あらすじ
太平洋戦争の開戦阻止に渾身の努力を続けた東条内閣時代、戦争終結をめぐって阿南陸相と激論をたたかわせた鈴木内閣時代、著者は、奇しくも開戦と終戦という、決定的局面で二度にわたって外務大臣を務めた。本書は、外交官に任官した第一次大戦勃発の頃より第二次大戦終結に至るまで、みずから直接見聞し、また関与した事件・諸問題等について克明に綴った第一級の外交記録である。明治の外交官、陸奥宗光の「蹇蹇録」に比肩する、昭和外交史の名著。
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Posted by ブクログ
●開戦前の日米交渉におけるハル国務長官はじめ米側の態度の硬化は、欧州戦における戦局の変化(独劣勢)、蒋介石政権による働きかけ、日本軍部のインドシナ侵攻によるものか。
●真珠湾攻撃は、当時米側の主張した自衛のための戦争なら宣戦不要、批判は不当。
●戦争を開始した後でも、支那やソ連と早期に結んで英米の本格的な武力行使を封じる方法はなかったか。
●東郷の連絡会議出席によりポツダム宣言無視の記者会見が回避されていたら、原爆は落とされずに済んだのかもしれない。しかしその場合、降伏にかかる軍部の態度はなお尊大なものになったはず。最後まで勝機のない戦いを続けようとした陸海軍には呆れる。
●日ソ中立条約は破棄の宣告後なお1年間有効なはずであり、満州侵攻と北方諸島の占有は正当化され得ない。