あらすじ
一年前に東京から引越してきた陽太は、亡くなった母の故郷、奈良で、小学校の卒業式を迎えた。
仲のいい友だちもまだいないし、いいな、と思う女の子に声をかけることもできない。
春休み、どう過ごそう、と思っていたら、思いがけず、飼い主とはぐれたフレンチブルドッグを飼うことになった。
飼い主を探して、犬といっしょに奈良の町を歩くうちに、さまざまな出会いがあり、陽太の日々は変わり始める…。
12歳の春をみずみずしく描く心に残る物語。
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Posted by ブクログ
1年前に東京から亡くなった母親の実家のある奈良に引っ越してきた少年佐久良陽太は、亡母の母校を実感のわかないまま卒業し、その帰り道にホームレスから迷い犬のフレンチブルドッグの飼い主を見つけて欲しいと託される。飼い主を探すために毎日散歩に出かけるうち、いろいろな人たちと出会い、馴染めなかった奈良の町への見方が変化してくる。
亡母の実家での彼女の思い出の残るものとの出会い、密かに想う同級生の少女の悩み、父親の転身の秘密……、これらのことが奈良の町と、犬を仲介とした人々とのふれあいとともに描かれていく。
ちょっと都合よく話が進み過ぎのところと、福島原発の事故と汚染された地域の問題まで出てきて、これは盛り込み過ぎの感があるが、全体的に好感が持てる。
選書対象外の本だが、ぜひ選書のテーブルに持ち込みたい。