あらすじ
「歴史認識」や「靖国問題」など、日本に対して過剰な反応を示す中国人。それらは中国政府による反日教育の賜物であるとみなされてきた。しかし、市場経済化が進んだ中国社会の底辺では、まったく違う動きが発生している。若者たちは日本の「モノ」や「食生活」に憧れ、漫画、ゲーム、音楽からファッションまで「日本ブーム」が起きているのだ。おでんやたこやき、ラーメンはいまや中国でも定番、大流行のトレンディ・ドラマは「日劇」と呼ばれ、ベストセラーとなった村上春樹の小説は、若者たちの都市生活の象徴のように言われている。その一方で、教科書問題や靖国参拝に対する若者たちの拒否反応は過激で根強く、事が起こるたびに反日感情が噴出して中国政府も抑えきれないほどなのである。本書は日中交流の歴史や各種統計データをふまえて、中国人の日本観にひそむ愛憎二重性の形成要因を探り、真の日中友好のあり方を問う。
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
中国の歴史や儒教に関することが出てくることについては、他の書物となんら変わりないのであるが、中国人のいろんな場面における反日感情の解釈の仕方が非常に良い気がする。中国(人)の考えを理解するにはいい本であると思った。
Posted by ブクログ
近時の日中間のギクシャクとした関係を憂慮する知日派の中国人による、新世代の中国人の日本に対する愛憎二重構造(日本の製品・文化に対する愛好と歴史認識等で示す強い反日意識)の形成要因の分析と、互いの文化的差異を認識し合うことによって相互理解を進めていくべきという提言の書。著者の考え方についてはいろいろ意見がありうるとは思うが、例えば、おそらく日本人の多くが持っている「過去の戦争について、いくら謝罪しても、際限なく文句をいってくる」という不満についても、なぜ中国人は日本の謝罪を謝罪と受け取らないのかという点について認識をしておくだけでも一定の意味はある(だからといって、直ちに中国の基準に合わせて謝罪する必要はないのであり、要は、そのような文化的差異についての認識を踏まえて自らがどう振る舞うかを決めることが重要)。小著ではあるが、建設的な内容を含んでいる好著であると思う。なお、本書のタイトルは、内容を的確に表したものとは言い難いが、おそらくは嫌中意識の強い人間にも本書を手にとってもらうための工夫ということだろう。
Posted by ブクログ
表題からして右よりかと思いきや、日本側を立てつつ弁証法的論法で二国間の友好的交流を提唱し完結したのには恐れ入った。
中国人の日本人観
は現代日本人も多く気にするところではなかろうか?
中国人が日本人に対して抱いているイメージなどをアンケートして表にまとめて載せている。非常に興味深くまたおもしろい内容だった。著者の王 敏氏は日中問題の観察眼の鋭さもさることながらジャーナリストとしてのウデも一級であろう。