【感想・ネタバレ】ベイルート961時間(とそれに伴う321皿の料理)のレビュー

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部落を巡る筆者の回想のところで何故か涙が出た。不意に心の琴線に触れる詩の言葉。生きるうえでのガイドブック。

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2023年03月19日

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ぐんま、ひゃくさいかんや、なんぶれあんごうや、あんきものいたかんぐあいはごいたがゆいかいしやくでなやんでいるひとおおいよ!わりとすぐほてるるかのこ、からかいとしてのはかどこに、なぜしんちようるいながさここはけどこ、おがながい、つがいもふくめて、めがかまぬるいかんがるう、だてどこまかおたていたにみずふくしのふくさみたまぐう、ふくろだぬやかたんやかんににて、しようぼうだいうからないのか、ものめつきいろぐろさ、やたいほつつに、いわしみつくろいだにへすぺす、すとれっつみさかい、さかいやすたぢいしたほうがいいよ!

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2023年03月12日

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料理はプルースト効果の枠を超え、五感のアーカイブであると教えてくれた。
私が作る食品が多くの人のアーカイブに残ることを祈る。

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2022年05月01日

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パリ在住の著者がレバノンの大都市ベイルートに滞在し、「他者を内部に入れる」行為である食事と料理を通じて考えた、街と戦争と生活にまつわる321章。


フランス語の著作が高く評価されているパリ在住の日本人が書いたレバノン滞在記。本書も元々フランス語で発表したものを著者自ら日本語に書き換えている。
関口さんは1ヶ月半のベイルート生活にあたり、料理をテーマに本を書く決めた。滞在中は自炊せず、三食すべて土地の人と同じものを食べたという。他国での食事は「他者を自らの内部に入れ、受け入れられるか否か」を問う行為だからだ。
並行してレストランガイドも作ったというから沢山の店に行ったのだろうが、本書はその食体験を詳細にルポするエッセイではない。関口さんが料理を研究家みたいに分析することもない。それよりもベイルートの人びとから聞いた食事にまつわる思い出話や、外国料理屋に関する省察などにページが割かれ、全体としては都市論になっている。
レバノンの人びとは美味しいものが大好きでレストランも水準が高く、関口さんがベイルートに行くと言うとパリの人からも羨ましがられたとか。けれど、彼らが語る料理の思い出には戦争の記憶が分かちがたく結びついている。「戦争のことを話して」と頼むよりも料理の思い出を聞くほうが、より実感的な戦争のエピソードにでくわすのではないかと関口さんは言う。特に印象深かったのは、戦時に自家発電機を回してできた貴重な電気を、マルガリータの氷を作るために使ったお父さんのエピソード。愚行の裏にある切実さ、人の尊厳を保つために必要な“無駄なもの“の重大さが伝わってくる。
レバノン料理は香りの料理なのだそうだ。本書で紹介されるのも香草がふんだんに使われたものばかりで、そういう料理は嗅覚で記憶に強く訴えかけるのだろう。何度もくり返しでてくるのは「ケッベ」というダンプリングの一種で、これも美味しそう。一つ語りだすと蓄積された食体験が引きだされ、日本食はもちろんイラン料理との共通点やパレスチナ難民に聞いた好きな料理のランキングなど、幅広い“味”の話が連想的に語られていくのが贅沢である。
ベイルートにはアジアの他地域からの移民が多いにも関わらず、彼らがオーナーになって自国の料理を振る舞う店が極端に少ないという指摘は、関口さんならではの視点だろう。自国民がディアスポラとして世界中に散らばっているレバノンでは、他国から戻ってきたレバノン人がやっている外国料理の店は多く、食の多様性自体は開かれているが、移民とレストランの数の不均衡には社会的ヒエラルキーが隠れている。
関口さんのベイルート滞在は2018年で、その後2020年に起きた革命によってレバノンは大変動を余儀なくされた。さらに不幸な大事故のせいでベイルートの商業地域が壊滅状態になってしまい、今はもうさまざまな意味でこの本に書かれたような都市ではないという。革命が本格化するきっかけがWhatsAppへの課税政策だったこと、「忍耐とは、物事が続いていく幻想を抱ける国の美徳でしかない」ということばに日本の現状を重ね見てしまう。
ベイルートといえば四方田犬彦の『さらば、ベイルート』も読んだが(ジョスリーンの名前は本書にもちらっとでてくる)、むしろ同著者の『モロッコ流謫』を連想するところがあった。人と街と食事。西洋的な権威に対するコンプレックス、非西洋的アイデンティティの継承。生と死の境界を明らかにする営みとしての食の本。

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2023年12月27日

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レバノンという国、ベイルートという街のことをあまりにも知らなかったが、この本を読んだことで、もう少し関心を持っていきたい。

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2023年09月23日

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2021年にフランスで出版され翌年に邦訳版が刊行…という、逆輸入のような本書。

副題の「321皿の料理」だが、全て料理のレシピが書いてあるわけではなく、著者(作家・翻訳家。仏語と日本語で創作活動を展開)が現在住まうパリや取材で訪れたベイルート、日本での幼少期の出来事が321項目列挙されている。
んな不思議な番号の振り方・統一感がないようにも見える書き方に当初は違和感を覚えたが、次第に話の続きが気になるように気持ちが向いていた。

「ベイルートの住民が食べる料理」をテーマに、2018年4月6日-5月15日まで取材・滞在することになった著者。滞在中はベイルートの人々が作るものしか口にしないとルールを決め、多くの住民や友人、料理研究家に聞き取りをされている。

現地では「(今まで取材に来た作家やジャーナリストとは違い)初めて内戦を取り上げない人が出てきた」と大歓迎されたという。街自体に興味を持ってくれていると感じられる、遊びに来て一緒に過ごせるのが嬉しいのだと。
その真意を聞いて、彼らの屈託のない笑顔が目に浮かんでくるのはきっと自分だけではないはずだ。

「ベイルートという街自体が一冊の本なの。それもとても美しい本」

著者は食文化を「一つの言語」とし、そこから材料(=語彙)が集まって一皿やディナー(=文章や作品)が出来上がると言い表している。
思えば彼女の洗練された文体や、多彩な表現の数々に息を飲みっぱなしだった。それらを結集させた本書は、彼女にしか出せないカラーを散りばめた美食そのもの。
感謝の意として、自身の言葉をベイルートをはじめとした人々に届け、振る舞おうとされたのかもしれない。

「ぼくたちは自分たちの前世代の代理人として、都市の歴史的な層が失われることを悲しむんだ。一度も見たことのないものにノスタルジアを覚えるんだよ」

ここではしばしば 「ノスタルジー」というワードに行き当たる。
(内戦や2020年のベイルート港爆発事故によって)失われた風景を今回書き残したことに対しても、著者はベイルートの人々から感謝された。
「感謝の裏側で、在りし日の情景を読むたび落ち込んだりしないのだろうか」と不安に思う。実際馴染みのある事物といった「指標」を失う時彼らのノスタルジーは生まれるのだから。生活の彩りも失われていくのでは、と耐えず気にかけていることだろう。
でも著者は生活の彩りの一つである料理に、希望を見出している。

「この街にはどこかしら、有機的な、生き生きとしたところがある。街自体の息吹きとでもいうべきもの。それがわたしたちの心を揺さぶるのだ」

ベイルートの住民たちは作るのも食べるのも好きで、料理に対して並々ならぬこだわりを見せる。レバノン料理は「香りの料理」と称され、調理の時点でハーブの香りがキッチンに満ち溢れるのだそう。「香り」も調味料の一つとするほど、料理を疎かにしない。
「料理への情熱が消えない限り、まだまだ街は大丈夫!」と、力いっぱいのエールが最後に添えられていた。

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2023年06月28日

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革命前のベイルート、レバノンの滞在記。料理をテーマにして町を観察し人々と出会い、自分との人生比較をしながら熱い思いを本にしている。レバノンの香りが立ち昇って来た。できれば文中に料理の写真があればもっと分かりやすかったのにと思う。

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2023年05月23日

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ベイルート作家協会に招かれたパリ在住の日本人作家が、1か月半の滞在についてフランス語で綴った本を自ら日本語に訳した本。
副題の321皿の料理とは、レシピではなく、短く分けられた321の章のことだ。
度重なる戦乱に街も文化も歴史も人心も破壊され尽くし、それでもなお「食べる」ことに心を砕き、生を楽しむベイルートの人々の生き方を、自らの祖母や母から伝えられた料理の記憶を繙き、からめながら語っていく。
やがてそれは、ベイルートの人々と日本人との共通点への考察に及び、また、現代日本のあり方へのゆるやかな批判も含んでいく…というか、自らを顧みる材料になってくれる。
とてもとても引き込まれた。
彼女は資料にあたるより、ひとつテーマについて、さまざまな人に聞くアプローチを取る。証言は断片的でときには正反対になるが、そのモザイクこそが、多様で豊かな文化の証なのだ。
料理や街並み、花への考察も深く美しく…花は私たちの生を支えてくれる武器なのだそうだ、納得…味わい深い文章。
そしてベイルートのある友人の言葉を忘れない。
「今を生きることは、生を十全に生きることを意味するだけでなく、できる限りの速度で力を一気に使い果たすことの同義語でもあるんだ。忍耐とは、物語が続いていく幻想を抱ける国の美徳でしかない」

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2022年07月16日

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読んでいると日本語の文章なのに翻訳っぽい。あとがきを読んで、これは著者がフランス語で書いた文章を自ら翻訳したとあった。そういうことか。
料理よりも、生まれた国を離れる人が多いというレバノンという国に驚いた。

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2023年07月26日

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フランス在住の日本人作家がフランス語で書いた紀行文の日本語訳ということ。
料理本ではなく、レバノンの首都ベイルート滞在中に体験したこと、感じたことをを綴ったもの。その後、港湾爆発事故で大きなダメージを受けたため、以前の姿を伝える貴重な本となっているらしい。

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2023年07月06日

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ネタバレ

著者の昔の思い出とかすごくぐっとくる話もあったけど,半分以上分からなかった。私には難しかった。
レバノンにはゴーンさんの印象しかなかったけど,たくさん知ることができたのは良かった。

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2023年02月06日

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