【感想・ネタバレ】証言・南樺太 最後の十七日間 知られざる本土決戦 悲劇の記憶のレビュー

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Posted by ブクログ

本書は「1945(昭和20)年8月の南樺太で何が起こっていたのか?」ということに関して、集め続けた証言を交えて綴られている一冊だ…
敢えて極簡単に述べれば…ソ連軍の侵入を受け、民間人の避難等をする時間を稼ぐべく日本軍による抗戦が行われた。停戦の合意に漕ぎ着けたものの戦闘が続いた。そして緊急疎開が行われたが、所謂<三船殉難事件>が発生してしまった。というのが「1945(昭和20)年8月の南樺太で何が起こっていたのか?」ということになるであろう。
本書はこの「1945(昭和20)年8月の南樺太で何が起こっていたのか?」ということに関して、戦闘に参加することになった人達、避難していた人達、停戦合意後の戦闘行為を目撃した人達、船による緊急疎開の様子を目撃していた人達等の証言を交えて綴り、それらにソ連占領下の様子や<三船殉難事件>の犠牲者慰霊に力を尽くした人達のこと等が加えられている。
本書の叙述の中、激戦が在ったという熊笹峠―ホルムスクとユジノサハリンスク方面とを結ぶ街道の一部を為す、ホルムスクの手前の峠道の辺り―や、緊急疎開の人達が集結して混乱した大泊―コルサコフ港の埠頭の一部は、昭和20年頃にも在ったモノだ…―、停戦合意後に航空攻撃が在った豊原―現在の駅と当時の駅は様子が全く違うが、駅舎の位置や周辺主要道路の位置関係は昭和20年頃と変わっていない…―という辺りに関しては「あの辺り…」とよく判る場所も多く、何か「非常に強く迫る」というものも個人的には在った。
とにかく“史実”は埋もれさせておいて構わないという訳でもない。と言って、そればかり取り上げる必然性も高くはないと思うが…
好いとか好くないということでもなく、“史実”として本書に綴られているようなことは覚えておくべきであろう。そして、残念なことも乗り越えた善隣関係が目指されて行かなければならない筈なのだ。

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2020年08月19日

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