキヨエを決して見捨てず、甲斐甲斐しく尻を叩いて前を向かせてやるところがカッコいい。思わず「アネゴ!」と呼びたくなる。
叔父のことで胸に引っかかりを抱いてはいるものの、杏は基本的に割り切りが良く、あまり後ろ向きにならずにいるのがいいところだ。自分がやりたくないことはやらないし、謝りたくない時は謝らない。他人の言葉や思想に揺れることなく、あくまで自分の軸で人生を楽しく生きようとしているところには好感を抱いた。見た目もメンタルも強気な美人ギャル、良〜〜。ただ、そんな天下無敵のギャルである杏ちゃんも、ヒッチハイクで出会って意気投合した緑髪のファンキーなババアこと「えなっちゃん」に裏切られて、危うく持ち金を奪い去られそうになった時は人並みに動揺していたのが可愛い。普段は頼りないキヨエが、そこのシーンだけは冴えた立ち回りをしていたのも良かった。いい塩梅で互いを補足し合える関係だ。
この物語には、結婚詐欺師の「京ちゃん」は勿論、「えなっちゃん」など何人もの「嘘つき」が登場する。そして嘘つきが複数いるということは当然、その嘘に踊らされてしまう可哀想な人間も複数存在する訳だが……。キヨエが京ちゃんに騙されたところから始まり、杏がえなっちゃんに騙されそうになり……物語の最後で明かされる「大嘘つき」の存在には思わず「そうきたか〜!」と膝を打った。
どんなにこまっしゃくれていても、杏はまだ17歳の少女だ。素直でチョロいところがある。ゆえに、杏が老婆の「えなっちゃん」や大人の女である「キヨエ」に弄ばれてしまうのは当然のことのように思うが、まさか大人の「京ちゃん」まで転がされてしまうとは。わずか2歳の差、されど2歳といったところか。
実は、キヨエに対して39歳と名乗っていた「京ちゃん」の実年齢が36歳であることは最初のうちに明かされるが、物語の中でキヨエの年齢だけは後半に至るまでなかなか明かされなかった。京ちゃんの年齢の話をしていたシーンでは「年上の男を好んでいたキヨエに合わせて(京ちゃんが)サバを読んでいたのだろう」と杏が推測しているため、「ふーん。じゃあキヨエは33歳ぐらいか?」と勝手に想像して読み進めていたので、後にキヨエが38歳で、京ちゃんより年上であったことを知った時は「え……?」と密かに動揺したし、何より結末まで読んだ後となっては、序盤から仕込まれていたこの年齢トリックの巧妙さに「なるほどねぇ……」とため息が出た。
要するに、年の功ということだ。この物語において、年齢は大きなアドバンテージなのだ。相手より大人であればあるほど、巧みに嘘をつけるようになる。そしてそこに女という要素が加わったのならば、もう敵なしだ。「キヨエ」という強かで賢く、最高に"エモい"生き物と共に過ごした一夏の記憶。杏にとっては紛れもなく、一生忘れられない夏になっただろう。実に気持ちの良い結末だった。
Posted by ブクログ
まさにひと夏のロードムービー!って感じ。夏の映画でやってみて欲しいです。
杏もスレきりかけていると思っていたようだけれどそこは人生経験の浅い女子高生って感じ。キヨエもどこまで本人で本心だったんだろう?
Posted by ブクログ
「えー、野中杏。十七歳、B型、おひつじ座、詐欺師のこども」
すっごくすっごく面白かったです。
今の私が生活できてるのは詐欺でお金をとる京ちゃんのおかげで、だからわたしをあらわすのは「詐欺師のこども」だけで十分。
杏にもキヨエにも抱えるものがあって、旅の途中で出会う人に学びをもらい、
最後にはまさかの展開があってただのロードノベルではないです‼︎読んで欲しいです‼︎
この作品の世界観がとても楽しく、良い現実逃避になりました
Posted by ブクログ
まず装丁が非常に良い。作中登場人物の顔・ファッション・躍動感を忠実に再現しているし、デザインも色合いも可愛くて最高。ストーリーも面白くフレッシュでテンポが良い。物怖じしない今時な女子高生、杏と無職38歳アラフォー女性、キヨエのクライムロードノベル。2人はどんな関係なの?としばらく読んでも全くわからないところがキモ。ラストはグッジョブ!とシビれた。映像化にも向いてそう。杏とキヨエは思いつかなかったけど、えなっちゃんは夏木マリさん、ヨータは眞栄田郷敦さんでお願いします。
Posted by ブクログ
ちょっと抜けてる被害者と、達観している美人女子高生の旅物語、と思ったら...!
道中出てくる愛すべきサブキャラ達も面白いし、急いで駆け抜けていく青春が気持ちいい。
Posted by ブクログ
女2人のロードムービー。よくあるやつね、と思って読み始めたら主人公2人の掛け合い、ぶっ飛んだ展開にぐんぐん引き込まれた。やられた。
そして最後には唖然。
佐原ひかりさん、もう1人追い続けたい作家さんが増えました。
Posted by ブクログ
騙された。
びっくりした。
ラストが面白かった。
結婚詐欺師に騙されたキヨエ。
結婚詐欺師の娘の杏。
2人の珍道中。
杏とキヨエと2人で百合を探しに行く冒険は、
ハプニングもあり、どうなるのか?
ワクワクした。
高校生の杏の方が大人っぽく、
キヨエの方が、泣き出したりそれを杏が慰めたり、子供っぽいと思った。
あの涙は嘘なの?
えなっちゃんとかヨータはどうしているかなぁ。
Posted by ブクログ
面白かったぁ。一気読みした。結婚詐欺師に育てられた女の子と騙された女の一夏の思い出。ロードムービー好きだから、と思って読んだらやっぱ間違いなかった。途中出てくる登場人物たちも濃ゆくていい。ラストが意外でスカッとした!
Posted by ブクログ
2024.5.2
結婚詐欺師の娘とその人に騙された女性が旅するという面白い設定。
軽いテンポですぐ読めた。
最後の数ページで、そういうことだったの?!ってなった!
Posted by ブクログ
ありえない組み合わせと、ありえないハプニング続きの逃避行だけど、軽快でテンポが良くサクッと読めた。登場人物のキャラも濃く、えなっちゃんは夏木マリさん‼︎
最後にオチがあって、読後はスカッと爽やか。
面白かったんだけど、個人的には「ブラザーズ・ブラジャー」みたいな感情を揺さぶられる系の方が好み。
Posted by ブクログ
中盤のキヨエのセリフで「もしかして……?」と思っていたら、最後のどんでん返しが痛烈だった。
キヨエの少し抜けた性格は作ったものなのか元々のものなのか、どこまでが本当なのか、謎のまま。
Posted by ブクログ
500万円を懐に崖っぷちを疾走する女ふたりのロードノベル。
タイトルからして、まがいものの絆を思わせて不安を煽る。
離れたりくっついたり、危ういバランスでハラハラさせるが、食べものの描写(蜜造パイナポー!月見うどん!!)はガツガツしていて、結構したたか。
Posted by ブクログ
野中杏、十七歳、結婚詐欺師に育てられた子供、騙された女性・ユキエと500万を持って逃避行中。
人を騙して得た金で育った私の下に騙された女が現れた。今まで育ててくれた詐欺師の叔父には感謝している、それでも目の前の女に「お返し」がしたいと思った。この旅は報復?それとも罪滅ぼし?年齢、価値観も違う凸凹の私達が目指すは幻の百合!!
結婚詐欺師を育ての親に持つ女子高生・野中杏とその詐欺師に騙された30代女性ユキエの二人が500万円を持って夏の旅路をスタートするところから物語は始まります。常識に囚われないイケイケな杏、それに押し切られる形で巻き込まれた引っ込み思案のキヨエ、年齢は勿論価値観も正反対の二人は時に補い合い、時に衝突しながら無計画な道を進んでいきます。女性心理を中心に描いているがきっと男性でも共感できる部分がたくさんある。そして旅の終焉には吹っ切れた爽やかさが感じれることでしょう。
Posted by ブクログ
焼き鳥の串をくわえたまま、地面に打ち捨てられたはずれくじや、ストロー、竹串、カップ、破裂して萎んだ水ヨーヨーを見つめる。お祭りの残骸、汚れた地面。ここが未来だ。あと数時間もしないうちに境内の人間は皆消える。ここにある残骸だけが未来まで横たわり続ける。生まれ続ける未来、消えていく今が混在していて、足場をぐらぐらと揺らす。
Posted by ブクログ
初めの方は言い回しがくどくてラノベ読んでるようなモゾモゾした気持ちになったけど、中盤からは割と気にならなくなって面白く読めた。大仰で現実離れした展開は準児童書感否めないけどテーマというか、根底でずっと書いてることは大人でも全然感じるところで、キヨエの凡庸で感化されやすいところなんかはSNSや身の回りでもよく見るし、実際かなりキツくて「うわーー!」と白目剥きながら読んでしまった。
でもキヨエが相応の危機管理能力を身に付けているのに対して、物語中盤(あるいは全編を通して)まで精神面で圧倒的優位に立ってるように描かれている女子高生の杏がその実全方位に無垢で簡単に大人に置いてかれたり騙されたりしてしまうのもリアルだった。
差し出せるものとか受けた恩とかそういうものでガッチガチになってる2人の旅は、どちらかというとキヨエに近い年の方が共感だったり頷けたり唸ったりする部分が多いと思う。親からの愛と恩を結婚だの孫だの介護だので返すっていう循環を杏のような自由さに傾倒して吐き捨てるのも、キヨエみたいにその場に立ち止まって思考停止しちゃうのも簡単なんだよな…。
京ちゃんだって姉に何かしらの恩義を感じて杏を育ててたのかもしれないし、杏だって結局責任や罪の清算に常に囚われていて、あのヒッチハイクのバアさんみたいに全てから解脱するにはどうしたらいいのかな(とか、そもそもそれが正解かも分からんじゃん)とか思ったより色々考えさせられてしまった。