あらすじ
この社会に生きる全ての人々がきっと笑顔になれる、唯一無二の“ラブでない”コメディ
「恋愛や性的な話を振られてもよくわからない。でも愛想笑いをしていれば大丈夫……」
咲子は、そんなもやもやとした気持ちを家族や友人、同僚に理解されないまま、恋愛や結婚を促され続け、居心地の悪さを感じていた。そんなある日、「アセクシュアル・アロマンティック」というセクシュアリティを自認する男性・高橋と出会い、驚くと同時にどこか救われた気持ちになる。
誰にも恋愛感情を抱かず、性的にも惹かれないふたりが、自分たちなりの生き方を模索すべく始めた共同生活は、家族、同僚、元彼、ご近所と周囲に波紋をひろげていく。その生活の先にある、それぞれの「幸せ」のあり方とは!?
NHKで話題沸騰のドラマ「恋せぬふたり」の小説版!
ドラマの脚本を手がける作家・吉田恵里香による完全書き下ろし!
〈目次〉
第1章 「兒玉咲子、高橋を知る」
第2章 「高橋羽、擬態を試みる」
第3章 「咲子、自分語り再び」
第4章 「高橋、未知との遭遇」
第5章 「咲子、お別れをする」
第6章 「咲子、次に進む」
第7章 「咲子と高橋と、一人の女」
第8章 「恋せぬふたり」
感情タグBEST3
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違う価値観を受け入れる優しさを教えてくれる。
蔓延する普通の中で生きる辛さ。誰しも多少はもっていると思いますが、普通と違う価値観を持った中でどうやって生きるのか、勇気をくれました。
結婚が当たり前ではない。男女一緒にいたら恋人と思われる鬱陶しさ。
それでも世の中悪い事ばかりじゃないな、と、諦めていたら出会える事も出会えないと、少しだけ勇気がもらえました。
二人の穏やかな家族生活に乾杯!
Posted by ブクログ
『恋せぬふたり』を読んでまず心に残ったのは、登場人物たちの素直さと柔軟さだった。作中の人々は、自分と異なる価値観に出会ったとき、最初こそ戸惑い葛藤しながらも、大切な相手だからこそ理解しようと必死に向き合っている。その姿勢がとても温かかった。
現実では、違う考えを持つ相手に出会うと、子どもなら喧嘩に発展するし、大人なら距離を置いて波風を立てないようにしがちだ。私自身も、価値観の違いを前にすると、ぶつからないようにそっと避けてしまうことが多い。しかしこの作品を読み進めるうちに、「大切な相手だからこそ理解しようとする」姿勢の強さを改めて教えられた。すぐには受け入れられないとしても、せめて相手の立場に近づこうとする努力はできる。私も、思いを飲み込んで距離を取るだけでなく、アイメッセージで自分の考えを丁寧に伝えていきたいと感じた。
また作品を通じて、「自分の『普通』を押し付けないこと」の大切さを強く意識させられた。私たちはつい「普通は〜だよね」と口にしてしまうが、その“普通”は自分が育ってきた環境や価値観から生まれた、一つの基準にすぎない。子どもがほしいと思うこと、仕事は楽しくあるべきだという信念、仕事に全力を注ぐこと――どれも私にとっては当たり前でも、そう考えない人もいる。作品の中で、登場人物たちが互いの価値観を丁寧に確かめ合いながら関係を築いていく姿を見て、私も自分の“普通”を疑い、立ち止まる習慣を持ちたいと思った。
さらに、物事の「重要さ」も人によって違うという点も心に刻みたい。自分の尺度だけで相手を測らず、相手が何を大切にし、どこに価値を置いているのかを尊重すること。それが、互いを理解し合うための第一歩なのだと気づかされた。
Posted by ブクログ
読み始めは単純な恋愛小説、また咲子さん、高橋さんの関係性への周りの関わり方の不躾さにイライラしてしまい、読むのを辞めてしまおうかと思ったが、読み進めていると女性と男性の関係性が繊細に丁寧に描かれていて、引き込まれて最後まで読んでしまった。読んでいて、私もパートナーとこんな関係性になれたらなと思ったことがあり、自分の中でそれが明確に1つの考えとして、形作られた気がする。
Posted by ブクログ
心が温かくなった。アロマンティック・アセクシュアルを初めて知った。自分の幸せを決めていいのは自分だけ。本当にそう。私も自分の人生、ベターではなくベストを目指したいと思った。ベストを目指すには、自分の気持ちと向き合って、本当に正直になる必要があると感じた。
Posted by ブクログ
久しぶりの一気読み(一夜で)
読んだ後に心が温かくなるような感じ。
家族とは、男女とはという難しい話に『考えなくていい』という選択肢があると教えてくれる一冊。
出てくる登場人物がみんな人間味に溢れていて個性が立っている。誰一人として嫌なキャラクターが出てこないのも一気読みできた理由かも。
読みながら自分の家族や大切な人のことを思い浮かべながら幸せを感じることができた本でした。
お恥ずかしながら作者のことをあまり知らず、最後の作者紹介で『あのドラマも?この人?!』となるくらい有名な方でした笑
もっとこの方の作品を読んでみたいです!!
Posted by ブクログ
世間の普通、自分や近い人の「こうあるべき」、自分や近い人の「こうありたい」のせめぎ合いで生きてるんだなと思う。考えさせられるが、内容は読みやすくて優しい。
Posted by ブクログ
「こうあるべき」という世間からの眼差しと、「こうありたい」という個人の想いがぶつかる一冊。
自分の理想像が必ずしも相手の理想と一致するとは限らない。だからこそ、恋愛は難しい。相手を想っているつもりが伝わっていない、好きと思っていないのに誤解される。
はっきりと言える部分が少ないからこそ、奥ゆかしくもあり、儚いものなのかもしれない。
Posted by ブクログ
アロマ・アセクの性的指向をもつ2人の話
本として読んでると『恋愛して当然』の押し付けが嫌だというのも分かるし
でもいざ自分に置き換えると恋愛を押し付けてしまうのかなぁ…と思ったり
登場人物がにくめなくて読みやすかった!
Posted by ブクログ
一般的に「普通」とカテゴライズされない恋にも性にも惹かれることのない二人の話。さまざまな苦悩と闘いながら自分自身に対する許容度と周りの理解が変化していく様子はとても綺麗で上手に描かれていた。純粋な優しさも、悪意のない押し付けも丁寧に描かれていて良かった。
同時に、改めて「多様性」という言葉に対する苦手意識を確認した。これは未だ二十歳の自分の思想やインプットしてきた情報でしかないが、「マイノリティ側の理解されないことに対する攻撃性」にどうしても正当性を見出せない。否定されたり、「普通」と言われることに対して過剰に反応し自分たちはおかしくないんだ!と感情的になり右脳でしか話さなくなる様子は正直苦手だ。マジョリティ側が歩み寄ろうとするように、マイノリティ側も「この世界におけるマジョリティはこうなんだ」「自分たちは普通ではないがこれでも良いんだ」くらいに考えるべきだと思う。自分たちはおかしくないんだ!多様性だ、普通なんて無いんだ!と叫ぶのは溝を生む行為であり、少々様々な方へのリスペクトに欠けると思ってしまう。
ただ、理解されてこなかった、攻撃されてきた苦しさを思うと一概に全てを受け入れろとは言えないんだけどね。
自分は今のところほぼ全てにおいて「普通」と呼ばれる性質なので分からないだけなのかもしれないが。。。
Posted by ブクログ
評価がわかれそうな作品なのかなと思いました。理解できる人にはわかるー!ってなるし、なんで?なんなの?って思う人もいるだろうなぁって。それがこの作品の良いところなのかも。それぞれの感想を持つことができる作品だと。普通を求められて普通ができなかった私には響きました^^
Posted by ブクログ
ドラマを小説化した本だからなのか、引き込まれて、イッキに読んでしまった。とても、おもしろかった。
アロマンティック・セクシュアル、そういうものがあるというのは、漠然と知っていたが、当事者の生きづらさは、全くわかっていなかった。この本で少し理解できた気もする。
幸せには、決まった形がなくで人それぞれ、それをお互いに認めないとね。
高橋さんのキャラが最高!ドラマでは高橋一生さんだったのかな?うん、とても素敵ですよね。
Posted by ブクログ
アセクシャルについてがテーマの本。
人生とはこういうべき、という大人すごろくを押し付けてくる周りに、モヤモヤする女性の主人公の葛藤から始まり、同じように恋愛するという感覚分からない高橋さんと一緒に暮らし始める話。色んな登場人物が2人をかき乱していくけど、それぞれ思いや葛藤があり…と面白かった。恋愛至上主義な世の中、そのレールに乗れないって相当しんどいだろうということを追体験できた。私も、昔はそこんとこ勉強不足だったから、反省すべき言動があったかも…。それぞれの価値観を尊重して、色んな家族の形が実現できたらいいよね。
Posted by ブクログ
読みやすいし、2人の関係がとうなるのか気になってすいすい読めた。
逃げ恥のような感じ。
高橋さんと咲子の関係が素敵だった。
咲子は
話を聞きいてくれて、指針となる言葉をふとくれる高橋さんから、
自分で前向きに生きられるような穏やかなエネルギーもらい、
高橋さんは明るくみえる咲子から新しい感情や世界を教えてもらう。
互いに別の方向を見てるけど、背中で支え合ってる感じが良かった。
やっぱりこういうタイプの本に出てくる、
ステレオタイプな思想の持ち主は疲れるが、
私も無意識に押し付けている可能性があるのだろうな、と感じた。
Posted by ブクログ
とても重くて考えさせられる設定の中、いろんな悩みを思いっきりぶつけられた。
普通に囚われてしまっている自分を自覚したし、普通に合わせて生きない選択もありだなと気づかせてくれた。
Posted by ブクログ
どんな生き方を選ぶのかは本人の自由なはずだが、異なる価値観を持つ相関関係者(家族、友人、会社、パートナーなど)への忖度が不自由なものにしてしまっている事って多い。主人公は悩み、遠回りをしながらも最後は自分の価値観に素直に沿った生き方を選んでいく。
Posted by ブクログ
ドラマを小説にしたようだが、ドラマを見逃したのが勿体ないと思うくらい面白かった。アロマンティックアセクシュアルという言葉も初めて知った。人の気持ちを察すれないヤツだと思われるし、人の道を外れてるかのように親に思われるのも辛い。恋愛では無くても誰かを大切に想える。この2人は、カズ君が居たことで変化したのも良かった。セクシャルな面で、自分の当たり前に人を当てはめるのはダメだなぁと思った。
Posted by ブクログ
最初に実写化のポスターを見てしまったせいか、高橋さんが高橋一生そのままで脳内再生された。
「人と人との関係性を一つのカテゴリに当てはめてる必要なんてない」というメッセージが込められた本と思う。一方で、その考えを持ちつつ、社会の中で生きる難しさも書いてあったと思う。
Posted by ブクログ
自分の親世代にはなかなか理解してもらえない?という内容だと感じた。今でこそ理解し、尊重してもらえるであろうストーリーだけど、少なくとも90年代では理解し難い(理解しようともしない)風潮が残っていたし、自分もそうでした。
Posted by ブクログ
非常にバランスの取れたいい感じ内容でサラッと読めました
結局は同じ考えの集団を探してそれに自分も属しているという安心感は人である以上必要なんだと再認識しました
Posted by ブクログ
サクッと読みやすい作品でした。
いろんな人がいて、いろんな家族がいて、、、
高橋の空気感、カズ君のキャラクターがとっても好きです。
身近にはいないけど、こーゆうふうに感じて生きてる人がいるんだなって面白く読めました。
Posted by ブクログ
アンロマンティックでアンセクシャルな2人の物語
周りにも理解されず周りと疎遠になってゆくも自分の生き方を探してゆく
刺激はないが何となく居心地の良い作品
Posted by ブクログ
恋愛がモチベになる私にとって
目から鱗。
アロマンティック アセクシャル
初めて知りました。
自分の普通は他人の普通と違う。
「普通」ってい言葉、使わないように気をつけようと思います。
Posted by ブクログ
アロマ・アセクという言葉を初めて知った。主人公の咲子と高橋さんが巡り合えて本当に良かったと思うのは私が心のどこかでなかなか巡り合えない少数派であるのだろうと思っているからなんだろう。大人のすごろくというワードが出てきたときはハッとした。自分の当たり前が人によって違うと思って生きた方がいいな。これからは、どんどん多様性の時代。
Posted by ブクログ
ドラマっぽいと思ったらドラマだったのか…
映像だとどんな風なのか見てみたいと思う。
アロマ、アセクという言葉を初めて知った。
いろいろな呼び名があるんだなぁ
多様性とかスペクトラムとか、いろいろあるよなぁ
自分はこういうカテゴリって固執しなくてもいいし、咲子の言うように、何事も決めつけなくていいよねーと思いました。
Posted by ブクログ
本を見つけて原作だ!ぜひ読みたい!と手に取ったけれど、ドラマの小説版だったんですね。ドラマを懐かしみながら読みました。
アロマンティック・アセクシュアル題材にしつつも、きっと誰もが恋愛以外にも感じるだろう他者から押し付けられる価値観に対するアンサー的なものが描かれてます。
なんだかんだでカズくんが一番柔軟になった、色んな人から愛されるキャラだなと思いました。
十人十色
アセクって言葉は知ってた。恋愛感情持たないって意味も。それをストーリーとしてわかりやすく描いてくれてて具体的にどういう辛さがあるかはなんとなく理解できた気がする。でも、きっとひとぞれタイプが違うから、このストーリー上当てはまらない人もたくさんいるんだろうなぁとか、フィクションは全てうまくいくようになってていいなぁとか色々なことを思った。