【感想・ネタバレ】「正しさ」の商人 情報災害を広める風評加害者は誰かのレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

日本人みんな必読教科書じゃなかろうか。
福島在住の著者が東日本大震災での実例を皮切りに、デマによる風評被害と被害があるなら加害者がいる=デマを広める者は加害者になっている自覚を促す。

・何故デマが広がるか
論証の確かさをいちいちチェックせずに拡散し、間違いがあったかどうかを拡散した一人ひとりが確認しない

・何故デマを広める者がいるのか
デマによって偽の権威を得るため(デマを主張してその発言に力を持たせる事で自分の売り込みたい文脈を売るため)ものによってはそのまま商売になる。

・真実であれば何もしなくてもデマに勝てるか
残念ながら真実だけでは勝てない。
デマを徹底的に否定して拡散を防ぐ、抗議することをしなければ真実は簡単に負ける。
例えばワクチン

・東日本大震災のとき美味しんぼで鼻血表現をして、それに乗っかり自分も鼻血がというデマが拡散したが、鼻血が出るほどの被曝量なら数時間で死に至る。

・マスコミはデマを拡散しても修正しない。何ならデマを積極的に拡散して、根拠のない不安を煽る。不安を煽るデマで彼らは稼げるから。

・人の不安や恐怖を煽って、【真実はこうだ】と自分だけが知っている優越感などを刺激する。デマによって真実や本当の権威をおとしめ、【自分が言説で力を得たい】がためのデマ。デマはそれを語るものに偽の力を与える。盲目的に信奉させればパワーが集まる。

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2024年04月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

不当な批判や差別に黙って耐え忍ぶ事は西洋化・情報化・多様化した現代日本では美徳ではなくもはや害悪であるっていう話。

情報災害の歴史や情報災害全体の本かと思ったら、東日本大震災の福島に対して起こった情報災害の話だったので、いろんな意味で上手い本の題名だな、と。

ただ、被害に遭った側が時間とお金と労力と勇気を持って被害状況を訴えていかないといけない上に、さらに周りの第三者に被害者側が責められる事もあるというのは、小さな嫌がらせ事件から明らかな犯罪に至るまでの全ての被害者と加害者とそれを取り巻く第三者に通じる問題だと思った。




p. 46
たとえば、米タートマス大学教授のブレンドン・ナイアン(Brendan Nyhan)と英エクセター大学教授のジェイソン・レイフラー (Jason Reiller)は、2010年発表の論文で、デマを否定されることでよりデマを強く居じてしまう「バックファイア効果」の危険性を主張している。確かに、たとえ否定が目的であろうと、デマも含めたネガティブな情報に触れること自体が一定の葛藤や不快をもたらす。そこから生ずる反発や戦業が不利益を生むことは間違いないだろう。
ところが、この「バックファイア効果」が、そのまま「浅薄な寝た子は起こすな論」を正当化する根拠になるかといえば、それは違う。むしろ、「バックファイア効果」を声高に叫ぶことこそがデマ・差別の温床になるということを、この理論の提唱者自身が主張しているのだ。
(中略)
基本的にデマは否定すべきであり、それを怠れば、多くの人がデマを信じ、差別に加担することになる。


p. 204
「「首都圏のためのインフラ」として建設された「東京電力」福島第一原発事故で蹂調された故郷が、事故を「福島の問題」とばかりに他人事にした挙句に自分達の都合や論理ばかりを押し付けようとする人々から、さらに蹂躙されるセカンドレイプを防ぎたかった」

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2024年03月14日

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