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高橋一生と岸井ゆきののアセクシャルのドラマの小説が読み放題来てたんだけど、アセクシャルの事を知れたわ。私はレズビアンというマイノリティだけど、セクシャルマイノリティとしての感情は似た部分があって面白かった。思ったんだけど、100年前とかはほぼ見合い婚だったわけじゃん。でもそれが無くなってこういうセクシャルマイノリティ問題が出てきたのは自然な流れだよね。恋愛をスタートラインにしなきゃいけないってなったらそりぁ同性を好きになる人とか、好きという感情が分からない人とかいろいろ出てくるよね。
吉田恵里香
脚本家・作家。1987年生まれ。代表作にTVドラマ『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』『花のち晴れ~花男 Next Season~』、映画「ヒロイン失格」、「センセイ君主」などがある。小説『脳漿炸裂ガール』シリーズは累計発行部数60万部を突破するなど、映画、テレビドラマ、アニメ、舞台、小説等、ジャンルを問わず多岐にわたる執筆活動を展開している。
「へぇ、そうなんですか。先輩って割とお洒落 ですよね、地味ですけど」
丸山くんは細かいことに気がつく。今着ているベージュの丸首セーターを初めて着てきた時も、髪を切った時も一番に反応してくれた。きりっとした目鼻立ちと人懐っこい感じがたまらない、と同期の子たちが話していたっけ。そういうところも含めて、彼は営業戦略課で一目置かれた新人だった。
「何よりさ、ターゲットも広いよね! だって恋しない人間なんていないもん。なぁ兒玉」 同意を求められたが、私は否定も肯定もせず無言で微笑むことしかできなかった。 「兒玉も仕事一本じゃなく恋愛もな! そういう経験が商品開発に生きて、人を成長させんのよ!」 私は無言の微笑み返しを続ける。長年の経験で分かる。こういう話題は反応せず笑って流すのが一番なのだ。
「名前があるならきちんと呼びたいだけです。僕も一緒くたに人類とか呼ばれたくないので」 面白くて素敵な考え方をする人だな。彼の胸についた名札を見ると、「 高橋」とある。 「あ、もしかして野菜売り場の配置とかしてるのって、高橋さんだったりします?」 「まぁ、はい」
恋? どういう意味だろう? 本当に意味が分からない。私の話を聞いてなかったんだろうか。愛想笑いで流すこともできない私を置いてきぼりにして、田端さんが一人ニヤニヤと盛り上がっている。
『アセクシュアルは性的指向のひとつで、他者に性的に惹かれない人のことをいいます』 『アロマンティックとは恋愛的指向のひとつで、他者に恋愛感情を抱かない人のことをいいます』 『恋愛と性的なものは別物と考え、どちらの面でも他者に惹かれない場合はアロマンティックでありアセクシュアルでもあります。そのような人を「アロマンティック・アセクシュアル」、略して「アロマアセク」と呼ぶ人もいます。定義や表記、当事者にも多様性があります』
「私あんまり友だちが長続きしないっていうか、コイバナとかできないからかな……学校卒業したりすると他の子とは段々疎遠になっていって、でも千鶴は別で……
「私それまで、ほんと馬鹿なんですけど、自分のこと駄目とかポンコツなのかなとか思ってて」 高橋さんは優しく首を振った。 「そんなこと絶対ないです」 高橋さんが力強く否定してくれて、また鼻の奥がツンとなった。静かな部屋の中心で、砂時計の砂がサラサラと落下していく。 「でも、ずっと言われてきたので……付き合ってみれば分かるよ、好きな人と出会えば分かるよ、大人になれば分かるよって。そう、みんなが言うけど、でも」 時々、私が言葉を詰まらせても、高橋さんは何も言わず待っていてくれた。 「結局……なんかうまくいかなくて……なんか欠けてるのかな、人としてって思ってて。だからその、アロマンティック・アセクシュアルという言葉に……いや高橋さんの言葉に 凄く救われたんです。ありがとうございます」
「だって恋愛しないってことは、多分一人で生きていかなきゃいけないってことじゃないですか。高橋さんも書かれてましたよね。一人が好きなわけじゃないって」 「ええ」 「親と一緒にいられればいいけど、でも彼らの期待に応えられないのも理解されないのもつらくて」
「……私と……恋愛感情抜きで家族になりませんか?」 一世一代の大提案だった。 お互い恋愛感情を誰にも抱かなくて、お互い寂しくて、一人を恐れている。なら、一緒に暮らしてみるのも悪くないと思ったのだ。 どんな反応が返ってくるか。全く予想がつかなかった。 高橋さんは私の提案を聞いてから固まったまま動かない。 瞬きを忘れて、私をじっと見つめている。時計が刻む秒針の音だけがやけに鮮明に聞こえた。 高橋さんは何度か瞬きをした後、不自然なくらい口角をあげて、作り笑いのお手本みたいな顔をした。その顔のまま、やっと口を開き、言った。 「えっと……僕のこと、舐めてます?」 「え?」
「たしかに僕も寂しいと言いましたが、別にあなたにそれを埋めてもらおうという意図では」 「分かってます! 私はただ高橋さんとなら一人での寂しさとか色々解消できるんじゃないかなって!」 「同じセクシュアリティの人間、アロマンティックやアセクシュアルが珍しいから言ってます?」
四六時中喋るタイプかと想像していたが、割とスマホをずっといじっている。僕が彼女に話しかけないことにも原因はあるかもしれないが、何を話せばいいのか分からないのだから仕方ない。 一生懸命家事をしてくれようとするのだが、色々と雑だ。共同生活二日目、彼女は早起きをして僕の分の洗濯と庭掃除をしてくれたのだけれど、シャツにはしわが寄り、洗濯物は片方に重さが集中して、不格好に傾いていた。僕がこっそりと干し方を直していると、落ち葉を 箒 で集めていた彼女は得意げに鼻を膨らませた。
小学校でプロフィール帳の好きなタイプの欄が埋められなくて、友だちに言ったら「いつか分かるって」と笑われた。中学生の時、友だちに恋愛が分からないと言ったら「いつか分かるよ」とちょっと上からな感じで笑われた。高校時代、彼氏を作らない私を心配した友だちにも同じように相談すると、「大丈夫、いつか分かるから」と、どこか子供扱いされた。最後に浮かんだのはお母さんの顔だった。 二十歳 を過ぎたくらいからだろうか。事あるごとに恋人の存在を探られては言われてきた。「いつか分かる、そのうち分かる」と。
「カズくんっていうんですけど。彼とは凄く気が合って、好きな推しも一緒。食の好みも映画や漫画の趣味も一緒。一緒にいるといつも笑ってました」
「てか俺朝からカップ麺は……咲子なんか作ってよ。簡単なものでいいからさ」 料理を舐めていることが分かる発言に、苛立ちが溜まっていく。 「自分で作ればいいじゃないですか」 「いやいや俺料理とか無理なんで」 会話が通じない。今まで出会ったことのない未知の生物が目の前にいる。病院の待合室で、間が持たずに食べてしまったおにぎりを残しておけばよかったと後悔した。
豊玉さんは咲子さんの頭からつま先まで眺めながら言った。口角はあがっているが、うっすらと怒りのようなものを身にまとっている。彼女がいるなんて聞いてない。そんな抗議を遠回しに受けている気がした。咲子さんは愛想よくニコニコして受け流そうとしていたが、松岡一はそれが気に入らないようだ。
「ひとつお訊ねしますが、普通の恋愛とは?」 「だからお互い好きになって、告って~まぁ、キスしてその後も……ってそういうのしたカップルですよ。昔っから人類が行ってる行為ですよ」 「恋愛の価値観など、時代と場所によって変化するものです。そもそも、恋愛という言葉が我が国で生まれたのは明治時代。それまでは、その価値観さえ存在していなかったと言われています」 「え、マジすか」 「諸説ありますが。とにかく、このように元々流動的で常に変化し続けている事柄に、全ての人間を当てはめようとするほうが無理な話なんです。そもそも人のためにとか、普通になるためにとか、恋愛って義務的にするものなんですかね?」
休日、私たちは小田原へと出発した。 現地に到着するまでの間、カズくんは終始浮かれていた。手に持った小田原のガイドブックには受験生の参考書のように沢山の付箋がついている。
「家族……うちには正直分かんないです。一人が寂しいとかパートナー欲しいとか。誰かと話したいなら友だちに連絡するし。あと今タイドラマにハマってて、休みは一日ドラマ見てネットで感想漁って、それが幸せで」 ハマユカさんの話に周りで深く頷いている人たちが沢山いた。 恋愛感情を抱かない人がいるように、一人が好きでそれが幸せな人もいる。私のように誰かといたい人もいる。パートナーが同性だったり、異性だったりする。考えれば当たり前のことなのに、世間では珍しいものとして扱われがちだ。 でもここではどんな考えも、みんな当たり前として受け止めてくれる。そのことに私は感動していた。
「ちゃんと話したほうがいいですよ。そのパートナーさんと。アセクシュアル同士で友情結婚してる人とかも実際いますし」 「一人で生きるか誰かと生きるかで、またかかるお金も変わってくるし」 「本当にそう、一人で生きていく人に厳しいから、この国は」
「お母さんたちも、いい歳の娘二人に、こんなに頭悩まされると思ってなかったろうね」 お母さん、お父さんを悩ませたくはない。でも、私が私らしく生きることがなんで誰かを悩ませることになるんだろう。 私が落ち込んだのが分かったらしく、彼女は気まずそうにしている。みのりは私に輪をかけて大雑把だし言葉がきついところはあるけれど、悪い子じゃない。それを私はちゃんと分かっている。
家に帰ると玄関の前に宅配便が届いていた。ほくほく顔で箱を抱えて「ただいまです」と家に入る。箱の中身はバスケットボール用のシューズだった。 この前メタさんとごっちんさんとその彼女の 美樹 さんと話していたら、ごっちんさんも元バスケ部であることが判明して盛り上がり、今度体育館で軽く運動をしようという話になったのだ。またコートに立てる日が来るなんて、思ってもみなかった。四人だから正式なバスケではないけれど、大学生以来手に取るバッシュに鼻の奥がツンと痛くなる。 バッシュが届いたことでテンションがあがった私は早々にお風呂を済ませて、ベッドに寝転がり練習着やボールをネットで物色しているうちに睡魔に優しく包み込まれ、手元のランプを消して眠りについた。 最近の私の生活はこんな感じで、控えめに言っても毎日最高だった。
これが、大満足な毎日、大満足な私たちの形。 でも、この大満足に、それでも、何かを言ってくる人たちがいるかもしれない。傷ついて腹が立つこともあるかもしれない。時々怖くなる。 でも、絶対忘れちゃいけない。私の人生に何か言っていいのは私だけ。私の幸せを決めるのは、私だけ。 この勢いのまま、ペダルを 漕がずにどこまで行けるだろうか。 自転車はぐんぐんと駅前のスーパーに向かって進んでいく。私も進み続けたい。私たちのベストへ。私のベストへと、前へ前へ。
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ドラマが大好きで絶対に読む!って決めてたのをやっと手に入れて嬉しくてどんどん読み進めて、逆に読み終わるのが勿体なくてゆっくり読んだりもしたけど、私の中ではめっちゃ早く読み終わった!!!!
咲子と高橋さんの家族カッコ仮、素敵で大好きな関係性。自分のモヤモヤも高橋さんの言葉で晴れていく感覚があったドラマの台詞がそのまま本に文字に現れてくれて嬉しくて。何回も読み返そうと心に決めてる。
Posted by ブクログ
いい歳して未だ恋愛をしたことがない私にとって、どこか焦りを感じていた時に読みました。誰かを好きとか結婚、子供とか世間一般的な幸せに憧れはありつつも、自分自身のあり方を大切にしようと思える作品でした。読んで良かったです。登場人物のキャラクターも様々で簡単に十人十色とは言うけど、折り合いのつかない人間絶対にいます。でも、お互いを尊重しあって生きていくことの尊さも感じました。
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ドラマを見て共感したので、自分のペースで噛み締めたくて買いました。
「普通」の家族ってなんでしょうね。
「普通」の恋愛ってなんでしょうね。
考えさせられました。
大事な小説になりました。
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ドラマ化したものを観て原作を読みました。
『アロマンティック・アセクシュアル』という言葉を初めて知りました。
十人十色とはいうけれど本当に色々ありますね。
『普通』とは何か?考えてしまいます。
Posted by ブクログ
“恋愛”を前提としたコミュニケーションになじめず日々暮らしている咲子(岸井ゆきの)。
会社の後輩が企画した“恋する○○”キャンペーン商品を見にスーパーへ訪れた際、店員の高橋(高橋一生)から「恋しない人間もいる」と言われ、ハッとする。
咲子は結婚を急かす母さくら(西田尚美)のいる居づらい実家を出て親友千鶴(小島藤子)とのルームシェアを計画するが、千鶴が元カレとヨリを戻したことでドタキャン。
心が折れそうになった咲子は、ネットで「アロマンティック・アセクシュアル」という言葉と出会う。
恋愛感情を理解出来ないアロマンティック・アセクシュアルの男女の共同生活の中で、咲子の家族や元カレのような男友達などとの摩擦や咲子に自分の気持ちを隠していた咲子の親友の千鶴との和解などを経験する中で、「自分たちが居心地いい決めつけ過ぎない幸せ」を模索するヒューマンストーリーが、アロマンティック・アセクシュアルの葛藤だけでなく幅広くテーマを掘り上げていて、岸井ゆきのや高橋一生などのリアルな演技もあり、「恋愛至上主義」に縛られている男女にこそ見て欲しい男女を主人公にしたドラマに新風を吹き込んだユニークなヒューマンストーリードラマで小説。
「私の人生に何か言っていいのは、私だけ」
Posted by ブクログ
自分はアロマンティック・アセクシャルなんだろうなと気付く機会があり、これからの生き方に悩んでいたところ、友人に勧められて読み始めた。
一般的な恋ができないことに悩み続ける日々だったが、この本を読んで勇気をもらえた。悩んで立ち止まった時には何度でも読み返したい。
Posted by ブクログ
一行目からさくさく読める、押し付けがましくなくて優しい小説!
なにも知らずに読んだけど、作者さんが数々のヒットドラマの脚本家だと最後に知ってすごい納得(てか、NHKで実際ドラマになってたんだ)
Posted by ブクログ
まだ少数派でも、無視できない現代人の心のウチを描く達人と言える作者。
読むうちに、共感を生む展開はその脚本作品のほかからも窺える。注目されるべき作者。
この作品、NHKの夜ドラで初めて出会う。
今回は本で再会!
またあの二人が目の前で生き生きと悩み幸せになりたいと。
愛おしい二人だ。
Posted by ブクログ
高橋さんと咲子のやりとり、好きだなぁ。高橋さんめちゃくちゃ優しいと思う。
人の数だけ普通があって、でも多くの人は自分の普通と周りの普通をイコールだと思っている。理解しなくても良いけど、自分と違う普通をもっている人がいることを知ることは大切だなと思った。読み終わった後は、なんだか優しい気持ちになれた。
Posted by ブクログ
不勉強のため、初めてアロマアセクという言葉を知りました。
主人公をとりまく人ほど、露骨に決めつけたり考えを押し付けたりはしていないつもりでしたが、知らずに無神経なことを言うことはあったかもしれないと反省しました。
テーマは重いけれども、話し自体はさらりと書かれていてあっという間に読めました。
Posted by ブクログ
よかった
ドラマ自体を始まる前から楽しみにしていて、始まってからも楽しませてもらっていた
小説として出版されてるのを知って読めてよかった
ドラマと同じストーリーで、高橋さんも咲子も、高橋一生さんや岸井ゆきのさんで脳内再生されて、より楽しめた
そうだ、こんなストーリー、こんなシーン、こんな場面だった、というのが一度ずつしか見なかったドラマでもどんどん思い出せて、それだけであのドラマをとても好きだったことを思い出せた
主人公2人以外のアロマアセクの人たちも多くはないながらも描かれていて、その人たちが2人とはまた違うから、「そうだよな、ロマもセクも人それぞれだからアロマアセクだからといってこうってことにはならないよな」と改めて思えてよかった
『決めつけなくていい、カッコ仮のままでいい』
が、本当に嬉しかった。
好きな人がなかなかできないことや子供を持ちたくないと昔から思い続けていること、だけど1人ではどこか寂しくて不安なこと。
自分に自信を持って「これでいいんだ」て言ってあげたいけど、それができる日ばかりじゃないこと…
そういうものを全部、包み込んでくれる気がした
咲子がラストのシーン、自転車で坂道を下りながら考えてることが全てだよな、と思った
『これが、大満足な毎日、大満足な私たちの形。
でも、この大満足に、それでも、何かを言ってくる人たちがいるのかもしれない。傷ついて腹が立つこともあるのかもしれない。時々怖くなる。
でも、絶対に忘れちゃいけない。私の人生に何か言っていいのは私だけ。私の幸せを決めるのは、私だけ。』
大満足だと思える日々に、少しでも近づけますように
Posted by ブクログ
ドラマがとても良くて好きでした。
ノベライズ版も読みやすく、文章になることで心情などわかりやすくこちらも良かったです。
ただ、うどんを踏む高橋一生さんを見れるドラマ版はやはり強い……
Posted by ブクログ
この本を読んで、アロマンティック•アセクシャルという恋愛的思考があるということを初めて知った。
SNSが発達して自分の悩みを世間に打ち明けることができ、人々が生きやすい世の中になるのはすごくいいことだ!!
(まあ、その反面デメリットもあるけど)
多種多様な人がいることで、仕事を含め生活していく中でも、色々な見方ができるから、もっと、視野を広げられたらなとおもう。
Posted by ブクログ
初めて聞く言葉や、価値観を知りました。暗くて重い感じがなく、フラットな気持ちで心地よく読めました。
無知がゆえにだれかを傷つけてしまっていたのでは?と少しギクリとする部分もありました…
この本に出会えて良かったです!
Posted by ブクログ
ドラマ観てたので手に取った本。ドラマそのままアロマアセクを丁寧に描いていて良かった。咲子のモヤモヤに共感。高橋一生さんと岸井ゆきのさんで脳内再生余裕でした。
Posted by ブクログ
「アクセシュアル・アロマンティック」〜他者に性的に惹かれない人、他者に恋愛感情を抱かない人〜という言葉を初めて知った。異性を好きになって、結婚して子供を産んで育てるのが、一般的な社会だが、いろんな人がいていいと思う。
アクセシュアル・アロマンティックの二人が家族となることを試みる。最後、その関係を保ちつつ、新しい一歩踏み出せた二人。こういう関係もいい。
Posted by ブクログ
「アロマンティック・アセクシャル」…
他者に対して恋愛感情や性的欲求を持たないセクシャルティーのことである。以下アセク・アロマと記す。
近年、性的マイノリティーへの認知度は確かに上昇しており、「LGBT」という言葉を聞く機会も増えてきている。しかし上記で示したアセク・アロマについてはまだ認知度はそれほど高くはないだろう。同じセクシャルティーの一種であるにも関わらずその認知度が上がらないのは、作中にもみられるような「共感のしにくさ」が影響を及ぼしているのではないかと思う。
しかし、私自身は自分のことをアセク・アロマであるという認識ではないものの、共感できる部分があったことも事実である。
それは友達と恋人(恋愛)の違いである。
作中では登場するアセク・アロマの男女2人が同棲を始めることとなる。彼らの周りには彼らのセクシャリティーを理解できないさまざまな登場人物がいるが、口を揃えて言うのが、「恋人じゃん!」というようなセリフである。
確かに仲良さげな男女が2人で楽しく買い物や食事、ましてや同棲をしているとしたら、それはなんらかの関係性を持っていると疑われても仕方がないことかもしれない。
しかし、いざ自分たちに置き換えてみるとどうだろうか。私たちの間でも友達と恋人の違いを細かく、すべての人々の間にあたるような説明をできる者はほとんどいないのではないかと思う。
当然この作品においては、心温まるシーンがいくつも登場する。特に、主人公の咲子が少しずつ自分の思いを打ち明けられるようになり、行動できるようになる姿、家族(仮)の相手である高橋さんの優しい一面、咲子を愛するカズくんのポジティブな面、咲子の家族の変化など、よくあるような恋愛による人間の変化以上の成長は、どこか普通の恋愛物とは違った感動を覚えた。
決してアセク・アロマは私たちから遠い存在ではなく、私たち自身にも共感できる感覚を持ち合わせていると言うことである。
彼らが完全な理解を求めているかは分からない。しかし、そんな一面を私たちも持ち合わせていると言うことを忘れてはならないと思う。
Posted by ブクログ
NHKドラマで見て本も読んでみたいと思い、読んでみた本です。
ドラマはなかなか忠実に本を現してました。
特に高橋一生さん演じた高橋羽は、すごくイメージ通り。
いろいろなセクシュアリティがあるのだな、と。
アロマンティック、アセクシュアルと言う言葉もはじめて知りました。とっつきやすく知る事ができたという意味で有意義な1冊でしたが、ストーリーも爽快でした。
誰ひとり悪人が居なくて、登場人物みんながいい人です。
そして、それぞれの幸せのかたちを探してる‥読後感良かったです。
Posted by ブクログ
映像化された作品らしく本屋さんで平積みになっていた。
大手スーパーの本社商品開発部で働く女性とそのスーパーの支店の野菜売り場の担当者の男性。
ふたりはアセクシャル・アロマンティックである上で「恋愛感情を持たない家族になろう」という女性からの提案で同居することになる。
セクシャルマイノリティの中でもアセクシャル・アロマンティックにスポットを当てたお話。
昨今セクシャルマイノリティだけでなく今まで「マイノリティ」「弱者」とされていた人にスポットを当てた作品は増えている。
その都度考える。
正解などないという大前提のもとに「落としどころはあるのだろうか」ということを。
物語の中では登場人物が「自分の落としどころ」を求めて考え手を伸ばしたり足を踏み出したりする。
誰にとってもそれは自分で考えて行動しなければ手に入れられない「落としどころ」なのだろう。
それはマイノリティとか弱者とか関係なく。
アセクシャル・アロマンティックを題材にはしているけれどそういう誰にでも当てはまることを感じる作品でした。
Posted by ブクログ
ドラマきっかけで読んだ本。
アロマもアセクも初めて知った言葉。咲子を見てて、知ると知らないでは全く違う生き方になるな、と。それと周囲が自分とは違うけど、それを否定・拒絶しない、自分の考え・普通を押し付けない。わからなくてもわかろうとする、その姿勢が大事。
多種多様な世界で私の恋愛・性愛の幅が広がった。咲子、高橋さん、カズくん3人のキャラがとても良い、ほっこりあたたかい気持ちになれる本
Posted by ブクログ
ドラマを先に見ていたけど
小説の方が色々共感できた
アロマアセクは、わからないけど
みんな色々でいいんじゃね?
という感覚で私は生きてるので
おかしいやろっと思うことは
ひとつもなく、すんなり読めた
でもカズくんが1番好き
始めは、よくいる亭主関白な
嫌な男だったけど
どんどん吸収して理解してくれて
1番咲子を大事に思ってくれてるなと。
高橋さんは自分流にこだわりありすぎて
(アロマアセク関係なく)
近くにいたら、めんどくさって
思ってしまいそう
ドラマでは、岸井ゆきのさんが
すっげ自己中に見えて、少し
イラッとしながら見たけど
小説になったら、そんな気持ちに
ならずに読めた
岸井ゆきのさんが苦手なのか、私?
(すみません)
Posted by ブクログ
フィクションだってわかってるけどさ~~~こういう距離感でいてくれるひとと出会えたら最高だよな~~~心の底から羨ましい。ドラマ作品だからか、キャラ設定が少し極端というか、それは口に出す前に想像力で補えるだろ…って言動が、主人公や周りの人達にあって、たまにきつかったかな。
Posted by ブクログ
周りの人間の恋愛話に共感が抱けない咲子は「アロマンティック・アセクシュアル」というセクシャリティについて書かれたブログを知る。
NHKドラマ脚本家による小説版。
アロマンティック=恋愛的指向のひとつで恋愛感情がない
アセクシュアル=性的指向がない だそうです。
本書で初めて知りました。
老いほど「結婚するのが幸せ、家庭を持って一人前」って意識が強そうですが、その世代も上の世代からそう刷り込まれてきたのでしょう。
『じぶんの普通が全人類の普通だと疑わない人たち』って表現がすごくしっくりきた。家族が違う考え方だった時、確かに自分の価値観で反対して「そういう生き方もある」ってどうして思えないんでしょうね…
考え方や生き方も多様性の時代、な本が増えてきた気がします。
Posted by ブクログ
メトロポリターナというフリーペーパーの「いか文庫 本日は閉店なり」という書評的な連載で知った1冊。
この本でアロマンティック、アセクシャルという言葉を知りました。でも、なかなか現実的には受け入れてくれない人が多いんだろうな、などとも思ったり…
センシティブなテーマをわかりやすい小説にしてあり、目線も二方向から、という手法が生きていました。
わかる人にはわかり、わからない人は一生わからない…でも、こうして表現されると、それにより世間に知らせることができるので、すごいなあと思っています。
★3つじゃ評価は低いかも、ですが、どうしても語り口の軽さが気になり…でも、良い本でした。
Posted by ブクログ
聞いた事はあるけどこの本で少し理解できた【アロマンティック・アセクシャル】。恋愛感情が無く性的にも惹かれない。
そんな二人が出会い家族(仮)としての同居を始める。ラブではないコメディー。
繊細で生きづらかったけどこの二人ならきっと大丈夫。
十人十色
アセクって言葉は知ってた。恋愛感情持たないって意味も。それをストーリーとしてわかりやすく描いてくれてて具体的にどういう辛さがあるかはなんとなく理解できた気がする。でも、きっとひとぞれタイプが違うから、このストーリー上当てはまらない人もたくさんいるんだろうなぁとか、フィクションは全てうまくいくようになってていいなぁとか色々なことを思った。