【感想・ネタバレ】赤ちゃんがいっぱいのレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

 聡子が育児休業に入り,アルバイト先の助産院を解雇されてしまい、失業した陽奈が,急場をしのぐために,「ハローベイビー研究所」という「体内育児の研究」をしている機関のカウンセリング要員として就職する。
 その研究所で発生する「価値のないものばかり盗まれる連続窃盗事件」,「赤ん坊置き去り事件」。
 そして,陽奈は,スーパーアドバイザーとして研究所に関わる奥薗時夫とうもと天才少年の計画する「ハローベイビー研究所」の乗っ取り計画に巻き込まれていく。
 「価値のないものばかり盗まれる連続窃盗事件」,「赤ん坊置き去り事件」といったメインストーリーの背景として,奥薗家の天才きょうだい(兄・妹)の話が描かれている。そして,18年前にも同じような赤ん坊置き去り事件が存在していたことが分かる。
 更に,聡子のところに預けていた赤ん坊の連れ去り未遂事件が発生する。これらの込み入った伏線が,伝説の助産婦,明楽先生の推理で見事に終局する話作りの上手さは見事。ただし,ミステリとしては,意外性が少し弱い。
 真相は,奥薗家の二女,時夫の妹「加音」の復讐劇。自分の子どもを利用して,ハローベイビー研究所と奥薗時夫を陥れようとしていた。明楽先生のセリフにあるとおり,「これは加音ちゃんが仕掛けた,十何年ぶりかの,ちょっと大掛かりな兄弟喧嘩」ということかもしれないが,巻き込まれた聡子さん一家はいい迷惑だろう。
 綺麗に伏線も回収されており,ハローベイビー研究所側が隠したかった弱みが,提携している右尾クリニックの院長が無免許医だったという事実というのは想像の範囲内だが意外な真相といえる。漫画家となった兄が医師免許も持っており,弟は医師免許ももっていないという逆説も面白い。
 トータルで,よくできた話と思える作品。だが、よくできた作品どまりかな。★3で。

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2015年12月20日

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